【緊急特集】六甲祭を考える? なぜミスコン・ミスターコンだけの開催なのか

 オンラインで開催する方針が決まっていた神戸大最大の学園祭「六甲祭」。運営する六甲祭実行委員会(実行委)は、2020年9月末、ニュースネット委員会の取材に対して「今年度の六甲祭はミスコンテストとミスターコンテストのみを実施し、それ以外のイベントは中止」と明らかにした。
 これを報じた9月30日のニュースネット委員会のツイートには、「なぜミスコンだけ残る?」、「時代遅れだ」など、学内・学外から多くの反響が寄せられた。
 どうして実行委員はミスコン・ミスターコンだけの開催としたのか。なぜミスコン・ミスターコンは批判されるのだろうか。コロナ禍にさらされる中、満40年を迎えた学祭「六甲祭」を読者と考える。<特集「六甲祭を考える」取材班>

※新しい情報が入り次第項目を追加します。
※編集部では、神戸大学関係者からさらに多様な意見を求めています。フォーム https://forms.gle/7LSVVZXWiTo41cCb8 からお寄せください。


(画像:9月30日の12時58分のニュースネットのツイッター初報。69件の引用リツイートがある。2020年10月12日21:30のスクリーンショット。)

<目次>

▼「今年はミスコンとミスターコンのみ」報じたツイートに批判集中
 ▽実行委は「断腸の思いでオンラインに」「2大目玉企画を行う」
 ▽ニュースネットへの引用リツイートコメントを分析すると
   実行委の判断への疑問や落胆、批判=33%
   神戸大学への批判や落胆=13%
   ミスコン・ミスターコンへの疑問=4%

▼六甲祭実行委からは公式コメント出ず
▼オンライン開催決定から、ミスコン・ミスターコンだけになった経緯
▼なぜミスコン・ミスターコンだけが実施されるのか
 ▽「ミスコン・ミスターコン」以外の企画提案に対し実行委は…

▼「学園祭は何をする場なのか」幅広い議論を


(画像:批判リツートが多い中で、議論の深まりを期待するコメントもあった。2020年10月3日のスクリーンショットから。一部画像を加工しています。)

▼「今年はミスコンとミスターコンのみ」報じたツイートに批判集中


 9月30日の昼12時58分のニュースネットのツイッター初報「六甲祭 ミスコン、ミスターコンのみの開催に」(@newsnet_kobe_u)には、リツイートが102件(うち69件がコメント付きの引用リツイート)、「いいね」が58件(いずれも10月12日21時30分現在)あった。
 これに対し2日後の10月2日10時11分に「それ、一番やらなくていいやつ」と引用リツイートした神戸大教員のツイート(@hamatgwa)はさらに反響が大きく、リツイートが1112件、「いいね」は5240件に達した(10月12日21時30分現在)。

▽実行委は「断腸の思いでオンラインに」「2大目玉企画を行う」

 ニュースネットのツイート初報は、ウェブログ記事へのリンクが貼ってある(https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/8971b4a9336dba132cad8416f7191a9a)。
 記事には、「開催する予定の企画はミスキャンパス神戸と神大ボーイズコンテストのみとなる」という結論とともに、「お笑いコンテストなどのその他の企画は運営の判断により、全て中止となり、部活・サークルなどが参加する展示企画も、運営上の都合により開催しない方針だ」とある。
 さらに、実行委員長の「現地(キャンパス)での六甲祭は断腸の思いで中止と判断させていただきました。しかし、まだ出来ることはあるのではないかと考え部員一同で熟考してきました」、「全国の学園祭実行委員会と連携をとり、大学側とも協議を重ね、最終的にオンライン開催という形になりました。(中略)ミスコン、ミスターコンという2大目玉企画を行います」というコメントも掲載されている。

▽ニュースネットへの引用リツイートコメントを分析すると

 ニュースネットのツイートへの「引用リツイート」のコメントを分析すると、実行委の判断への疑問や批判が約33%。神戸大への批判や落胆が13%を占め、大学の学園祭自体への意見、報道への注文と続いた。ミスコン・ミスターコンへの疑問や批判がベースにあるものがほとんどだった。SNSは批判コメントが目立つこともあるため、この割合が世論の割合と一致するわけではない。ただ、批判の声が多数寄せられているのは事実だ。

