4月2日(日)に2023年近畿学生野球連盟春季リーグが開幕する。2021年の秋季リーグでは、71季ぶりに優勝を果たした神戸大硬式野球部だったが、昨年春は最下位、秋は5位と振るわない結果が続く。春季リーグ開幕を前に、新チームを引っ張る駒寿諒真主将(国人4年)と、昨年の秋季リーグ後に就任した西谷仁孝(にしたに・よしたか)新監督に対談でのインタビューを行った。<本多真幸>
(写真:神戸大硬式野球部、駒寿主将(左)と西谷新監督(右))
――西谷さんが監督になった経緯を教えてください。
西谷監督)中井明則前監督の仕事が忙しくなって誰かが代わらないといけないという経緯があった。後輩である野球部OB会の会長と懇意にしていて、監督を交代してもらえないか要請を受けまして、快諾しました。
――今までに高校野球の監督の経験があるとのことですが。
西谷)経験はあります。少し離れていましたが。
――新チームの第一印象をそれぞれ教えてください。
西谷)駒寿というバッターと林(大貴(海事4年))、吉賀(瑛音(理3年))という2人のピッチャーがいるということで、これは十分に勝てるチームだなという印象を受けました。
駒寿主将)新チームが始まったときの心境としては、新監督になるということで楽しみ半分不安半分というところがあって、チームとしてもリーグ戦を経験したことがない選手が多かったので、どうやって実践に臨んでいくのかを新しい監督の下でしっかり学んでリーグ戦に望めればと考えていました。
――チームの今の課題はなんでしょうか。
西谷)リーグ戦の経験がみんなないので、実戦を重ねていかないとのびていかない。なので、まずは実戦。そして実践の中で体験をさせていく。その後にチームの中での人選です。順調に進んでいます(笑)
駒寿)ぼくとしては新チームで4ヶ月やってきて、野球という面では西谷さんの下で順調に学んで吸収していけていると感じています。でもリーグ戦に向けてあげていかないと、このままではまだ、優勝という目標には遠いかなと。また、野球以外のことでも、私生活だったりとか学業でもしっかりやろうと、新チーム始まるときに学年全員に言ったのでそこをしっかりやっていきたい。
――3月の初めに行った合宿はどうでしたか
駒寿)西谷さんと話したうえで、いろんな作戦を使える状態にすることを目標にしました。もちろん、練習の質と量も十分に確保する。あとはチーム内の競争という形で、ここからは試合に出れるメンバーと出れないメンバーが分かれるということを言ってから合宿スタートしたので、全員がいい緊張感をもって練習ができていたと思います。
西谷)役割の共有ですね。誰がどういう働きをしたらいいのかということが分かってきた。それを互いにサポートしながら試合を作っていくということが分かったと思いますね。
みんながみんな主力でやれることはなく、全員がヒットを打つべきケースで打てるわけではない。だから作戦をみんなで共有していく。
――新チームのスローガン、「一神一幸~全ての人と心を一つに神宮へ~」について教えてください。
駒寿)一番最初に、野球をやる目的をはっきりさせようとなって、「このチームで野球をやってよかったという幸せを得よう」という形で新チームがスタートしました。その中での目標が「神戸大学硬式野球部の全員が一丸になること」と「神宮で一勝すること」と「応援されるチームになること」。それに対して「一つの神戸大」の「神」と「神宮」の「神」と「1つの幸せ」という形でスローガンを作りました。
西谷)いいスローガンですよね。今の4回生に強い可能性がある。私は新監督といいながら何年後にチームを完成するとじゃなくて、今に賭けてます。新監督という年齢ではないので全然プレッシャーはありません。経験は豊富ですから。
――今の4年生には期待できると。
西谷)今の4年生は力がある。みんなが自分の力を分かっていない。リーグ優勝を目指すとは言うものの何をすればいいのかが分かっていないので、オープン戦では何をするかを意識してもらった。
駒寿)2年前にリーグ優勝したとはいっても、当時はコロナとかでラッキーな面があったという思いがある。また、今まで練習でやってきたことが優勝につながっているのか分からない状態だった。しかし、勝ち方を知り、自分のしっかりした野球観を持っている監督さんが入ってきて、導いてくれている。導いてくれていること選手は分かっているので、選手と監督とで意思疎通しながらしっかりできていると思います。
――具体的にどのような指導をしていますか。
西谷)私はメンタルトレーニングを専門にやっていまして、ずっと前にOBとして話をしたこともあります。具体的には、集中する概念、自分の力をどうしたら出せるのか、あとは良いイメージを自ら持って体現していくことです。難しい言葉だと、一点集中と、意識の対象を外に向けることと、イメージを持って自分のプレーをすること。これらに尽きるんですよ。一つずつ概念を教えながらやっています。
――キーマンは誰になるでしょうか?
