インタビュー『LIVE』 緊急企画「コロナ禍の下の神大生」?
灘チャレンジ2020実行委員会 黒田柊真さん・堀田ちひろさん
(写真:灘チャレンジ2020実行委員会副委員長の黒田柊真さん=左=と堀田ちひろさん=右=)
コロナ禍の下で、神戸大生はどう過ごしてきたのか。インタビュー『LIVE』の緊急企画「コロナ禍の下の神大生」では、危機に立ち向かった神戸大生たちに話を聞く。
第3回は「灘チャレンジ2020実行委員会」で副委員長を務める堀田ちひろさん(済2年)と、同じく副委員長の黒田柊真さん(工3年)。
「灘チャレンジ」とは、毎年6月下旬か7月上旬に神戸市灘区の都賀川公園周辺で開かれる、地域の住民と学生の手で開催する夏祭り。阪神・淡路大震災の復興祭として1995年に始まった。近年は、震災のことを学生と市民が振り返り、地域の絆を考える大切な場として続けられてきた。
今年は新型コロナの感染拡大の影響で9月に延期すると実行委員会はいったん発表。しかし、新型コロナウイルスの感染がさらに広がったためそれもできなくなった。かわりに、年末から年明けの2021年1月17日の阪神・淡路大震災26年の日にかけて、オンラインで開催する方針だという。
苦渋の決断に至った経緯と、オンライン開催への意気込みを聞く。
(写真:インタビューに答える灘チャレンジ2020実行委員会の堀田ちひろ・副委員長=画面左下、右下は松尾一篤・委員長)
《5月29日オンラインでインタビュー》
3月上旬から活動ができなくなり始めた
<聞き手>灘チャレンジといえば、合気道部の演舞や、落語研究会の寄席など学生が出演するステージ企画や、地域住民の出す模擬店などが魅力です。春には準備がスタートしていたんじゃないですか?
<堀田>いつもの年なら、4月から新しく入部した1年生も部署に加わって準備に奔走する時期でした。
<聞き手>ところが2月28日に「当分の間、可能な限り課外活動を延期または中止」という自粛要請が大学から出て、3月5日には「課外活動の中止、延期」の要請も加わって、一気に学生の活動が凍結されました。
<堀田>灘チャレンジの団体(実行委員会)としての活動ができなくなり始めた3月上旬くらいは、特に何も考えずにのらりくらりと勉強するかアニメ見るくらいかの生活をしてて、3月中旬、実家に帰るちょっと前に、体調崩したんですよ。病院に行ったら、ストレスって言われて。たぶん、自分が察するになんですけど、急に予定がなくなったりとか、人に会わなくなったりしたからかなあ、みたいな。お医者さんに環境の変化によるストレスっていうのが多いかもねえって言われて。あーこれは、新型コロナウイルスのせいでストレスで体調不良かあと思って。そこからは、結構毎日、時間計って勉強するとか、規則正しい生活っていうか、毎日目的をもって生きよう!みたいな。そういえば前から取りたい資格もあったなとか思って、その本を買いに行って、勉強してみたりとかしました。
自粛期間も友達とつながっていた
<聞き手>予定もたくさん無くなってしまった自粛期間中、どうやって友達とコミュニケーションとったりしてましたか?
<堀田>オンラインで、高校の部活の友達でとか、例えば大学のサークルの同期でとかは1回ずつくらいありましたね。個人的に電話しようって言ってくれる子もいたりとか。自分がいくつかサークルに入ってるっていうのもあって、ほっといてもサークルのミーティングとかで、人とは喋ることはできました。
<聞き手>アルバイトは、何をされてるんですか?
<堀田>実は1月に辞めていて、(自粛期間には)やってなかったんです。で、3月くらいにもうそろそろバイトを始めなきゃと思って、3月の31日に面接に行ったんですよ(笑)。三宮へ。ケーキ屋さんでした。結構いい感じで面接喋れたなって思ってたんですけど。5日後には電話がかかってくる予定だったんですけど、かかってこなくて。でも察するに、あちらの営業が止まってしまったのかなって。
(写真:都賀川公園で行われる市民と学生の地域イベントが「灘チャレンジ」だ。 2017年7月7日 撮影=瀧本善斗)
コロナが終わったら「灘チャレンジ」したい!
<聞き手>コロナが終わったらしたいことってありますか?
<堀田>とりあえず灘チャレンジはしたい。あとはそうだな、外に出て学校に行けるようになって、実家にも帰れますよね。遊びに行こうと思ったら旅行も行ける!あ、何十作も見たアニメの感想全部誰かに聞いてもらえます(笑)。公開延期になった映画って結構あるじゃないですか。あれ見に行きたい、例えばコナンとか、ポケモンとか、アニメ好きなんで!
<聞き手>学校行きたい!って出ましたが、オンライン授業はどんな感じですか?
