鶴1キャンパスの「クマ出没情報」 市はイノシシではとの見方

 「再度、出没する可能性がありますので、不用意に近づくことの無いようご注意ください」。11月16日午前、大学から部活・サークルあての一斉メールで伝えられた「鶴甲第1キャンパス付近でクマのものと見られる足跡と糞見つかる」の情報。複数の部局が情報共有したまではよかったが、だれも情報提供者に確認せず、証拠とされる写真も見ていないということがわかった。神戸市は状況から「イノシシではないか」との見解を示していて、大学側は今後の情報提供を待つという。イノシシとて市民にケガをさせる存在。今年は各地でクマが出没している。それだけに、この情報を「不確実なお騒がせ情報」と処理してしまっていいのだろうか。<塚本 光>

 発端のメールの差出人は学生支援課(課外活動担当)、11月16日午前10時27分送信で、タイトルは「(注意喚起)学内に熊出没の可能性あり」となっている。
 メールの文面は、「今朝(11/16)、地域住民から理学部へ報告がありました。『(おそらく鶴甲キャンパスの)剣道場、グラウンドの近くで、熊のものと見られる足跡とフンを見かけた。写真を撮って詳しい人に見てもらったところ、熊に間違いないと返事をもらった』とのことです」となっている。
 さらに「再度、出没する可能性もありますので、不用意に近づくことの無いようご注意ください。団連の代表者は、各団体への周知をお願いします」と結んでいる。

 ニュースネット委員会は、約1時間後の11時34分に、生活情報系のツイッターアカウント『神大PORTAL』(@oroshi6565)で、「【注意喚起】学内に熊出没の可能性あり 鶴甲キャンパスの剣道場、グラウンド付近で熊のものと見られる足跡と糞が発見」と配信した。
 13時50分には、「神戸大の学生支援課は、『11月16日朝、学内で熊のものと見られる足跡とフンを見かけた』と地域住民から理学部に報告があった、と全ての課外活動団体にメールで伝えた。動物を見かけたら不用意に近づかないよう注意を呼びかけている」と、ニュースアカウント『神戸大ニュースネット』(@newsnet_kobe_u)でも伝えた。
 このツイートは、11月17日午前0時現在で11万件のインプレッション(閲覧)が記録されている。

「共有」はされたが「確認」はされなかった情報
 
 学生支援課に電話取材すると、「理学部総務課からの情報だ」との返事。
 理学部に聞くと、場所は鶴甲第1キャンパスだといい、「朝、理学部の教員が大学構内を歩いていたところ、地域住民に『大学構内にクマの糞や足跡らしきものがあるから、大学のしかるべきところに言ってくれ』と言われた。教員はどこに連絡すればいいかわからなかったので、理学部総務課に連絡してきた」と答えた。
 理学部は、「大学の本部総務課に、教員からの報告のままを伝えた」という。「この情報をなんで知ってるんですか」と記者に答え、学務部学生支援課からメールで学生に伝わったことを把握していなかった。

 教員が「『写真を撮って詳しい人に見てもらったところ、熊に間違いないと返事をもらった』と地域住民から声をかけられた」と話していたことについて、理学部は「『詳しい人』とは地域住民が言っていただけで、それが誰かもわからないし、本当に詳しいかの担保もない」と話しており、学部としてはその地域住民の連絡先を把握しておらず、写真も見ていないという。
 地域住民から話を聞いた教員に取材をしたいと取材を申し込んだところ、「教員に連絡をしたが、『大学に伝えたことがすべてなので、これ以上お話しすることはない』との返事があった」と回答。「ニュースネットの取材はお断りしたい」と教員への取り次ぎはしてもらえなかった。

 理学部からの報告を受けた本部総務課に取材したところ、「この(大学構内にクマの糞や足跡らしきものがあると地域住民から教員が聞いたという)報告を神戸市に伝えた。神戸市の担当者の見解としては、『イノシシではないか。続報があればまたご相談いただきたい』と言われた」といい、いまのところ様子を見ているという。
 大学としては、現場に行っての確認などはしていない、としている。

 学生支援課に再度取材して、どこから連絡を受けて、学生にメールを流したか確認したところ、「理学部総務課、学務部学務課、同学生支援課の順に情報が回って来た」と話している。

 情報共有は大切だ。だが結局、本部も、理学部も、学務部も、▽報告して来た地域住民の名前や連絡先を把握していない。▽クマの糞や足跡の写真も確認していない。いずれも「念のため」、「万一のことがあっては」という善意の行動だったと思われるが、情報は、ただ回されただけで「確認」は行われていなかった。

六甲山上では去年クマの目撃情報が  

 今回の場合、情報提供した地域住民の名前や連絡先を確認したり、その情報提供者が糞や足跡の写真を持っているなら学内でそれを解析して注意を喚起する姿勢が必要で、各部局が「情報を上げればよし」とするだけでは学生や教職員の安全は守られない。
 
 イノシシが頻繁に出没する神戸大周辺では、大型の動物に注意することは大切だ。危険な動物の出没については、学生や教職員、特に後期から登校を始めた1年生にはいち早く情報提供する必要がある。
 実は六甲山でもクマ出没の情報がある。2019年12月21日に「灘区六甲山町五介山の登山道にクマが出没」という目撃情報が兵庫県警に寄せられている。(危険動物ニュース=https://this.kiji.is/581516593135895649
 今年は各地でクマが出没しているだけに、今回の情報を「不確実なお騒がせ情報」と処理していいのかどうか。
 今後の情報提供を待つしかない。

▽関連ニュース「【新入生メモ3】ほんとは怖いウリボーの話 牙で切り裂かれる!」=https://blog.goo.ne.jp/kobe_u_media/e/8bbbc4c913ab84dca3392bb1210defcf(2020年04月11日掲載)

【読者の皆さんへ】大学周辺でクマらしき動物を見かけた、イノシシの被害にあいそうになった、などの情報がありましたら、フォーム(https://form1ssl.fc2.com/form/?id=33da2e27148e82dc)でお寄せください。<神戸大ニュースネット委員会 編集部>

[2020年11月17日 00時05分アップロード、09:00更新]

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