神戸大は7月、海事科学部を改組し、「海洋政策科学部(仮称)」を新設すると発表した。海上輸送や海洋環境についてだけでなく、法律や経済・経営の知識を持ち、国際機関や省庁で海洋政策を担う人材育成を目指す。来春文部科学省に申請し、2021年4月に開設する予定だ。
新学部設立は海洋の産業利用などを進める政府の「海洋基本計画」に対応する狙い。自然科学系と社会科学系の海洋に関する幅広い知識を修得させ、「海洋立国を牽引するグローバルリーダーと多様な海洋人材の育成」を目指す。
海事科学部は3学科編成だが、改組後は「海洋政策科学科(仮称)」の1学科のみになる予定。3級海技士の免許取得についてはコースを設けるが、それ以外は主専門として学ぶ科目群と副専門として学ぶ科目群を自由に選択できるようにする。また海事科学研究科附属の練習船「深江丸」を活用した実習や、企業・行政機関などでの研修・実習・就業体験を通して実際の海洋業界を学ぶ機会も設ける。
入試方式は外国語・数学・理科の理系科目中心の入試に加え、外国語・数学・国語の文系科目中心の入試を設定し、文系・理系とも受験できるようにする。定員は1学年200人の予定で、海事科学部から変更はない。
新学部検討を進める小田啓二理事・副学長は「船舶職員などは海自体に加え国際法や経営の知識も必要で、本来この分野は文理の分け方に合わない」と言う。「新学部は神戸大の理念『学理と実際の調和』にも合う」と言い、入学希望者に対して「日本は地政学的にも海の存在を切り離せない。海に興味を持った生徒が集まってきてほしい。この分野のリーダーになってほしい」と話した。
海事科学部は03年10月、神戸商船大と神戸大が統合して誕生した。
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