「神戸大のブランディングに注力」 藤澤次期学長 抱負語る

 11月25日に次期学長予定者として発表された藤澤正人・医学研究科長が、同日、神戸大医学部神緑会館で記者会見を行った。この中で、藤澤氏は現在の大学を取り巻く状況を説明したうえで、研究、教育そして大学運営についての抱負を述べ、神戸大学のブランディングに注力しながら、「地域社会において、神戸大学が核となり経済、文化、生命、環境、人間活動を活性化し、日本、世界に情報発信したい」と、次期神戸大学の学長としての決意を表明した。<副田隼矢>


(画像:記者会見で抱負を述べる藤澤正人・次期学長予定者。大学サイトの動画から。 2020年11月25日、神戸市中央区の医学部神緑会館で)

 藤澤次期学長予定者は、18歳人口の減少、国からの運営交付金の減少、大学間での激しい競争、グローバル化のさらなる進展、そして新型コロナウイルスの流行によって重要性が増したオンライン環境の整備など、現在の大学はさまざまな課題に直面していると解説。
 このような状況の中で、「研究教育経営の抜本的な改革に取り組み、国内外から世界トップレベルの教育研究者を糾合して、その質の向上と機能強化を図り優秀な人材を育成できる国際的な卓越研究教育拠点をめざす」と述べ、研究、教育と国際化、大学運営という3つの分野について神戸大学の目指す姿を示した。

▽近隣大学との連携模索し研究教育ハブ創設したい

 また、研究について藤澤氏は、「内の潜在的な卓越した研究教育資源を効率的に活用して、教職員が共同して新規性、独創性のあるそして傑出した異分野共創研究教育事業を創出、推進し、強い研究教育経営体を作って改革を進めたい」と語り、「研究教育機能を補完、強化するためには近隣の大学との連携を模索し、既存の大学間の枠を超え、それぞれの特徴的かつ卓越した研究教育資源を効率的、効果的に活用した新たな研究教育基盤としての共同の大学院やブリッジキャンパス、研究教育ハブなどの創設を検討したい」とも述べた。

▽入試改革を示唆 国際化にも積極的に対応

 教育面では、「優秀な学生さんを集めていくことは重要な課題であり(中略)多面的な観点から入試方法の分析を行い、新たな方策を考えていきたい」と述べ、入試改革を行うことを示唆。さらに、ポストコロナの教育システムについても「遠隔教育やeラーニングを利用した学習者主体のデジタル教育改革を推進し、効率的でかつ様々なリスクに対して盤石な教育システムを築く」とも述べた。
さらに「国際教育支援や留学環境の整備などに取り組み、海外卓越大学との国際交流や共同教育を推進しグローバル化を進める」と述べ、国際化に積極的に対応していく姿勢を示した。

▽外部資金増めざし、選択と集中を念頭に配分

 大学経営については、「いまだ少ない外部資金を増やして堅固で柔軟性のある主体的な経営基盤を築く」としたうえで、研究教育経費などは、「部局の特徴を踏まえたうえで、教育研究活動や外部資金の獲得に対して的確な評価をし、選択と集中を念頭に教育研究資金の配分や人材配置を考える」と語った。

▽神戸大学のブランディングに注力 地域から世界に情報発信

 最後に藤澤氏は、神戸大学のブランディングに注力しながら、「新型コロナ感染収束とともに変化してくる地域社会において、神戸大学が核となり経済、文化、生命、環境、人間活動を活性化し、町創生に貢献しながら日本、世界に情報発信したい」と、次期神戸大学の学長としての決意を表明した。

【動画】神戸大学次期学長予定者の記者会見=
https://www.youtube.com/watch?v=h968JOMIFnY&feature=youtu.be

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《藤澤正人・次期学長、記者会見での抱負全文》

 ただいまご紹介にあずかりました医学研究科長・医学部長の藤澤でございます。この度次期学長の予定者として選出されました。次期学長としての抱負を述べさせていただきたいと思います。すみませんマスクのままで失礼させていただきたいと思いますがよろしくお願いします。

