台風７号の影響で、課外活動などに利用されていた大学内の学生会館が浸水被害を受けた。ニュースネットの取材に対し、複数の団体が有料で練習場所を借りることになり、予想外の出費が痛手になっていると訴えた。また、以前から学生会館は雨漏りしていた。今後の災害に備え、大規模な工事が必要ではないかという声も寄せられた。＜ニュースネット取材班＞

（写真：浸水被害を受けた学生会館。2023年8月17日撮影）

　８月１５日に兵庫県に上陸した台風７号の影響で、神戸大学鶴甲第１キャンパスの学生会館が浸水被害を受けた。学生支援課によると、８月１８日段階で、各階で雨漏りの被害が確認されている。また、３、４階はテラスから天井や廊下に流れ込んだと思われる雨水により床上浸水となっている。さらに、集会室の一部は雨水の重さにより天井が破損している。

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学生会館が一部使用禁止　台風7号の影響で浸水 | 神戸大学NEWSNET委員会 (kobe-u-newsnet.com)

　学生会館は課外活動団体の部室や練習場所としても使用されているが、１８日段階で代替場所の設置予定はなく、建物の復旧の目処は立っていないという。学生支援課は「全ての水を抜くことが何よりも優先される。業者への修繕依頼等は並行して進めている状況」と話した。

練習場所なくなり　予想外の出費が痛手

　学生会館を利用していた課外活動団体にはどんな影響があったのか。８月は週３日程度利用する予定だったという演劇団体は、「集会室が使えないので外部の会議室などを使っている。部屋代が予定外の出費で痛手」と話した。また、他の演劇団体も、「演劇という特性上、活動場所にはある程度の広さと防音性が必要で、場所の候補も限られてしまう。無料で利用できる学館の集会室が使えなくなってしまったのは痛手。現在は普段公演を行う会場であるシアター300や、有料の公民館や地域センター等の施設を借りて練習を行っているが、公演にかかる費用が予算よりも大きくなる」と予算への懸念を示した。

充分な練習ないまま　大会へ

　また、大会を控えている団体は「直近の活動で会議室が使えなくなったため、オンラインで活動を行い、翌日に４年生の自宅で活動を行った。コロナ禍以前で使用していた空き教室の使用を認めてほしいと言っている部員も多い。あまり練習をしていない状態で大会に臨むメンバーが増えそうで、危惧している」と不安をあらわにした。

以前から雨漏りしていた学生会館

　学生会館は以前から雨漏りの被害があり、２０２０年には天井の全面補修工事が行われていた。しかしその後も雨漏りの被害があり、２０２２年には、文化総部が「多くの雨漏りの被害情報を２月に受け、３月に学生支援課に報告、対策を考えるという話をした」という。

　ある音楽系の団体は、「今回の台風での被害は特になかった。以前から使っていた部屋は窓際の雨漏りが酷く、少し強めの雨が降ると部の道具が濡れるような状態だった。そのため、楽器など、濡れたら困るものに関してはすでに濡れない場所に移動させていた」と話した。被害を予想し、対応した団体もいるようだ。

今後の災害に備え　対策を

　学生支援課の対応について、２０２２年度の文化総部長は「新型コロナウイルスでの制限が大幅に解除され、各団体の活動の活発化に伴い、課外活動支援課は様々な制限解除のための手続きを進めなければならず、また学生会館の使用を希望する団体も多かったため、改善するタイミングを上手く見つけることが出来ないまま今まで来てしまったのではないか」と話した。

　また、「以前からの雨漏りや今回の浸水は、学生会館の屋根や壁が老朽化しているから起こったのではないかと思います。今回のような大型の台風はこれからも来ると思うので、応急処置を行うだけではなく、災害に備えて学生会館をリフォームする必要があると考える」と話す団体も。

　学生の課外活動にも被害をもたらした学生会館の浸水。今後、災害対策はどのように進むのか。また、通常の活動では発生しなかったはずの出費を余儀なくされた課外活動団体に対し、大学などからの援助はあるのか、注意深く見守る必要がありそうだ。

了