神戸大で3月25日、多くの卒業生に学位記が授与された。2019年度の卒業生は4099人。今年は新型コロナの流行を受け、神戸大全体での卒業式が中止された。各学部ごとに学位等の授与方法などの判断が任されており、学位記授与式を縮小して行う学部や、学位記等を郵送する学部など対応が分かれた。キャンパスでは、卒業式はなくなっても大学を訪れ、友人や同期、後輩と写真を撮るなど晴れやかな卒業生の姿が見られた。〈森岡聖陽・玉井晃平〉
(写真:理学部数学科では教室で学位授与式が開かれた。神戸大六甲台第2キャンパスで3月25日午前11時ごろ撮影)
理学部・理学研究科では各専門科ごとに感染対策を講じた上で学位授与式が開かれた。会場となった教室には消毒液が置かれ、教室の窓や扉が全開にされたまま式典が進んだ。また学部生と院生を時間ごとに分けるなど式典の時間も縮小され、例年授与式後に開かれる理学部全体でのパーティーも中止になった。
理学部数学科を卒業した橋本真希さんは「卒業式で合唱団の歌が聞けなくて残念だった。卒業旅行でセブ島に行く予定だったのに中止になって、仕方ない部分もあるけど残念です。」とコメントした。
(写真:六甲台第1キャンパスの正門前には写真を収めようと、長蛇の列ができた。神戸大六甲台第1キャンパス正門前で3月25日午後3時ごろ撮影)
一方、国際文化学部・研究科は原則郵送での学位記の受け渡しとしており、教務学生係窓口で受取を希望する場合は事前のアンケートで回答するよう要望されていた。同研究科を卒業する吉松紗恵子さんは「教授に会えなかったこと、同期に会えなかったことが残念です。」と語った。
(写真:学位記を受け取り、学生証を返却する卒業生。神戸大六甲台第2キャンパスで3月25日午前11時ごろ撮影)
〈卒業生のコメント〉
▽文学部・女子学生
特に卒業式自体への思い入れはない。(サークルや友人の)みんなと写真を撮れたので良いかなと思う。
▽農学部・上村真理子さん
卒業式がなくなったのは残念。しかし、予定されていたコンベンションセンターには両親の入場が認められていなかったので、キャンパスなら親も来れたことは良かった。
▽経済学部・飯塚千明さん
ちゃんとした式がなかったので、今までより節目という感じがしない。
▽経営学部・女子学生
袴を着て学校で写真を撮れたので良かった。
▽法学部・澤田香樹さん
(学位記を郵送する)送料は自分持ちなので、勿体無いから取りに来た。この日はみんなで着飾って写真を撮りたかったので、式自体はどこでも良いと思う。
▽法学部・男子学生
卒業旅行が上海の予定から国内(熊本)に変更を余儀なくされた。航空会社から返金された。(式典がなくなったのは)さみしい。区切れの雰囲気が変わった。
▽法学部・男子学生
(卒業式は)一生に一回なので、(中止は)残念。だけど仕方ない。卒業旅行は2月に行ったので問題なくいけた。
▽発達科学部・東(あずま)千尋さん
今年で出身学部が統合されてなくなってしまう。今回は例年と違う形式になったが、ある意味記憶に残る式になって良かった。
▽発達科学部・富岡友紀さん
今年はホールでの卒業式がなくなったので、部活での写真が撮れなかった。毎年撮ってた。自分たちの代でできなくて残念。
▽発達科学部・伊藤好花さん
本音は(式典を)やりたかったが、社会情勢を見ていると仕方ないかなと思う。感情と理性がぶつかる感じ。卒業旅行でモロッコに行った。帰国する直前に、コロナ対策のため国外へ往来する航空便を全て停止するとモロッコ政府が決定したため、ほぼ最終便に乗るような形で17日にギリギリ日本に帰れた。自身もコロナでこういう状況にあったので、式中止になっても仕方ないと思う。
▽発達科学部・女子学生
学部・サークルで集まれたので大差ないと思う。これまでにも合唱団の部員として卒業式に出たことがあったので不満はそれほどない。
▽国際文化学研究科・吉松紗恵子さん
教授に会えなかったこと、同期に会えなかったことが残念。(国際文化学研究科では)学位記の授与が教務での受け渡しだった。
▽国際協力研究科・木本瑠那さん
すでに就職先に移っていたり、留学先からコロナの影響で帰国できなかったりと来れない友達が多かった。自身の専攻では出席者が4人中1人(自分だけ)だった。
了
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