理学部卒業生の伊与原新さん 直木賞受賞

 1月15日、神戸大理学部卒業生の伊与原新(いよはら・しん)さん(52)の、『藍を継ぐ海』が直木賞に選ばれた。受賞作は科学をベースにした5編<取材班>

 第172回直木賞(主催=日本文学振興会)の選考会が、1月15日、東京で開かれ、理学部地球科学科(現・惑星学科)卒業生の伊与原新さんの『藍を継ぐ海』が選ばれた。
 伊与原さんは、1972年、大阪・吹田市生まれ。神戸大理学部地球科学科(現・惑星学科)卒業後、東大大学院理学系研究科地球惑星科学専攻に進み、博士課程修了。
 2003年から富山大で助教を務めていたときに小説を書き始め、2011年に専業作家に転じた。
 受賞作『藍を継ぐ海』は、ウミガメの卵を孵化させ自力で育てようとする徳島の中学生の女子生徒や、長崎の町役場へのクレーム電話をきっかけに、謎めいた空き家にたどり着く公務員など、科学の視点から描いた作品を中心に5編からなる。

 2010年、『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞。2019年には『月まで三キロ』で新田次郎文学賞を受賞。ほかに『八月の銀の雪』、『オオルリ流星群』、『青ノ果テ 花巻農芸高校地学部の夏』、『磁極反転の日』、『ルカの方舟』、『博物館のファントム』、『蝶が舞ったら、謎のち晴れ 気象予報士・蝶子の推理』、『ブルーネス』、『コンタミ 科学汚染』などがある。
 2024年10月には、NHK「ドラマ10」で、『宙(そら)わたる教室』が窪田正孝さん主演でドラマ化され話題になった。

 横溝正史ミステリ大賞を受賞時には、「普通」の大学生だったと自身を振り返り、たくさん本を読み、たくさんの友人と遊び、「友だちや教授に恵まれた大学生活だった」と母校神戸大について語っている。

【関連記事】「横溝正史ミステリ大賞受賞 『作中、神戸の光景をイメージ』伊予原新さん」(2010年11月12日)=https://x.gd/dgchb

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