12月12日付で、KooBeeが自身の運営する学生情報サイト「WeeBee」内の一部コンテンツを削除したことを報告した。削除された企画は、2016年に制作されたものだった。近年、フェミニズムやMeToo運動の影響もあり、不特定多数の目にとまるコンテンツにおいて、その表現が適切であるか問われる機会が増えてきた。今回、コンテンツに対する指摘が行われたのはKooBeeだったが、不特定多数の人を対象に情報発信をするという機会は、少なくない学生が経験することだろう。情報の受け手の意識が高まったことで、制作者にも相応の対応が求められている。何かを制作し、発信する際、大学生として、どのような意識が求められるのだろうか。<奥田百合子、佐藤ちひろ>
(画像:KooBeeがWeeBeeに掲載したお詫びの文書)
「女子大生の生活をのぞく」という設定
12月12日付で、KooBeeが自身の運営する学生情報サイト「WeeBee」内の一部コンテンツを削除したことを報告した(https://weebee1212.com/notification/notification_20221212.php)。削除された企画は、2016年に制作されたものだった。近年、フェミニズムやMeToo運動の影響もあり、不特定多数の目にとまるコンテンツにおいて、その表現が適切であるか問われる機会が増えてきた。今後、学生団体が表現していくにあたって、多様な閲覧者にどのように配慮していく必要があるのだろうか。
※この記事では盗撮やストーカーを連想させる描写に関する説明、画像があります。フラッシュバックなどの恐れがある方はご留意ください。
今回KooBeeがお詫び文書を掲載する原因となったのは、「僕だけの彼女 神大生男子の神大生男子による神大生男子のための美女」というタイトルがついたコンテンツ。今から7年前の2016年に公開された。恋愛シミュレーションゲームのような構成で、選択肢によって異なったストーリーを見られるようになっていた。「お家編」と題され、画面には女子学生とその部屋の画像が現れ、一方は彼氏目線、もう一方は監視カメラから女子学生の部屋をのぞき見ているという設定だった。監視カメラからのぞいているという設定の画像には、部屋着姿の、お風呂上がりと思われる女子大生が歯を磨いている様子が映っていた。
(画像:「僕だけの彼女」のサムネイル(左)「お家編」と題されていた(右)現在は削除されています)
性被害の記憶がフラッシュバック
事の発端は、2022年9月末、ある学生団体がWeeBeeを見ていたところ、「僕だけの彼女」というコンテンツを発見したこと。その団体に所属する学生の一人は、過去に性被害を受けた経験があり、「僕だけの彼女」に掲載されている写真を見て、被害に遭った時の記憶がフラッシュバックしたという。「あのコンテンツを見たとき、ストーカーや盗撮の被害に遭った方は非常に苦しみ、過呼吸になったり、泣いたり、寝られなくなったり、食事をとれなくなったりすると思う。神戸大の雰囲気は明るいですが、その中には日が当たらない場所で生き続けている人間もいることを忘れないでほしい」と話す。
その後団体内で協議を行い、大学のハラスメント防止委員会に「神戸大の課外活動団体KooBeeが女性に対するストーカーや盗撮を茶化すようなコンテンツを団体のサイトに掲載している。女性蔑視であり、性暴力・性犯罪的な表現を茶化していると思う。大学と男子学生の名誉も毀損しているのではないか。コンテンツの削除、謝罪と再発防止の文書の掲載を求めたい」と報告した。学生は報告した理由を「前提として、表現の自由が尊重されるべきという考えがある。しかし、今回の件は公開され続けることで被害者を増やしてしまうし、再発防止ができない。大学に訴えたことに関しては、学生自身が声を上げることが必要だという思いもある」と話した。
この件は課外活動に関する事案であるため、学生委員協議会(各部局から選出された学生支援担当の教員等によって構成されている)に対応が任されることになった。
(写真:神戸大本部)
「学生の「発信」② 大学からの指摘」に続く。
KooBeeさんに対する誹謗・中傷、攻撃的な発言はお控えください。
了
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