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- 慰霊献花式行われる 震災30年
阪神淡路大震災震災から30年をむかえた1月17日。各地で追悼行事がおこなわれるなか、神戸大六甲台第1キャンパスの慰霊碑では今年も神戸大の震災慰霊献花式が行われた。式典には遺族や犠牲者の友人を中心に200人近くが参列。参列者は黙祷と献花を行ない、亡くなった神戸大の学生や職員を偲んだ。<長瀬福実>
(写真:花が供えられた慰霊碑。2025年1月17日13時49分撮影)
寒空の下、六甲台第1キャンパス(神戸市灘区)には11時半過ぎから参列者が集まり始めた。大学入学共通テストの前日で大学自体が休講であったため、学生の数は例年に比べて少なかったが、遺族や犠牲者の友人を中心に約200人が参列し、強風が吹く中でそれぞれが再会と懇談を楽しんだ。式典開始時時刻の12時半になると、全員が慰霊碑を囲んで1分間の黙祷を捧げた。
その後、2年ぶりの参列となった藤澤正人学長が追悼の言葉を述べた。「地震直後の悲惨な光景は今も私の脳裏に焼き付いています。前途ある若き学生たち、教職員の尊い命が断たれたことは痛恨の極みであり、ご遺族の皆様の無念さは計り知れません」と震災に思いを馳せた上で、「記憶の風化」を課題として挙げ、「我々は被災地の大学として、また多くの犠牲者を出した大学として、次世代に震災の経験と教訓を伝える様々な努力をしていかなければなりません。我々大学の使命として、災害大国である日本の防災や減災、復興について探究を継続していかねばなりません」と述べた。
続いて、ご遺族代表として、震災当時経営学部2年の故・戸梶道夫さん(20)の父戸梶幸生さんが挨拶を行った。挨拶では、慰霊碑に関して「神戸大学という神戸の街の最高の学識の中心となる丘にたて」られた「わたしたちの大きな支え」であるとし、今後に向けて、「どうかこれからもこの慰霊碑が関係者だけのものでなく、阪神大震災の記録として多くの方々の記憶に残り、様々な災害による悲しい被害ができるだけ少なくなるような活動が、神戸大学を中心として発信され、さらに多くの防災の活動につながることを願ってやみません」と語った。
(写真:挨拶を行う戸梶幸生さん。2025年1月17日12時35分撮影)
挨拶が終わると、神戸大学の混声合唱団アポロン、エルデ、グリークラブが「学生団体献歌」として3団体合同で『しあわせ運べるように』を披露した。この曲は、阪神・淡路大震災から約1カ月後に小学生が初めて歌った後、神戸の再生を願う「復興の歌」として長年大切に歌い継がれてきたものである。
式典の中盤では、学長の花束に引き続き、役員・ご遺族・大学関係者・一般の順で白い菊の花を慰霊碑に供え、参列者1人1人が慰霊碑に対して思いを馳せた。
(写真:献花を行う藤澤学長。2025年1月17日12時45分撮影)
1995年(平成7年)1月17日午前5時46分に発生した兵庫県南部地震で、神戸大では、学生39人(うち留学生7人)、職員2人と、名誉教授1人、生協職員2人が犠牲になった。海洋政策科学部の前身の神戸商船大では、学生5人、研究員1人が亡くなった。六甲台第1キャンパスの慰霊碑は震災の翌年3月に建てられ、その後、毎年慰霊碑前で献花式が行われている。
了
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