オンライン授業の現場は? 先行開始した医学部の学生・教員に聞く

 医学部の医学科と保健学科では、4月6日から2年生以上を対象に、他学部に先行する形でオンラインでの遠隔授業が開始された。全学レベルでは緊急事態宣言の発令に伴い解除後の5月7日に開始を延期してオンライン授業の実施が予定されているが、医学科と保健学科では緊急事態宣言発令後もオンライン授業を継続して実施している。一足早くオンライン授業を実施している医学科と保健学科の教員と学生に聞いた。<前田万亜矢、玉井晃平>

「移動の手間なく時間有効に使える」

 授業のオンライン化は、教員にとっても学生にとってもこれまでにない取り組みだ。
 学生側の反応は悪くない。通学の手間が省けて家で気軽に受けられる点がむしろプラスとの意見が目立った。「普段の授業とはあまり違いは感じなかった」(医4年)、「受け心地は非常に良い。移動の手間が省け時間を有効に使える」(医2年)などの声が寄せられた。

「友人からの刺激がない」 「自宅では集中できない」

 対面授業に比べデメリットがあると指摘する声もある。
 医学部3年の後藤彩乃さんは、スライドも見やすく授業に集中できると高く評価しつつも、「周囲の友人から刺激を受けられないのが残念」という。佐伯祐哉さん(医3年)は、「受け心地は全く違う。見られていないのもあり、朝8時50分に起きて寝起きのまま授業に参加してしまう事もある。少し自分が受けている感じがなくてレコーディング出来ない授業は聴き逃しが普段より多いと感じる」と語った。
 教室ではなく自宅になると受け心地は変わるようで、龍野楓実さん(保健3年)は、「私は教室と違って、自分の部屋は周りに誘惑しかないので、あまり集中できないように思います」という。

「中断や開始遅れも」 「IDやパスワードの直前配布でバタバタ」

 トラブルについては、会議システムの操作ミスなどが一部ではあったようだ。
 「先生がまだ使い方がわかってなくて中断したり、開始できなかったりする時もあるし、1度全員のカメラを強制的にオンにした時もあった」(佐伯さん)。
 「先生が慣れていなくてスライドが共有できていないことがあった」(後藤さん)、「先生がZoomの仕組みをよくわかっていなくて、途中で切れたり、IDやパスワードを授業開始直前に知らされてバタバタしたことがあった」(龍野さん)という声も。
 通信量の問題については、「Wi-Fiがあれば通信量の問題は特にないと思います」(医4年)と、メディア研に寄せられた意見の中では発生していない。

「端末2つあると便利」 「マイクなど装備の確認を」

 事前に準備しておいたほうが良いものとして、「レジュメがBEEFからPDFで配布されることが多いので、授業を受けるためのデバイス+タブレットなど、端末が2つあると便利だと思います」(医4年)というアドバイスがあった。
 「私のPCはマイクが標準装備でなかったため、指名された際発言できなかった」(医2年)という学生は、マイク付きイヤホン(ヘッドセット)用意しておけばよかったと反省。また、「パソコンを十分充電しておくと良いと思います!」(龍野さん)、「課題が毎日出席代わりに出されている。レジュメ以外見られるものが最初の1週間はなかったので、専門科目は特に教科書は買っておいた方がいいかもしれない」(佐伯さん)などの声が上がっている。

「大学は本来『自分に知的刺激を与えてくれる人』に出会う場所」 保健学科・駒井准教授に聞く

 教える側の視点からはどうなのか。4月6日からのオンライン授業を実際に受け持っている、保健学研究科の駒井浩一郎准教授 (http://www.ams.kobe-u.ac.jp/member/komai_koichiro2.html)は、 遠隔授業の利点と戸惑った点についてメール取材に答えてくれた。

??今までの対面式授業と感覚はどう違うか。
「やはり対面で話すことに慣れているので、誰もいない状況で話し続けることに最初は戸惑いました。また対面式ですとその時々の受講生の表情や笑い、(寝ている人の割合)などから、話している内容が伝わっているかどうかを確認できるのですが、それがわからない分、普段よりも理解度を確認しながら講義を進める必要があると感じます」。

??接続できない、中断するなどといったトラブルはあったか。
「少なくて40人、多くて160人の複数講義を担当していますが、今のところ技術トラブルは聞いていません。講義開始前からログインしている学生さんも多く、毎回視聴動作できているか確認をしますが、意外とスムーズに導入できていると感じます。遠隔会議アプリのセキュリティ問題が報道されたこともありますが、改良が頻繁に行われているので、受講生がインストールしたZoomやWebexなども絶えずアップデートを確認していただきたいです」。

??学生側の反応は。
「まだ直接感想を聞いてはいませんが、出席(受講)率は非常に良いので、登校に時間がかからない分、参加しやすくなったのは遠隔授業の利点だと思います。また保健学科については、現在の状況下で医療系学生としての自覚も上がっているのではないでしょうか」。

??いま、一番感じていること、言いたいことは?
「意外とスムーズに遠隔講義はできると思いましたが、やはり大学とは教員、友人を問わずに『自分に知的刺激を与えてくれる人』に出会う場所なので、事態が収束したら授業はやはり対面式でやりたいと思います。また実験・実習科目はサンプルデータを示してレポートを作成してもらうやり方で対応する予定ですが、そもそも遠隔授業で代替はできませんので、最も歯がゆいところです。また外国からの留学生や大学院生の研究活動や就職活動が停止していることも大変憂慮しています。ただ世界規模の感染の中で、既存の人類社会の様々な問題が改めてあぶり出されているとも思いますので、学生さんにとっては各自の専攻分野における課題発掘ができる機会とも言えます。不自由な生活が続いていますが、いつかこの事態が収束した時、傷ついた人々の力になれるよう、今できるやり方で各自の勉強や思索を深めてもらいたいと思います」。

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