神戸大の非公認バドミントンサークルBADBOYSが合宿先で不適切行為を行い、神戸大が3月25日に記者会見を行ってから、もうすぐ2か月が経つ。会見では顧問教員が強い自責の念を述べた。神戸大では、2009年の三宮でのホームレス襲撃映像、2013年のUSJ迷惑行為など、ネットで炎上し社会から糾弾される事例が繰り返されてきた。大学・教職員・学生はこれらの不適切行為とその反省から何を学べば良いのだろうか。<ニュースネット取材班>
(写真:神戸大本部。2024年3月25日15時58分撮影)
3月25日に神戸大本部で行われた会見には、教育担当理事も務める大村直人・副学長とBADBOYS顧問である宋明良教授が出席した。記者会見以降、5月22日現在、神戸大からは調査報告や学生の処分など公式な発表はされていない。
2009年の「ホームレス襲撃映像」事例と2013年の「USJ迷惑行為」
読売新聞は、「神戸大によると、学生は2009年8月15日夜、神戸・三宮の繁華街にある広場で、『パフォーマンス』と称し、ホームレスに変装して布団をかぶり、広場で寝ころぶ社会人の知人の上を飛び越え、卵を投げつけた。この様子を別の友人がビデオで撮影。翌16日、仲間内で見ようと、交流サイト『ミクシィ』に掲載した」と報じた。
また、朝日新聞は、「神戸大学(神戸市灘区)は29日、経営学部4年の男子学生を学部長が厳重注意したと発表した。学生の採用を内定している大手家電メーカー名もネット上で流れ、『あの会社の商品は買わない』などの書き込みが相次いでいる」と報じた。
▽参考記事
【「ホームレス襲撃」動画をミクシィに掲載 神大生が自作自演 大学に抗議殺到 2009年10月30日│読売新聞データベースヨミダス】
【ホームレス襲撃、自作自演 動画投稿の神戸大生に批判殺到 2009年10月30日│朝日新聞クロスリサーチ】
▼SNSで暴行装う映像を公開 男子学生に厳重注意(2009年10月30日 神戸大学ニュースネット)
2013年には、U SJでの迷惑行為が発生。産経新聞によると、学生は友人らとたびたび入園し、2人乗りボートでチューブを滑り下りる「ウォータースライダー」でわざとボートを転覆させたり、別のアトラクションの運行中に乗り物から飛び降りるなどの行為を繰り返していた。学生はブログや短文投稿サイト「ツイッター」に迷惑行為を「偉業」と自慢する書き込みと写真を投稿。関係者によると、ほかの大学の学生も常習的に迷惑行為に加担していたという。
▽参考記事
【神大生らUSJで大暴れ ボート転覆、乗り物から飛び降り…学生処分へ│産経新聞 2013年4月9日 8時19分】
▼文学部2年生USJで迷惑行為 処分は教授会で検討 (2013年4月9日 神戸大学ニュースネット)
▼処分は停学3カ月 USJ迷惑行為の学生(2013年6月21日 神戸大学ニュースネット)
(画像:X上で拡散されたBADBOYSに関する投稿には、たくさんの反響があった)
「BADBOYSは過去にも不適切行為を行っていた」という報道も
FNNプライムオンラインによると、BADBOYSは、5年ほど前に宿泊した旅館でも部屋に備え付けのシャンプーを廊下にまき散らしたり、クローゼットの中に落書きをしたりといった行為を行っていたという。
【『ここまでひどいサークルはなかった』迷惑行為は5年前にも…神戸大学「BADBOYS」の合宿先が明かした常識外れの行為│FNNプライムオンライン】
約10年来の顧問は自責の念 OBかどうかの質問には答えず
記者会見によると、BADBOYSの宋顧問は約10年前からの当該団体の顧問を務めている。宋顧問は会見で「私がもしどんな行動していたら、今回の不適切な行動が起きなかったのか」「彼ら学生さんたちの心が、少しでも良くなるのに、これから私が何をすべきなのか、四六時中考えています」と述べた。
今回の炎上前には、BADBOYSとみられるSNSアカウントで、「質問箱」(投稿者に対する質問を募集して、回答を公開できるサービス)が投稿されていて、「顧問は海事科学部の教員であり、BADBOYSのOBである」という記載があった。
学生支援課に宋顧問は当該団体のOBであるか確認すると、「3月25日付の会見でお話ししていない部分については、お答えいたしかねます」と返事があった。
ニュースネット委員会は宋顧問にメールで問い合わせたが、宋顧問からこの質問について回答があったものの、記事で公表できる内容は得られなかった。しかし、「学生からの聞き取り調査等には全く立ち会っていないので、何が事実か知らず、語る立場にありません」と回答した。また「BADBOYSの学生と合うのは、1年に2日程度だ」と回答があり、「悪いのは顧問の私を含めてBADBOYSです。人の気持ちを思いやる最低限の心が足りませんでした。本当に申し訳ありません」と謝罪の言葉を述べている。
宋顧問がOBであるかどうかに関わらず、顧問を約10年務める中で、学生を放任せずに対話を図り、今回の炎上を回避することはできたのではないだろうか。
不適切行為の再発を防ぐことはできるのか
大村副学長は、会見で「神戸大の教授、准教授ら学生委員が構成する調査委員会が立ち上がる」「合宿の参加者全員に聞き取り調査を行う」と述べていた。しかし会見以降、5月22日現在、神戸大からは本件に関する報告はなされていない。
また、記者会見での「今回の事態をどうすれば防ぐことができたか」という質問に対して、大村副学長は「新入生の教育も含めて、節度ある行動をとるように指導を強化していきたい」と話した。
学内外から多くの批判を呼んだ今回の不適切行為。発生から約2か月が経ち、以前ほどは話題にのぼることも少なくなった。「これから私が何をすべきなのか。四六時中考えている」。顧問は自責の念を述べていたが、ニュースネットの取材は実現せず、その後の動きは見えていない。繰り返される神戸大生による不適切行為の再発を防止することは、大学・教職員・学生が対話・意見交換をすることから始まるのではないだろうか。
了
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