西谷)林(大貴)投手ですね。
駒寿)誰が何といおうとも彼が僕らの代のエースなので、彼がしっかり投げてくれないとリーグ優勝というのは程遠いと思いますね。吉賀もそうですが、林がしっかりピッチングしてくれたらあとは攻撃陣の問題になるかなと思います。
――守備とか攻撃でも課題が?
駒寿)先ほども話しましたが、作戦面の充実というところを、試行錯誤しながらやっています。あとはメンタルで1対1の場面でも勝負強さを発揮できるよう、西谷監督に日々教えてもらいながら、そして自分たちも実践しながらやっています。
――主将と監督とのコミュニケーションはとれていますか。
駒寿)とれていると思います。今までは練習内容の決定を完全に選手が主導して監督がそこにアプローチするという方法でやっていたんですが、西谷さんはしっかり野球観があってどのような練習をすれば能力が身に付くかを分かっているので、そこで僕が助言を求める一方、西谷さんからのリクエストもあるという形で、双方向のコミュニケーションを取れているのかなと思います。
――今のチームの課題は?
駒寿)リーグ戦の経験不足です。オープン戦とリーグ戦も選手のレベルは変わらないですが、こっちは気持ちが入っているし相手も気持ちが入っておるので、そういった違いは2年生から試合に出させてもらった中で感じています。いかにそこをチーム全体としてやっていけるかです。
――実際にリーグ戦の経験がある人はどれくらいいますか?
駒寿)規定打席到達という点だと1人だけです。僕自身も到達していません。怪我や不振で試合に出られない悔しさが自分にもあったし、4回生全員もそういった悔しさを持っていると思うので、その悔しさを力に変えていきたい。その力の変え方を西谷さんに教えてもらっているし、自分たちでも考えてリーグ戦に取り組んでいきたいというふうに思っています。
春季リーグは4月2日に、大阪シティ信用金庫スタジアム(大阪市此花区)で開幕する。神戸大の初戦の相手は奈学大で、13時にプレイボールだ。神戸大の詳しい日程は以下の通り。
《近畿学生野球連盟 春季1部リーグ》
第1節 対奈良学園大。@大阪シティ信用金庫スタジアム(舞洲)。
4月 2日(日)13時00分
4月 3日(月) 9時00分
4月 4日(火)予備日
第2節 対大阪公立大。@大阪シティ信用金庫スタジアム(舞洲)。
4月 8日(土)15時00分
4月 9日(日)12時00分
4月10日(月)予備日
第3節 対阪南大。@大阪シティ信用金庫スタジアム(舞洲)。
4月14日(金)12時00分
4月15日(土) 9時00分
4月17日(月)予備日
第4節 対和歌山大。@南港中央野球場。
4月23日(日) 9時00分
4月24日(月)15時00分
4月26日(水)予備日
第5節 対大阪観光大。@南港中央野球場。
4月29日(土) 9時00分
4月30日(日)15時00分
5月 1日(月)予備日
入替戦 @豊中ローズ球場。
5月23日(火)
~
5月25日(木)
5月26日(金)予備日
注=
▽各節で勝ち越した方のチームが勝ち点1を得る。
▽順位は勝ち点で決定するが、勝ち点で並ぶ場合は勝率、勝率でも並ぶ場合は対戦勝率で順位を決定する。
▽入替戦には1部最下位と2部1位、2部最下位と3部1位がそれぞれ試合を行う。
西谷仁孝(にしたによしたか)
1975年神戸大学教育学部卒。硬式野球部OB。71歳。大学卒業後は高校教員として高校野球の指導にあたったほか、2011年5月から2013年5月まで兵庫県高野連の会長を務めた。
了
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