 大学はですね、知的活動あるいは創造力によって真理を探究する基礎科学研究と、地域社会とともに作る応用科学研究を遂行してイノベーションを創出して、卓越した教育、それによって人材を育成して社会に貢献する。そういう使命を負っております。
 神戸大学はご存じの通り10学部15研究科を有する総合大学であります。自然科学系と人文社会学系が今後もバランスよく共生して教育研究活動を進めていきたいと思っております。
 また学長として、社会の価値が、価値軸が多元化、複雑化、流動化する中で次世代を見据えて危機意識を絶えず持ち、リーダーシップをしっかりと発揮して神戸大学の教育・研究機能の発展に向けて、社会の透明性の確保と説明責任を果たしながら継承と改革を念頭に運営を行ってまいりたいと思います。

 わたくしは、ただいま申しましたように医学研究科の臨床領域の外科系腎泌尿器科学が専門でございます。神戸大学では医学域臨床系からの学長はわたくしが初めてであります。これまでの研究教育活動とともに、病院長そして医学研究科長の経験を活かして大学の運営・経営を行って参りたいと思っております。

 皆さんご存じの通り、国からの大学への運営費交付金は年々減少しており、また社会は少子高齢化、グローバル化、そしてデジタル化が加速しております。さらに大学における研究におきましては国際競争の激化など、大学を取り巻く環境の変化もますます厳しくなってきております。さらには今年度当初より、新型コロナウイルス感染が流行し、日本さらには世界経済が低迷している中ではありますが、社会は一方ではものづくり社会から地域集約型社会へと変化してきております。
 神戸大学としては大学間競争が激しくなる中で、大学間の連携や他大学統合の動きも視野に入れて、研究教育経営の抜本的な改革に取り組み、国内外から世界トップレベルの教育研究者を糾合して、その質の向上と機能強化を図り優秀な人材を育成できる国際的な卓越研究教育拠点をめざしてまいりたいと思います。

 まず研究におきましては、学内の潜在的な卓越した研究教育資源を効率的に活用して地域社会を含めた異分野で共に創る、すなわち「共創」ですね。共に創る有機的な共創研究教育基盤の強化に努め、教職員が共同して新規性、独創性のあるそして傑出した異分野共創研究教育事業を創出、推進し、強い研究教育経営体を作って改革を進めてまいりたいと思っております。
 さらに研究教育機能を補完、強化するためには、近隣の大学との連携を模索し、既存の大学間の枠を超え、それぞれの特徴的かつ卓越した研究教育資源を効率的、効果的に活用した新たな研究教育基盤としての共同の大学院やブリッジキャンパス、研究教育ハブなどの創設を検討したいと思っております。
 また、これらの研究教育を支えていく人材を育成するうえで、優秀な若手、そしてあるいは女性研究者のキャリア支援と優れた研究環境の整備にも取り組んでまいりたいと思っております。特に博士課程の大学院学生そして若手研究者の研究費、そして経済的な支援に注力し、優秀なやる気のある学生さんや、若手研究者の学内キャリアアップを支援する体制を強化したいと思っております。

 次に教育と国際化の観点から述べさせていただきますと、学生あるいは神戸大学の未来を大きく左右するのは、教育における質の評価と改善であります。多様性、卓越性、国際性、をもった教育基盤を構築してまいりたいと思います。
 減少していく18歳人口、近隣の大学の統合、あるいは新型コロナ収束後の学生や社会の動向などを見据えながら、優秀な学生さんを集めていくことは重要な課題であり、学部の入試方法の継続的な改革は必須であると考えております。高大接続改革を念頭に多面的な観点から入試方法の分析を行い、新たな方策を考えていきたいと思います。
 また教育機能の強化において重要であるグローバル化を進めるにあたって、さらなる国際教育支援や留学環境の整備などに取り組み、海外卓越大学との国際交流や共同教育を推進しグローバル化を進めてまいります。さらに、海外留学生のみならず社会人、障がい者、幅広い年齢層の学生等すべての学生が安心して学べる環境と、国際性、多様性、柔軟性、卓越性に富む質の高い教育プログラム、そしてデータを活用した研究開発力を養うAIデータサイエンス教育を兼ね備えたグローバル&インクルーシブキャンパスを充実させ、デジタル社会で活躍できる有能な人材を育成し、神戸大学の優位性を示してまいりたいと思います。