<堀田>105分パソコンに向かってじっとしてるっていうのが、対面で105分じっとしてるよりもきついっていう風に感じるんですよ。イヤホンも大変だし、机の高さ的にちょっと猫背気味にならないといけないし。
<聞き手>対面授業とオンライン授業、どっちがやりやすいとかはありますか?
<堀田>オンラインは話し合いがしづらいのはありますね、Zoomでブレイクアウトルームってあるじゃないですか。あれで、話せって言われるんですけど、アイコンタクトができないんですよ。次誰が喋るみたいなアイコンタクトができなくて、指差しをしようとしてもカメラの位置がわからなかったり。アイコンタクトができないのは致命的だなって思います。
感染拡大の影響 プラスもマイナスもある
<聞き手>今のコロナの影響を受けている生活をどう感じていますか。
<堀田>個人的には、困っていることよりもプラスになっていることの方が多いなあとは思ってて…。1年生の時いくつかサークルに入っていて全然時間がなかったんです。1日なにかしら予定が入ってるっていう状況から、急に何もないっていう風になって、時間ができた。一旦体調は崩しましたけど、結局自分のやりたい事を見つける時間にもなったし、実行する時間にもなったし、趣味の時間を毎日作れる日々にもなったなあって感じで。元の生活に戻ったら戻ったで楽しいんでしょうけど、学校のあの坂を上っていくのか、みたいに思っちゃう日もあるかも。
<聞き手>自粛期間はプラスばかりでしたか。
<堀田>マイナスっていうところだと、新型コロナウイルス感染拡大ぎりぎりのところで、学生震災救援隊での活動でパネル展をだそうとしていたんです。それまで頑張って作ってたんですけど、それが日の目をみることが無くなってしまって。それは、残念だったかなぁ、と思う部分はあります。準備していた事が色々無くなったのは残念でしたね。
(写真:オンラインインタビューに答える堀田ちひろ・副委員長=画面左上=と黒田柊真・副委員長=画面下=)
《10月22日オンラインで追加インタビュー》
新型コロナの感染拡大 9月開催を断念
<聞き手>前回、取材させていただいた時には灘チャレンジを9月に開催方針ということでしたが、同じく副委員長で3年生の黒田さんにも加わっていただいて、どういった経緯で中止になったのかを教えてください。
<堀田>じつは前回の取材の時期に、コロナがここまで長引くとは思っていなくて…。インフルエンザのようなイメージで、夏が過ぎたらと思っていたんですが。準備期間の兼ね合いもあり、9月の開催は断念するということになりました。
<聞き手>それでオンライン開催に?
<堀田>灘チャレンジとして何かできることはないかと思い、オンライン開催をすることにしました。
<聞き手>時期はいつ頃を予定しているんですか?
<堀田>サイトのオープンは12月末、リアルタイム企画は来年の1月17日を予定しています。阪神・淡路大震災の日ですね。当日に団体としてなにかできないかと思って、この日程にしました。
オンライン灘チャ 1月17日にリアルタイム企画
<聞き手>このリアルタイム配信ではどのようなことをされるんですか?
<堀田>まず柱が3つあって、「防災」、「灘区の紹介」、「ステージ」なんですけど、リアルタイムで何がどこまでできるのかっていうところはまだまだ準備段階で分からないです。
<聞き手>今回のオンライン開催で、例年とはガラっと変わったものになりますよね。
<堀田>そうですね、例年だと地域の方の模擬店だったりフリマがあったり、ステージもあるので。
<聞き手>そうですよね、地域の方とのかかわり方っていうのも変わってきそうですね。
<堀田>例年通りつながりをもつことはできないと思うんですけど、地元の方にも見守っていただきつつ、企画を考えれたらなと思っています。
<黒田>YouTube Liveを使ったりとか、実際に来た人とリアルタイムで交流したりとか、いままでの灘チャレンジのステージみたいな感じで、発信していけたらなっていうことを考えています。
北海道からも沖縄からも参加できる
<聞き手>オンラインだからこそできると思う事はありますか?
<堀田>そうですね、いつもだと灘区民ホールの横の都賀川公園というところでやっていたので、灘区だったり神戸市内の方が中心だったんですけど、今年はオンライン開催ということで、北海道の方も沖縄の方も参加しようと思えば参加していただけるっていう。それによって灘区のことを知っていただけたりとか、灘チャレンジ実行委員会から発信したいことを受け取って頂ける方が増えたり、範囲が広がったりするっていうのは結構大きい変化かなと思います。
<聞き手>なるほど、たしかにそうですね。サイトではどういった企画をされる予定ですか?