(1)ミスコン・ミスターコンだけを実施する六甲祭実行委員会の判断への疑問や落胆、批判=33%
「なんとか実施できる企画だけでもやりたいというのは分かりますが、なぜよりによって『ミスコン、ミスターコンのみ』なのでしょうかね」
「結局、長年六甲祭と称して続けてきた学生のお祭りは『ミスコン』がやりたかっただけのことと露呈した」
「え、それを残すんだ? 一番運営しやすかったんだろうけど、よりにも寄って」
「『部員一同で熟考してきました』 それがこれか?救いようがないアホやな。」
「このご時世に、攻めてるなあ(誉めてません)」
「それなら全部なしでもよかったのでは」
「それもやめろよ。」
「この時代にまだジェンダー系のイベントが優先的に維持されるとはねぇ…」
「そんなもの、まだやってんのか。 未だにねるとん紅鯨団引きずってるのか。カッコ悪い。」
「1番不要な出し物を開催していくStyle」
「それ、一番やらなくていいやつ」
「ある意味世相を逆撫でしている笑」
「うーん」
「行政のやること並に意味わからん」
「情けない…と肩を落とす。」
「コンテストだけやんのむしろ要らんくね」
「アホやな。 あんたら。」
「一番やらなくていいやつですよそれ。」
「それ1番やらなくていいヤツでは?」
「どうした…」
「化石かよ。 くそだせえ。」
「残るのがそれ??わぉ。」
「それやらんでええやろ。」

(2)神戸大学への批判や落胆=13%
「神戸大学大丈夫かぁ?」
「それ今一番いらんやつ。神戸大しっかりせえよ」
「この記事長男に見せて進路の参考にしてもらおう」
「母校がまだこんなことしてるの、悲しすぎる。令和やぞ」
「古い価値観をお持ちの大学なんですね」
「どこの大学かと思ったら…」
「偏差値そこそこ高い大学なのに馬鹿なんですね」
「笑えない だからいつまでたっても愛校心が持てない」
「このご時世に‥勉強出来ても世の中の事を知らない、の典型例だな。 こういう情報、進路指導に役立つわねえ」

(3)ミスコン・ミスターコンへの疑問=4%
「資本主義の臭いがするゾッ」
「大きな大学のミス(ター)コンはそりゃ広告代理店様が大切なスポンサーをお引き連れくださいますからね。これ、どこがお金出すんだろうね?その企業の態勢が問われるよね?」
「大学のミスコンの類は業者の息がかかっているらしいけど、さすがに学祭実質中止でミスコンの類だけを開催するってのはすごいなぁ。中止したら高い違約金を支払わされるから中止できないみたいな事情でもあるんだろうか…。」

(4)大学の学園祭自体への意見=3%
「私が大学生の時には学園祭といえば筑紫哲也とか本多勝一とかが呼ばれて、いっぱい人だかりができたりしたが、、今や大学なんか幼稚園と同じ、、」
「学園祭が丸ごと不要。」

(5)報道への注文=3%
「!?議論の盛り上がりを期待します。」
「これ、どういう経緯でこういう決断になったのかをちゃんと取材して、ミスコン系イベントにまつわる現代的な議論も踏まえた記事を書けば大学発の報道媒体として存在感が出せそうなのに。」

 一方で、ニュースネットのアカウント以上に反響があった神戸大教員のツイート(@hamatgwa)などには、「俺は見たいし楽しみにしている」、「人との接触がコントロール効きそうなもので残りそうなイベントといえばこれぐらいしか残らない気がする」など、実行委の決定を支持する意見も少数だがみられた。

※編集部では、神戸大学関係者からさらに多様な意見を求めています。フォーム https://forms.gle/7LSVVZXWiTo41cCb8 からお寄せください。


(画像:ニュースネット委員会 公式のツイートに寄せられたリツイート。一部画面を加工しています。)

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▼六甲祭実行委からは公式コメント出ず

 ニュースネット委員会は六甲祭実行委員会に取材を申し込んだが、10月13日夜現在、実行委は公式コメントを出していない。
 実行委関係者はミスコン、ミスターコンに限って開催する方針に変更はないとしている。

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▼オンライン開催決定から、ミスコン・ミスターコンだけになった経緯

