今年の卒業式、入学式 手話通訳はぺんぺん草所属の学生

 神戸大では、3月26日に卒業式、4月4日に入学式が行われた。これらの式典では、学長やその他来賓者が話す際、学生が手話通訳を務めた。通訳を務めた学生が所属する手話サークル「ぺんぺん草」前代表の今岡海斗さん(国人・3)は「手話を活かせる機会が増えてうれしい」と話す。<佐藤ちひろ>

(写真:入学式で学長式辞の手話通訳を務める今岡さん)

 神戸大では、3月26日に卒業式、4月4日に入学式が行われた。これらの式典では、学長やその他来賓者が話す際、各3人の学生が手話通訳を務めた。今回ニュースネットは、通訳を務めた学生が所属する手話サークル「ぺんぺん草」前代表の今岡海斗さん(国人・3)に話を聞いた。

 

 ぺんぺん草は手話を勉強する学生団体で、神戸大学総合ボランティアセンター(地域密着型ボランティアサークル)に所属している。手話講師がいるわけではなく、自分たちで手話を学んでいる。ゲームをしながら基本的な単語を覚えたり、文法表現を学んだり、学生が考えた企画による勉強がメインで、普段通訳練習はしていないという。

 今岡さんによると、大学から卒業式と入学式の通訳の依頼が同時に来たという。大学は長い間プロに通訳を頼んでいたが、今年から学生に頼むことにしたということだった。ぺんぺん草所属の学生による手話通訳はかなり前には行われていたというが、今岡さんが知る限りでは初めて。今岡さんは、卒業式は2週間前から、入学式は1週間前から仲間と打ち合わせを始めたという。通訳はその場で聞いて通訳する人もいれば、原稿を丸暗記して通訳する人もいるという。

 今岡さんは、卒業式での通訳について「こんなに大勢の前で通訳する機会は今までなかったため、かなり緊張した」と話す。また、今岡さんは話を聞いてその場で通訳するタイプだが、入学式では学長の式辞の通訳が難しかったという。

 今岡さんを含め、現在ぺんぺん草所属の学生は全員入部後に手話を始めた。日常会話に使う単語を覚えるのに1年、文法事項や手話のリズムを覚えるのに1年ほどかかり、これを経て、ようやく文章を作れるようになる。その後、聞きながら手話をする練習(聞き溜め)に移るが、今岡さんはこの練習に苦労したと話した。

(写真:ぺんぺん草の対面活動の様子。写真を一部加工しています。)

 昨年は新型コロナウイルスの影響で多くのイベントがつぶれ、手話を披露する機会が少なく、手話を学ぶモチベーションにつながらなくてつらかったという。今年は卒業式や入学式だけでなく、4月6日に行われた「第29回なだ桜まつり」でも通訳を担当した。桜まつりも昨年まではプロの通訳が担当していたが、灘区役所の若者の地域貢献促進活動の過程で、ぺんぺん草に話が来た。今岡さんは「手話を生かせる機会が増えてうれしい。通訳は一つの活躍の場としていろんな人にやってみてほしい」と話す。 

 新入生に向けては、「ZOOMや対面で緩く活動しているので、ちょっとでも魅力に感じたり、通訳かっこいいと思ったりしたら見学に来てほしい」とメッセージを送った。

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