12月23日、文部科学省が全国の大学などの対面授業の割合(10月20日時点)を公表。神戸大は京大、一橋大、慶大などと同じ「3割対面」と回答。学生の理解度は「大多数が理解」と文科省に報告している。オンライン授業の環境整備もアピールしているが、6月に発生した大規模ネットワーク障害で学内が混乱したことについては触れていない。
【文科省サイト】「大学等における後期等の授業の実施状況に関する調査
」https://www.mext.go.jp/content/20201223-mxt_kouhou01-000004520_01.pdf
(画像下:文科省サイトのスクリーンショット)
神戸大は「3割対面」 学生は「大多数が理解」
文部科学省は12月23日、対面授業の実施割合に関する調査を公表した。調査は377校の大学・短大が、10月20日時点の状況を回答。授業の実施状況や、学生の理解・納得を得るための取組状況、各校で行っている工夫なども回答できるようになっている。
神戸大は「3割対面」と回答し、学生の理解度は「大多数が理解」と文科省に答えている。
BEEFの早期導入やヘルプデスク自賛 6月の大規模障害にはふれず
全学部平均の対面授業の割合は3割程度だが、医学系の研究科では9割近くが、文系の1学部・2研究科、理系の2学部・3研究科でも5割程度は面接授業を実施しているとしている。
オンライン授業での学生の理解度については、8月に実施した第1・2クォーターの 「授業振り返りアンケート」などのデータを示し、「昨年度と比べて、授業理解度、シラバスの到達目標の達成度ともに伸びている」とし、6月下旬からの第2クォーターでは、一部の演習、実験などで対面授業を行い拡大したと評価。
1年生に対しては、「7月から9月にかけて登校機会を設けるよう依頼し、一部の学部で実施した」と、学生への配慮を行なったことをアピールしている。
オンライン授業の環境については、2015年度のLMS(BEEF)を導入、2019年入学者からのノートパソコン必携化とともにアクセスポイントの強化、ポータルサイト(「神戸大学レクチャーハブ」)や遠隔授業ヘルプデスクの開設などを強調、「遠隔授業の実施環境や機器の操作に大きな支障は発生しなかった」とアピールしているが、6月に発生した大規模ネットワーク障害で学内が混乱したことについては触れていない。
半分以上対面が190校 5割未満は187校
半分以上を対面授業で実施しているのが190校(50・4%)、対面授業が5割未満だった大学は187校(49・6%)だった。
▼「全面遠隔」と回答したのは国際教養大(秋田県)。
▼「ほぼ遠隔」は、東大、早大、埼玉大、横国大、都立大、青学大、上智大、東女大、日本女大、立教大、下関市大、立命館アジア太平洋大などで、首都圏に多い。
▼「半々」は立命、奈女大、北大、広大、香川大、愛媛大、九州工大、中央大など。
▼「3割対面」は神戸大のほか京大、九大、大市大、関学、一橋大、慶大、法政大、明大、専修大など。
▼「7割対面」は国立は政策研究大学院大(東京都)、公立は神戸市看護大、私立は北海学園大(北海道)、白鴎大(栃木県)、岐阜保健大、静岡英和学院大、愛知大、京都情報大学院大、大阪学院大、大阪樟蔭女大、大阪保健医療大、神戸常盤大、宇部フロンティア大、九州産大、久留米大、聖マリア学院大(福岡県)、九州ルーテル学院大(熊本県)、別府大(大分県)、南九州大(宮崎県)。
▼「ほぼ対面」は鳴門教育大、長崎大、医療創生大学(福島県)、奈良学園大、名桜大(沖縄県)。
神戸大の文科省への回答全文
文科省に対する、詳細な神戸大の回答は次の通り。
【学生への説明内容】
遠隔授業に係る本学の基本的な姿勢については、学長からのメッセージという形で説明している。そこでは、コロナ禍のもとでの学生・教職員の健康と学生の学修機会を確保するという視点から、遠隔授業を実施するに至った理由やその意義を説きつつ、あわせて大学の使命として面接授業の重要性についても論じている。 4月13日付「学生・教職員のみなさんへ」(https://lecturehub.kobe-u.ac.jp/)。
また8月12日付「学生の皆さんへ-第2クォーターを終えるにあたって-」では、 後期に向けて面接授業を増やす方向であることも説明している(https://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/sub_student/2020_08_12_02.html)。
なお、後期において遠隔授業を中心にしつつも面接授業を増やす方向であることについては、その際の注意事項を含めて、学務部より周知している。
▽8月11日付「令和2年度後期の授業実施について」 https://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/sub_student/2020_08_11_02.html
▽9月8日付「令和2年度後期における授業等の取扱いについて」 https://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/sub_student/2020_09_08_01.html
【学生の理解状況】
大多数が理解。
【学生の理解についての認識の理由、今後の取組方針等 】
本学では、「新型コロナウイルス感染拡大防止のための神戸大学の活動制限指 針」を定め、これに基づき、5月からの第1クォーターにおいてはほぼすべての授業を遠隔授業として実施したが、6月下旬からの第2クォーターでは、一部の演習、実験及び実習等で面接授業を行い、その対応を緩和した。また、学部新入生については、各学部に対して県内等における感染症拡大の状況に配慮しつつ大学への登校機会を設けるよう依頼し、一部の学部で7月から9月にか けて実施された。
遠隔授業に係る学生の理解の状況については、8月に実施した第1・2クォーターの 「授業振り返りアンケート」等において、昨年度と比べて、授業理解度(72.6%から80.7%に増加)、シラバスの到達目標の達成度(69.1%から76.3%に増加)において伸びがみられ、1週間あたりの学修時間が昨年度の12.3時間から15.9時間に増加した。
また、9月に行った全学生への遠隔授業に関するアンケートでは、学部生・大学院生ともに7割以上が、遠隔授業で受講した科目全体の8割以上は特に支障なく十分受講することができたと回答しており、面接授業を望む意見もあるものの、本学では遠方から通学する学生も多いため、感染予防の観点から遠隔授業の継続を望む声や、遠隔授業の優れた点を挙げる学生も多く見られた。
なお、本学では学習管理システム(LMS)を導入済(平成27年度)であり、平成31年4月の学部入学者からノートパソコンの必携化とともにアクセスポイントの強化も実施している。さらにこのたびの事態に際しては、早い段階でWeb会議システムも全学的に導入したこと、遠隔授業に係るポータルサイト(「神戸大学レクチャーハブ」)や遠隔授業ヘルプデスクを開設し、学生及び教員の利用に供したことから、 遠隔授業の実施環境や機器の操作に大きな支障は発生しなかった。
大学全体としての面接授業の割合は3割程度であるが、学部・研究科によってばらつきが大きい。国家資格取得を目的とする医学系の研究科では9割近くを面接授業で実施しており、また、比較的少人数で行う授業を多く開講する部局や十分な数の教室を保有している部局においては、感染症対策を比較的容易に行うことができることなどから、文系の1学部・2研究科、理系の2学部・3研究科でも5割程度は面接授業を実施しており、今後も各部局の事情に配慮しながら、面接授業の実施等登校機会の確保に努めていくこととしている。
(画像下:文科省サイトの神戸大回答部分)
了
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