 六甲祭実行委が、「今年の六甲祭はオンライン開催」、さらに「ミスコン・ミスターコンだけを実施」という判断に至った経緯を、実行委の公式ツイッターアカウント(@rokkosai)から時系列を追って見てみる。(関連アカウントからのリツイート含む。絵文字は省略。)

 ミスコンは4月17日、ミスターコンは5月7日からそれぞれ出場者エントリーを開始している。
 ミスコン企画の公式ツイッターアカウント「ミスキャンパス神戸(@MsCamKOBE)」は、5月22日に「六甲祭が中止になってもSNS等でグランプリを決定するまで企画は続けさせていただく予定です!また未定ではありますがファイナルステージの代わりとなるような場が設けられればと考えております 」とツイートしていた。

 学園祭では、サークル・部活やゼミなどの団体が校舎内での学術企画を出展したり、屋外で模擬店を出店したりする。
 出展・出店予定者向けには、6月、7月に1回ずつ「受け付け日」が8月中旬から下旬に延期されるという告知があっただけで、その後の経過説明はなかった。
 そして、8月10日に重要なお知らせというタイトルで、「オンライン開催の決定」、「出店受付・出展受付は全て中止」が告知された。同時に「ミスコンなどの企画は実施予定です」とツイートされている。
 その後、8月15日にミスコン、9月15日にミスターコンの出場者を発表。出店や出展を申し込もうという関係者には、その後公式ツイッターでの告知はない。
 実行委の公式ツイッターアカウントには、これ以降、ミスコンとミスターコン関連の告知ツイートだけが流れている(リツイート含む)。
 そして、9月30日にニュースネットが「六甲祭 ミスコン、ミスターコンのみの開催に」のツイートを流した。
 昨年ステージイベントを開催した団体の関係者も、この時点で「初めて(ミスコン、ミスターコンのみ開催という)事態を知った」と話している。

▽4月17日 20:06
「本日より出場者募集開始!」
本日より Ms. Campus KOBE 2020 出場者募集を開始しました!!

▽5月7日 19:30
「出場者募集 神大ボーイズコンテスト」
今年も、ミスターコン開催します
我こそはという神大男子も、自信をつけたいなぁという神大男子も、大歓迎です!

▽6月16日 20:44
「今年の六甲祭に出展、出店予定の団体の皆さまへ」
今年も出展、出店受付を以下の日程で行います!
模擬店出店受付、屋外出展受付、学舎内出展受付
8/17(月)?8/18(火)
今後の状況により変更の可能性があります。

▽7月14日 20:34
「出展・出店受付の日時変更のお知らせ」
屋外出展受付・模擬店出店受付は8/24(月)、8/25(火)に

▽8月10日 16:26
「重要なお知らせ」
本年度の六甲祭は、昨今の状況を鑑み”オンライン開催”となりました! 残念ながら模擬店などはありませんが、ミスコン( @MsCamKOBE )などの企画は実施予定です。詳細は後日発表させていただきますので、お楽しみに!

▽8月10日 18:09
これに伴い、予定していた出店受付・出展受付は全て中止と致します。 予定を空けてくださっていた皆さま、大変申し訳ございません。

▽8月15日 20:00
ミスキャンパス神戸 ファイナリスト5人発表

▽9月15日 20:00
神大ボーイズコンテスト 出場者6人発表

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▼オンライン六甲祭 なぜミスコン・ミスターコンだけが実施されるのか

 実行委関係者によると、サークル・部活の出展や模擬店など他のイベントを全て中止した理由は、「オンラインで開催したときに(出展)できる団体とできない団体が出てきては不公平が生まれる」、「(オンライン出展可能な団体が)それぞれがやることで個々が目立ってしまい、六甲祭としてのまとまりが生まれない」と説明している。
 なお、ミスコンテスト「ミスキャンパス神戸」とミスターコンテスト「神大ボーイズコンテスト」は、これまでもネット上で投票を行なってきている。

