２０２０年春以降、コロナ禍でマスク着用が推奨されてきたが、２０２３年３月１３日、厚生労働省はマスクの着用を「個人の判断」とした。５月８日の新型コロナウイルス感染症５類移行を受けて、学生の意識に変化はあったのか。ニュースネット委員会が神戸大で１０４人に街頭調査を行ったところ、「マスクをつける」と答えた人の割合は全体の約３１％だった。つけない理由は「暑いから」が圧倒的に多く、「電車ではつけ、屋外では外す」と着用基準を考えている学生も。保健管理センターの山本所長は、「マスク着用率がゆっくりと下がることが、今後の現実的な感染症対策に有効」とした。＜ニュースネット取材班＞

（写真：マスク着用についての調査結果。ニュースネット委員会が2023年6月7日に実施）

　５月８日、政府は新型コロナウイルス感染症の位置づけを変更。これまでの「新型インフルエンザ等感染症（２類相当）」から「５類感染症」となった。厚生労働省は３月１３日、マスクの着用について、「個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることが基本。（重症化リスクの高い人が感染拡大時に混雑した場所に行くときなど、）一定の場合にはマスク着用を推奨」としているが、５類移行を受けて学生の意識に変化はあったのか。

約６９％がマスクをつけないと回答

　ニュースネット委員会は、６月７日、神戸大六甲台キャンパス、鶴甲第１キャンパスで１０４人に街頭調査を行った。「普段マスクをつける派ですか、つけない派ですか」と質問した結果、３２人が「つける」、７２人が「つけない」と回答。つける派の割合は全体の約３１％となった。

暑さや５類移行で外した

　マスクを「つけない派」と答えた学生のうち、つけない理由として圧倒的に多く挙げられたのが「暑いから」という理由だった。「マスクをつけていると、（神戸大までの通学路にある）坂を登りきることができない」と話す学生も。マスクを外した時期については、２０２３年３月～５月ごろと答える学生が多かった。「コロナが５類に移行したことで、外すハードル下がった」、「去年の夏から電車以外では外していて、今年５月以降は政府の規制が緩くなったので、基本的につけなくなった」と言う人もおり、５類感染症への移行はマスク着用に影響を与えたといえそうだ。

　他にも、「大学生になって外した。高校では付けていたが、今のうちに外して周りに（マスクなしの）顔を見せておけば、後で外すのが恥ずかしくならない」と、周りの人に素顔を見られることについて言及する学生もみられた。

（画像：マスク着用についての調査結果を示したグラフ）

素顔を見せることの抵抗感も

　一方、「今後もマスクをつける」と答えた学生のなかには、感染症対策のほか、マスクを外した素顔を見せることへの抵抗がある人も。

　感染症対策については、家族が医療従事者であることや、アルバイトの規定で「つけるように言われているからつける」とした学生が見られたほか、「旅行に行く前は病気にならないようにつける」「会う相手による。ライブをする時や高齢者が多い時はなるべくつける」「公共交通機関に乗るときはつける」と、状況に応じて着用するかどうかを決めている人が多く、「咳をする人にはつけてほしい」と訴える人もいた。

　また、「顔を見せたくない」「肌荒れしているからつける」と、周りの人にマスクなしの素顔を見せることに抵抗感がある学生もみられた。

着用率漸減が、感染症対策に

　神戸大保健管理センターの山本泰司所長は「マスクを着けないより、着けるメリットの方が大きい。（容姿を気にしてマスクを外したくないという外的要因によって）マスク着用率がゆっくり下がっていけば、現実的なコロナ感染対策としては一石二鳥」とコメントした。

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【訂正】
記事冒頭に「５月８日、新型コロナウイルス感染症が５類になったことに伴い、マスクの着用が「個人の判断」となった。」とありましたが、５類移行以前の２０２３年３月１３日にすでに、厚生労働省によってマスクの着用は「個人の判断」とされていました。お詫びして訂正します。（2023年6月28日17時20分　編集部）

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