12月12日午前、鶴甲第1キャンパスD棟とK棟の間の構内で、怪我をした野生のタヌキが確認された。学生支援課はうりぼーポータルで、タヌキは皮膚病にかかっており、人間にも感染する危険があるため、見かけても決して手を触れないように注意喚起をした。ニュースネット委員会は、習性や危険性など、神戸大に出没するタヌキについて大学職員に話を聞いた。<奥田百合子>
(写真:以前にも構内で確認されていた、怪我をしたタヌキ。2022年3月29日撮影。)
山の厳しい寒さから逃れるために、神大に下りてくる
普段は山の中で暮らしているタヌキだが、毎年11、12月ごろになると、山中の過酷な寒さから身を守るために、比較的暖かい神大のキャンパスまで下りてくるという。下山したタヌキはキャンパス内で穴を掘って暮らし、3、4月ごろに山へ帰っていく。職員によると、2年ほど前に、先日目撃されたタヌキとは別の親子タヌキがキャンパス内に出現し、春になると子どもタヌキが山へ帰ったそうだ。しかし、今年1月以降は今回のタヌキしかキャンパス内で現れていないという。このタヌキは片足を失っているため、山に帰ることができない可能性がある。
タヌキが感染しているのは疥癬(かいせん)という皮膚感染症
疥癬とは、ヒゼンダニと呼ばれる小さなダニが皮膚に寄生しておこる皮膚疾患のこと。強いかゆみを伴い、毛が抜け落ちる。免疫が弱っている時にはヒゼンダニの増殖が盛んになり、皮膚が分厚く固くなって剥がれ落ちてしまう。寄生する動物によってダニの種類が異なる。職員は、「タヌキはみんな年をとれば疥癬にかかってしまう。」と話し、今回のタヌキだけが特別に感染してしまったのではない。タヌキに適切に薬を投与してダニを駆除すると、元通りの健康な皮膚に回復することができる。
タヌキの疥癬は人にもうつるのか
タヌキから人へ疥癬(かいせん)が直接うつるというケースはほとんどないそうだが、うつる可能性もある。また、最も多い感染経路は、タヌキの疥癬が外で飼っている犬や猫を通じて人に感染するルートだ。しかし、人間と動物では主に寄生するヒゼンダニの種類が異なるため、動物からうつった疥癬の症状が長く続くことはない。ただし、人から人へ感染する疥癬は、増殖して集団感染を引き起こす恐れがあるので注意が必要だ。
了
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