▽「ミスコン・ミスターコン」以外の企画提案に対し実行委は…

 一方で、六甲祭で他の企画はできないのか、10月に入って模索する動きもあった。
毎年、企画出展をしている団体の関係者は、「ニュースネットの報道でミスコン、ミスターコン以外の六甲祭の企画が中止と知った。何か他に企画はできないか実行委に問い合わせた」という。
 この関係者によると、実行委は「(実行委内部で)今回の六甲祭は中止するという『決意』をした」、「大学に今後新たな企画書を提出するのが困難」の2点を理由として、新たに企画はできないと説明したという。
 ニュースネットの取材に、10月10日現在、実行委は今後新たな企画を追加することはないとしている。実行委幹部は、「大学への企画書提出締切が過ぎたので、制度上新企画は不可能だ」とその理由を説明する。

 大学への企画提出の締め切りはいつだったのか?
 学務部学生支援課に10月9日午後電話取材すると、「大学として企画書を締め切った事実はない」という。
「六甲祭」のブランドを使う場合は、大学への企画書提出を求めている。大学としては「六甲祭」は実行委が中心になって進めるイベントと考えていて、「六甲祭」の名を使って企画を行いたい場合、実行委を通じて大学に企画書を出せば開催可能としている。学生支援課の担当者は「六甲祭まで時間が迫っているため急ぐ必要はあるが、今からでも企画を行うことはできる」と話した。

 六甲祭に参加を予定していた団体の中には、六甲祭で実施予定だった企画を「六甲祭」の名を冠せず独自に行う動きもある。放送委員会は毎年六甲祭で主催している定番企画「King of Stage」を、六甲祭とは別に単独のイベントとして開催する。日程は本来六甲祭が予定されていた11月14日、15日でYouTube Liveで映像作品の上映や視聴者参加企画などを行う予定だ。

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▼「学園祭は何をする場なのか」幅広い議論を

 学内外からの反応の多くは、「オンライン開催はやむを得ないが、『ミスコン・ミスターコン』だけを実施することになったのはなぜか?」に集中している。
 実行委は、これまでの取材に、
1)熟考してきたが、最終的にオンライン開催という形になった。今回は模擬店やお笑いライブといった企画は実施出来ないが、ミスコン、ミスターコンという2大目玉企画を行う。(9月下旬)
2)大学への企画書提出締切が過ぎたので、制度上新企画は不可能。(10月上旬)
と答えているが、ミスコン、ミスターコンだけが残ることになったことについて、実行委内でどのような議論があったのか。そして、ステージや屋内企画の出店・出展を予定していた団体に、その過程をどう説明するのか。
 フランクに語り合う姿勢が求められるのではないだろうか。

 ニュースネット委員会は、毎年六甲祭に出展している団体の関係者に電話取材した。その団体では出展の際に学外の人に協力してもらう必要があり、例年早めに準備を行っているという。
 同関係者はコロナ禍の六甲祭への影響が気になり、7月ごろ、六甲祭の今後の予定などについて実行委に問い合わせていた。
 いくつか質問項目を設けていたが、「実行委内での開催か中止かの議論に実行委以外の学生の意見が反映される機会はあるのか」という問いには、返答がなかったという。同関係者は、「(毎年出店・出展している団体に何も説明してくれないのは)不誠実に感じた」と語っている。

 体育会、応援団総部、文化総部、放送委員会はじめ、サークルやゼミ、ボランティア団体、学術団体など多くの学生が、40年支えてきた学園祭「六甲祭」。
 音楽演奏会やゲーム、学術企画や討論会など多彩な企画が行われてきた。
 オンラインで実施と決まった時に、どのような企画を行うのか、せめて毎年参加している団体に意見を聞くことはできなかったのか?

 実行委と神戸大生、それに卒業生と教職員も巻き込んで、「学園祭とは何をする場なのか?」という議論が深まることが、コロナ禍の今求められているのではないか。

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▽「緊急特集:六甲祭を考える? なぜミスコン・ミスターコンだけの開催なのか」
https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/8d0418a3ebc49428fe3788df9149a4fd
▽「緊急特集:六甲祭を考える? 1980年代から続くミスコンの歴史」https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/b9bd45a2380d3b19208dd03a7488a013
▽「緊急特集:六甲祭を考える? ミスコン・ミスターコン自体への賛否」https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/fe7302b37428d5befef46b513be16e09
※編集部では、神戸大学関係者からさらに多様な意見を求めています。フォーム https://forms.gle/7LSVVZXWiTo41cCb8 からお寄せください。

[2020年10月14日 23:45 アップロード]

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