５０年前の１９６９年３月、神戸大学では大学紛争の激化のため、卒業式が中止に追い込まれた。では、その年の卒業生はどのように卒業証書を受け取ったのか。その時の様子は学部やゼミ、個人単位で大きく異なり、様々なパターンがあったことが知られている。メディア研は、１０月２７日の「５０年目の卒業式」に集まった６９年の神戸大卒業生らにインタビューを行い、その実態を調査した。学部ごとに、インタビュー結果をまとめた。＜玉井晃平、小野花菜子、森岡聖陽、長谷川雅也、渡邊志保＞

▽文学部
Ｍ・Ｓさん：４月に入ってから大学から連絡があった。自分は既に上京していたため母親が取りに行った。

▽教育学部
Ｆ・Ｈさん：屋上で受け取り。国語科はだいたい参加していた。
Ｋ・Ｉさん：学部みんなで振袖を着て集まった。学部長の話を聞いた。
Ｓ・Ａさん：確信がないが、ゼミの先生から校舎で受け取った。
Ｉ・Ｒさん：ゼミ研究室で先生から。そのあと梅田か三宮に連れ出してくれてパーティーを楽しんだ。
Ｉ・Ｙさん：卒業証書の受け取りに集合したら全学連が入ってきた。ゼミ先生の控室でもらった。
Ｍ・Ｍさん：教育学部の教室で受け取った。学部長が来場し、彼の話を聞いた。
Ｎ・Ｍさん：写真を撮ったのを覚えている。
Ｂ・Ｙさん：鶴甲の教室で、学科の人がみんな集まって卒業証書が渡された。
匿名希望：ゼミの先生に渡された。上のキャンパスの広場で（現鶴甲第二キャンパス）でゼミごとに受け取った。着物を着ていった。

▽法学部
Ｉ・Ｓさん：ジムで受け取った。
Ｄ・Ｙさん：実家に郵送。３月の時点で既に就職のため上京していた。
Ｎ・Ｎさん：郵送された。封鎖された校舎を開放しようと竹刀を持って大学に向かったが、怖くなり帰った。悔しかった。
Ａ・Ｓさん：法学部事務室で受け取った。
Ｆ・Ｍさん：法学部事務室。３月３１日に事務室から電話があり、「まだ卒業証書を渡せていない。これから渡せるので取りに来て」という旨を伝えられた。就職先は東京だったが、まだ下宿先の大学の寮に滞在していたため取りに行けた。
匿名（２人）：郵送で実家に。

▽経済学部
Ｔさん：郵送。
Ｍ・Ｍさん：郵送。
Ｔ・Ｂさん：３月３１日に引っ越し中の職員食堂に受け取りに行った。筒をもらったことぐらいしか覚えていないが、あっさりとしていた。
Ｍ・Ｋさん：名古屋に就職したため、父が代わりに取りに行った。封鎖で試験が全て中止されレポートに代わった。紛争に関わっていない自分としてはとても嬉しかった。
Ｋ・Ｋさん：北野熊幸男教授のゼミで、教授のお宅に１０人余りで卒業証書を貰いにいった。
Ｍさん：卒業証書が郵送される前に上京した。３４歳の時に実家から卒業証書が送られてきた。
匿名希望：郵送。

▽経営学部
Ｋ・Ｈさん：経営の教官食堂で事務の人から。今の三木記念館あたり。
Ｈ・Ｔさん：おそらく就職後に送られてきた。ゼミ先生が病気に（学部長の丹波先生）
Ｅさん：事務室に取りに行った。
Ｗさん：教務室で受け取り。
Ｔ・Ｇさん：郵送。
Ｈさん：事務室から連絡がきて、ゼミの友人と教養部に取りに行った。
Ａさん：教務室で受け取り。
Ｓ・Ｋさん：３月３１日に学校の学務課、教務課に取りに行った、入社式が４月１日だったため、とりあえず友人の家に預けた。
Ｔ・Ｒさん：経営学部の事務室で受け取った。同窓会の入会証と筒を受け取っただけだった。
Ｉ・Ｋさん：生協で受け取り。
Ｈ・Ｍさん：生協で受け取り。
Ｎさん：食堂で１人ずつ受け取った。
Ｏ・Ｍさん：掲示板を見て、事務室にもらいに行った。
Ｓ・Ｋさん：郵送。

▽工学部
Ｆ・Ｓさん：当時卒業式はないと思っていた。後で何か集まりがあったらしいと聞いた。８月に封鎖解除されたことを知らず驚いた。
Ｙ・Ｔさん：なぜか研究室に入れて、事務室で卒業証書を渡された。
Ｔさん：郵送。
Ｓ・Ｔさん：郵送。
Ｙ・Ｓさん：事務室。
Ｍ・Ｓさん：留年し、一年後の１９７０年春に証書を受け取る。その年も卒業式は開催されなかった。証書は研究室の机の上に置いてあった。

▽医学部
Ｎ・Ｍさん：医学部は６年制のため卒業年度が異なり、卒業式は開催された。当時は運動に怒っていた。
Ｏ・Ｙさん：卒業式は開催されたが、国家試験の追試と重なり出席できなかった。この背景には、大学紛争のため国家試験の受験日程が後ろにずれ込んだことがある。

了