さよなら深江丸 3月14日夕刻にも業者引き渡しへ

 延期になっていた海事科学研究科の練習船『深江丸』の業者引き渡しは3月14日朝も見送られた。同日夕刻から15日朝には深江キャンパスのポンド(船だまり)から出て、完全に業者に引き渡される見込みだ。3月22日には、新しい多機能練習船『海神丸』が入港する予定。<OB取材班>


(写真:深江丸の後ろを引いてコントロールするタグボート=手前=は入港しているが、前を曳く主力の曳航船が到着せず、深江丸はこの日も動かすことができなかった。2022年3月14日午前8時40分 神戸市東灘区深江南町で)

 廃船になった海事科学研究科の深江丸の業者引き渡し日程は、延期に次ぐ延期となった。
 売却先の三重県の業者の用意した曳舟がトラブルで串本から動けず、3月9日の引き渡しは見送られ、10日、11日も業者が代替船を手配するのに手間取り、12日の後期試験をはさんで週明け14日朝の離岸が告知されていた。ツイッター上では、「深江丸も名残を惜しんでいるのでしょう」などという“つぶやき”が見られた。
3月14日朝9時出航と告知され、学部関係者や市民ら数人が深江キャンパスの岸壁に集まったものの、この時間にも主力の曳航船が到着せず、深江丸は離岸できなかった。

 関係者の話では、14日夕刻から15日朝には、ポンドから近隣の岸壁に移され、神戸大の所管から離れるという。このあとは離岸の一般告知はしないという。


(写真:この日、最終講義を控えた船長の矢野吉治教授。2022年3月14日午前8時30分過ぎ 神戸市東灘区深江南町で)

 この日の午後に最終講義を控えた船長の矢野吉治教授は、「1997年から25年、四半世紀にわたって深江丸と過ごしました。この船が岸壁を離れると私の船長としての任務は終わります」と感慨深げ。「深江丸はなくなり海神丸があとを継ぐが、商船魂は受け継がれていきます。学生のみなさんには、しっかり学んでいってほしい」と話した。

●64年にわたって学生に親しまれた『深江丸』の船名

 戦後初代の『深江丸』は、1958年2月に進水。その後、2世は1968年2月に進水し、1987年に進水した今の『深江丸』は3世にあたる。『深江丸』は64年にわたって学生たちに親しまれてきた船名だ。
 一方、学校の組織も移り変わった。神戸商船大から2003年に神戸大学に統合されて海事科学部に。そして、2021年度からは海洋政策科学部へ改組され、文系入試で入ってきた学生は今春コース別に分かれて学びはじめる。
 船乗りの養成教育機関から分野を広げてきた同学部だが、海運のマネジメントを担う人材輩出もめざす教育機関へとさらに教育・研究分野が広がる。そのタイミングでの練習船深江丸の引退は、OBたちにとっても様々な思いが広がっている。

 あるOB(1977年、原子動力科卒)は、学長あて『深江丸』の名前を後継船に残してほしいと、同窓会のメンバーたちと嘆願書まで出したという。「商船大の意識の強い同窓生にとっては『深江丸』は大切な名前だった。でもこれを機に、後輩たちは『海神丸』で一生懸命勉強してほしい」と複雑な表情だ。
 1976年に機関科を卒業したOBは、勤務していた船舶部品メーカーの社員として進水したばかりの深江丸の試運転に乗船したことがあるという。「(後継の)海神丸は、総合大学の練習船として活動を開始する。まさに時代が変わる」と話す。
 1962年航海科卒のOBは、「船員教育“一本”という時代からは大きく変わるでしょう。新しい時代の教育に期待しています」と語った。

 3月22日には深江キャンパスのポンドに、新しい多機能練習船『海神丸』が入港する予定だ。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

月別アーカイブ

サークル・部活総覧

  1. 神戸大のサークル・部活のツイッター・アカウントを探せるぞっ!クリックすると、『神大PORT…
  2.  神戸大学の文化系のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随…
  3. 神戸大学のスポーツ系のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随…
  4. 神戸大学の医学部のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随時更…
ページ上部へ戻る