<堀田>サイトのほうでは、防災についてのコラム企画と、灘区を紹介する企画です。まず防災のことを知ろう!灘区のことを知ろう!みたいな感じで、企画もまたオリジナリティを出したいねって話していて、みんな結構熱がはいっているなと感じています。学生らしさとか、灘チャレンジらしさっていうのが出てるといいなと思っています。
(写真:神戸大生と地域の市民がいっしょに出店するのも「灘チャレンジ」の特徴だ。 2017年7月7日 撮影=瀧本善斗)
屋外での灘チャ知るのは3、4年生だけ
<聞き手>たしか、去年の灘チャレンジも雨で中止になっていて、今年もコロナでオンライン開催ということなんですが、イベントに参加したことがあるのが今の3、4年生だけになりますよね。来年に向けて学内で知名度をあげたり、部員の中で次の代への引継ぎだったりていうのはどのようにしようと考えていますか?
<堀田>引継ぎは前の代の人、今の3、4年生の人から仕事内容の説明は一応受けるだけ受けて、形式的な引継ぎはしているんですが、やっぱり不安はすごく大きいですよね。当日の様子を全然知らないので、どのくらい人がいるのかも写真でしか見たことがない。先輩方に手伝ってもらうかなと。
<黒田>でも来年唯一経験のある4回生の僕たちも、1回生の時に1回やっただけなんですよ。
<聞き手>あ!そうなんですね、本当ですね。
<黒田>もうあの日の思い出を忘れつつあるので、ほんまに2年前なんで。
<聞き手>そうですよね。
<黒田>僕たちができる限りはフォローしようと思ってます。
新入部員はまだ6人 あと1人、2人増えたらうれしい!
<聞き手>新歓活動はどうですか。1年生は結構入ってきてますか?
<堀田>1年生が4人と…。
<黒田>他大学で2回生の子が2人入ってきてくれました。それはなんか友達の友達みたいな感じで(笑)今年は6人が一応入ってくれてます。
<聞き手>例年だとだいたい何人くらい新入生入るんですか?
<黒田>去年は20人くらいですね。フェードアウトした方も含めて…(笑)。
<聞き手>じゃあ今年はだいぶ少ないような。
<黒田>少ないですね、やっぱり普通にできてたらもうちょっと入ってたかなっていう感じなんですけど、コロナの影響受けてますね。
<聞き手>これまでに入部した1年生はどんな活動しているんですか?
<黒田>一緒に灘区のことを知ったり、防災のこと考えたり。
<聞き手>新歓っていうのはオンラインがメインですか?
<黒田>そうですね、オンラインだけでやってきましたね。
<聞き手>9月、10月にかけて対面の活動も始まってきましたけど、灘チャレンジの実行委員会は対面の活動は行っていますか?
<黒田>基本的に、Zoomを使って話し合ってみたいな感じで今のところいけてます。
<聞き手>10月末には秋新歓がありますが、参加されますか?
<黒田>参加します!
<聞き手>何人くらいきてほしいなとかありますか?
<黒田>ええ、難しい!
<堀田>でもなんか、あと1人、2人増えたらめっちゃうれしいくらいの気持ちです。
<黒田>11月14日には久しぶりに灘チャの新歓もあるので、ガイダンスみたいな感じでするんですけど、ぜひ来てください。
来年、都賀川公園で開催する際はぜひ足運んで
<聞き手>12月から1月に開催する「オンライン灘チャレンジ」に向けて、意気込みをお願いします。
<堀田>灘チャレンジが生まれたきっかけが災害っていうところで、時を経て、今は地域のお祭りみたいな要素も持っている灘チャレンジなんですが、今年、防災と灘区紹介っていうのを改めて大きい柱として持ってきているので、灘チャレンジの原点を色濃く出せるんじゃないかなというふうに思います。それを灘区の人だけじゃなくて、遠くに住んでらっしゃる方とか、昔灘区にゆかりのあった方とか、そういう方に幅広く見ていただけたらなと思います。
<黒田>そうですね、YouTube使ったりするのも今まではしたことなかったですけど、そこでいろいろ景品用意して抽選会とか、生配信の方も面白いコンテンツ考えてるので、そこを頑張ろうっていうのが意気込みですね!いろんな人に見てもらって、灘チャレンジのことを知ってもらいたいです。
<聞き手>最後に、この記事を読む神大生にメッセージをいただけたらなと思います。
<黒田>はい!こういう灘区特化型サークルが神戸大学には存在してるので、興味があれば気軽にお声がけいただけたら嬉しいです。
<堀田>来年また、都賀川公園で開催した際には、現地に足を運んでほしいなと思います。
<文・前田万亜矢、玉井晃平>
【黒田柊真(くろだ・しゅうま) 工3年】
灘チャレンジ実行委員会副委員長。私立柳学園高校(現・柳学園蒼海高等学校)出身。
【堀田ちひろ(ほった・ちひろ) 済2年】
灘チャレンジ実行委員会副委員長。三重県立四日市高校出身。
了
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