「ドラえもんみたいな人を癒すロボットを」 想いを継ぐ、第15回竸基弘賞授賞式

 レスキューシステムの研究開発に貢献のあった若手研究者を表彰する、第15回竸基弘賞授賞式(主催=NPO法人国際レスキューシステム研究機構)が10日、神戸市長田区のふたば学舎で開催された。竸基弘さんは阪神・淡路大震災で亡くなった神戸大生の1人で、生前「ドラえもんみたいな人を癒すロボットを作りたい」と、当時神戸大自然科学研究科助教授で指導教官だった松野文俊さん(現・京都大教授)のもとでロボットの研究をしていた。【森岡聖陽】


(写真=第15回竸基弘賞を受賞した研究者たち 2020年1月10日午後、神戸市長田区二葉町で)

 賞の名前となっている竸基弘さんは、阪神・淡路大震災で神戸大在学中に亡くなった学生39人のうちの1人で、自然科学研究科でロボットの研究をしていた。「竸基弘賞」は国際レスキューシステム研究機構が震災から10年目の2005年に創設した表彰事業で、毎年1月の中旬にレスキューシステムの研究開発に顕著な貢献のあった若手の研究員に贈られている。

 今年の式典では「学術賞」、「技術業績賞」、「奨励賞」のほか、5年ごとに贈呈される「医学部門業績賞」「心理学部門業績賞」、また「特別賞社会貢献賞」が贈呈され、授賞式ののち受賞者による記念講演が開かれた。

 現在国際レスキューシステム研究機構副会長で京都大教授の松野文俊さんは閉会の挨拶で、竸基弘さんへの思いを「私は更地になって何もなくなった彼の下宿跡を見て、何をやっているんだろうと思いました。生き残った者として何ができるだろうと考えました」と振り返り、「彼はドラえもんのようなロボットを作るのが夢でした。彼の想いを私たちは『人を助ける』ということに焦点を当てて受け止め、本当の意味で役に立つシステムを作っていけたらと思います」と述べた。


(写真=「竸基弘賞」の選考理由を話す松野文俊さん 2020年1月10日午後)

 松野さんはメディア研の取材に、「(震災を)語り継いでいかないといけないと思うし、(多くの人が)災害に関心を持つきっかけになってくれればいいと思います」と語った。

《第15回竸基弘賞 受賞者》
▽学術業績賞 田中基康さん(電気通信大 情報理工学研究科 准教授)
▽技術業績賞 竹森達也さん(京都大大学院 工学研究科)
▽医学部門業績賞  久保達彦さん(広島大 医系科学研究科 准教授)
▽心理部門業績賞 野口修司さん(香川大 医学部臨床心理学科 准教授)
▽特別賞 社会貢献賞 淺間一さん (東京大 工学研究科 教授)
▽奨励賞受賞者
・ロボカップジュニアIRS賞
 『Infinity』(後藤 颯太さん ,大淵 匠さん/岐阜工業高等専門学校)
・レスキューロボットコンテスト奨励賞  
 静岡大学 ロボットファクトリー『 レスキューやらまいか 』
・レスキュー工学奨励賞  
 瀬戸 徳文さん(福島大学大学院 )
 「低融点合金を用いた原子炉内部モニタリングアーム」

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