【1月号掲載】震災と神戸大の関わり 「全て知らない」4分の1 本紙学生アンケート

 ニュースネット委員会は、阪神・淡路大震災発生から25年を迎えるにあたり、神戸大の学生を対象に震災に対する意識を調査した。アンケートは、2019年12月17日~2020年1月7日にかけてインターネット上で行い、72人から回答を得た。

震災から25年 4割が知らず?

 「1月17日を阪神・淡路大震災が起きた日だと知っていましたか」という質問に「知らなかった」と答えたのは12・5%にとどまり、ほとんどの学生が「神戸大に入学する以前から知っていた」もしくは「神戸大に入学してから知った」と答えた。対して2020年で震災から25年がたつことは40・3%が「知らなかった」と回答し、具体的な年月までは記憶されていないが、多くの学生に震災が認識されていることが分かった。

神戸大で 震災を意識

 「神戸に住んでいて、また神戸大に通っていて震災を意識したり知ったりする機会はあると思いますか」という質問に対して「時々ある」と答えた学生は37・9%、「よくある」と答えた学は25・8%で、合計で6割を超えた。また「神戸大に通っていることで、阪神・淡路大震災へのあなたの意識は変わりましたか」という質問には、40・9%が「少し興味をもつようになった」、10・6%が「かなり興味を持つようになった」と答え、合わせて約半数に上り、神戸や神戸大での生活が震災への関心を深めるきっかけになり得ることがうかがえる。

慰霊献花式 開催知られず

 神戸大と阪神・淡路大震災の関わりについては、回答者の半数が震災に関する資料を保存する「震災文庫」の存在を知っていた。一方で神戸大と神戸商船大の学生・教職員らが犠牲になったことを知っていたのは3分の1以下、さらに六甲台キャンパス・深江キャンパスで慰霊献花式が行を選択したのはそれぞれ12・1%、3・0%にとどまり、震災による神戸大への影響や追悼行事はあまり知られていなかった。約4分の1の学生は「全て知らない」と回答した。

防災意識から 風化防ぐべき

 「阪神・淡路大震災の風化は進んでいると思いますか」という質問では、87・5%が「思う」と答え、多くの学生が震災の風化を実感していることが分かる。震災の風化が進んでいると思うと答えた人に風化を防止すべきと思うか聞いたところ、95・2%が「思う」とした。理由を聞いた自由記述では「今後起きうる震災への備えのため」や「震災の教訓がこれからの防災・減災の役に立つから」といった声が多く上がり、防災への関心の高まりが見られた。自然災害が多発する中、改めて阪神・淡路大震災の伝承が求められているとうかがえる。

震災の伝承 追体験で 人間発達環境学研究科 澤宗則教授

??神戸大学内において阪神・淡路大震災の風化は進んでいるか。

 (阪神・淡路大震災を取り扱う授業で)震災発生時にどうしていたかを聞いている。以前は小学生だったとか、遠くにいたけれどどんな影響があったとか直接的な経験を語っていたが、今の学生は直接的には経験していない。

??どのようにすれば震災を伝承できるか。

 生まれる前のことは実感のしようがない部分がある。自分たちの先輩だった人が、同じように生活していたことを知ることで、少しはリアルに感じられるのではないか。自分が経験していないことをいかに追体験できるか、どれだけリアルに想像できるかで違うと思う。

??アンケートでは風化を防止すべきだという理由に「防災」が多く上がった。災害によって発生した問題が忘れられているのではないか。

 今を生きている人にとっては自分の命をどう守るかが大事。大きな災害は繰り返す。まずは防災だ。ただ科学的に災害をどう対処するかに目がいっていて、社会構造の矛盾に思いが至っていない。大災害では社会的に弱い人たちが犠牲になる。格差といった構造的な問題にも目を向けるべき。

●澤宗則教授
 専門は人文地理学。震災当時は発達科学部で講師を務めていた。震災当時のことや復興、風化についても扱う「地域社会共生論」を隔年で開講している。

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