 また、社会から大学教育に対するニーズが多様化してくる中、神戸大学の強みを生かし、さらに自治体、産業界なども含めた異分野で共に創る「産官学共創」による、知識、能力、技術の実践的教育や価値創造教育を重視し、文・理の枠を超えた教養を涵養してデジタル社会が求める有能な人材を育成してまいります。
 さらに、神戸大学の新たな目玉として学生を引き付けかつ社会が求める実践力を備えた人材を育成する先端的な「異分野で、共に創る」共創学科、あるいは大学院との組織改革を多部局連携、共同の下に推進してまいります。

 教育システムに関しましては、ポストコロナを見据えて特色のある次世代ICT教育基盤を整備し、学内あるいは社会人学生、海外学生へのオンライン授業による時空間の制約がない遠隔教育やeラーニングを利用した学習者主体の反転教育などのデジタル教育改革を推進し、効率的でかつ様々なリスクに対して盤石な教育システムを築いてまいります。そしてバーチャルとリアル空間が調和した次世代の時空を超える大学を目指したいと思います。

 今述べたような、研究教育を推進していくためには神戸大学としては神戸大学を取り巻く神戸市、兵庫県、関西広域、地元企業、神戸医療産業都市と多角的な連携を推進できる有機的な太い研究教育パイプラインの構築が重要であり、そのための広域的な神戸産官学連携研究教育プラットホームの設置を進めてまいりたいと思います。そして世界に発信できる先端的な異分野共創型の卓越研究教育事業を推進し、価値創造とそれを応用具現化していく知を創る、有能人材を創る、卓越環境を創る、の「三創」を実現して社会に貢献し神戸大学の威信を高めてまいります。さらにグローバル社会と競争し輝く未来に躍動する知の拠点をモットーにし、世界に誇れる研究大学を目指して全構成員とともにがんばって参りたいと思います。

 最後に大学運営・経営について述べさせていただきます。
 大学の管理運営体制における恒常的改革と主体的な経営基盤の安定化は研究大学としての卓越研究教育事業を発展させていくうえで非常に重要です。大学の生き残りをかけて、創造的改革を推し進めることができる透明性と、機動力の高いスリムな執行部体制を組閣し、運営において学長として最大限のリーダーシップを発揮したいと思います。
 経営においては、神戸大学が今後、教育研究機能を持続的に活性化し魅力ある研究大学に向けて改革を進め発展していくためには、いまだ少ない外部資金を増やして堅固で柔軟性のある主体的な経営基盤を築くことが最も重要であります。
 学術研究推進機構、産官学連携創造本部やオープンイノベーション機構などを支える有能人材の育成と部局との連携機能、そして知財管理を強化し外部資金の獲得に努めてまいります。
 一方、大学の機能強化と改革を俯瞰した戦略的な研究教育経費等の学内投資については、それぞれの事業についての評価をしっかり行い、これに基づき資金配分を検討し、機能性の高いPDCAサイクルを確立して事業の改善を図ります。
 さらにそれぞれの部局の特徴を踏まえたうえで、教育研究活動や外部資金の獲得に対して的確な評価をし、選択と集中を念頭に教育研究資金の配分や人材配置を考えてまいります。さらに、学内Io Tデジタル環境を整備し強化し学内運営における情報共有や意思決定の迅速化、会議や業務の効率化と構成員への負担(軽減)を図ります。

 力強く変革に挑戦し、躍動する神戸大学のブランディングに注力し、新型コロナウイルス感染収束とともに変化してくる地域社会において、神戸大学が核となり経済、文化、生命、環境、人間活動を活性化し、地方創生に貢献しながら日本、世界に情報発信し、貢献できるように鞠躬尽力(きっきゅうじんりょく)したいと思います。
 以上でございます。

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