応援団総部が65周年 OBら300人が集い記念式典

 創立65周年を迎えた神戸大学応援団総部が、5月17日、六甲台講堂で記念式典を行った。55周年は部員ゼロに陥った時期で、60周年はコロナ禍の最中だっただけに、15年ぶりのOB・OG、現役部員で祝う式典となった。来賓も駆けつけ、約300人が65年の活動を振り返り、祝った。<篠原大晴、成瀬 泉>

(写真:団旗をかかげて始まった応援団総部65周年式典 2025年5月17日午前 神戸市灘区の出光佐三記念六甲台講堂で)

 5月17日、出光佐三記念六甲台講堂で「神戸大学応援団総部 創立65周年記念式典〜65(ロッコー)の絆、未来への継承〜」が行われた。
 式典は、応援団総部吹奏楽部のファンファーレで華々しく開幕。第63代の田代浩也さん(2024年・法卒)、第64代の中川瑞葵さん(工学研究科修士)の司会で式典は進行。

(写真:あいさつする実行委員長の第32代・河上哲也さん=左。祝辞を述べる藤澤正人学長=右)

 学歌斉唱、物故者追悼に続いて、実行委員長の第32代・河上哲也さん(1994年・法卒)が「コロナ禍という困難の時期を乗り越えて周年記念式典を開催することができた。初代から連綿と受け継がれてきた伝統や絆を、希望にあふれた未来へと継承して行きたい」とあいさつした。

 来賓の藤澤正人学長が、「応援を力に、コロナ禍の厳しい時代を乗り越えてきた。応援団総部がこれからの神戸大学の発展にも必要だ」と祝辞を述べたのに対し、現役団員を代表して、応援団第65代団長の笠置涼さん(農・4年)が「人とのつながりを広く、深めていくことで神戸大学をさらに盛り上げて行きたい」と意気込みを語った。吹奏楽部の第66代部長の小松千尋さん(国人・3年)も、「OB、OGの方々のつながりや支えに感謝し、次の時代に最高の状態で引き継ぎたい」と決意を述べた。

(写真:現役の団員・部員を代表してあいさつする、応援団第65代団長の笠置涼さん=左。吹奏楽部第66代部長の小松千尋さん=右)

 神戸大学応援団は1960年に発足。野球やアメフトなど、さまざまな場所での応援や、震災、コロナ禍を乗り越えて神戸大生を勇気づけてきた活動がスクリーンに上映されると、来場したOBらは懐かしそうに現役時代を振り返っていた。

 応援団のリーダー、チアリーダー、吹奏楽部員の「チアリングファイト」がステージいっぱいに繰り広げられると、来場者は手拍子を送っていた。最後に、応援歌「宇宙を股に」を参加者全員で歌って式典をしめくくった。

(写真:チアリングファイトで会場は熱気に包まれる)

 会場には、来賓やOB、OGら300人を超える来場者があり、六甲台講堂は久しぶりににぎやかな声が響いた。
 震災以降、30年以上ぶりに周年式典に参加したという桑原直子さん(1984年・教育卒、第23代)は、「懐かしい顔ぶれに再会したことで、学生時代に戻ったような感覚を覚えた」と感慨深い様子。
 尾垣(旧姓・小川)香さん(1994年・文卒、第32代)は、「久しぶりに六甲を訪ね、旧友と再会し、懐かしさを覚えた。また、チアリングファイトでは感動して、泣いてしまった」という。
 約30年振りに仲間と再会できたことがうれしかったという中村治人さん(1998年・農卒、第37代)は、「チアリングファイトで団長が噛んでしまったのに笑いを誘われた」と、後輩たちのパフォーマンスを楽しんだ様子だった。

(写真左:たった一人で応援練習する宮脇健也さん=2018年7月 学生会館で、写真右:コロナ禍でソーシャルディスタンスを保って応援する団員ら=2020年8月28日 舞洲の大阪シティ信用金庫スタジアムで)

 応援団は1960年に発足。現在でこそリーダー6人、チアリーダー13人、マネージャー1人の陣容だが、平成から令和にかけて、震災、コロナ禍、部員ゼロといった苦しい時代を乗り越えての65周年だった。

 1995年1月17日の阪神・淡路大震災では、第35代の応援団長に就いたばかりの高見秀樹さん(当時21歳、済3年)と、吹奏楽部の部員だった工藤純さん(当時23歳、法学研究科終始1年)を失った。
 2015年に応援団の団員がゼロだったため、55周年式典では、現役のいないOB、OGのみの式典になったという。
 その後、OBや吹奏楽部の協力で部員獲得の動きが続き、2018年に復活。その後も、OB会の翔鷹会会長の山内正嗣さんらが活動に付き添って、再建に力を尽くした。
 2020年度は新型コロナウィルスの感染拡大で、課外活動に厳しい規制がかけられ、応援団は8月下旬に開催された硬式野球神京戦にようやく「初出動」。スタンドは野球部OBと部員家族以外は無観客。応援団員は数メートル間隔を空けての「ソーシャルディスタンス」の応援だった。
 2022年3月の関西六大学準硬式野球春季リーグ初戦の対関学大戦でも、新型コロナまん延防止措置で応援は「発声禁止」に。応援団は身振り手振りとあらかじめ録音した音源を流して応援を行った。
 2022年3月には、応援団チアが7年ぶりに復活。再建の一方、コロナ禍の中で応援団は体育会加盟各部などと連携し、大学側と粘り強く交渉。課外活動の正常化へリーダーシップを発揮した。
 4年生団員の引退公演「翔鷹祭」を2022年以降、毎年12月に開催するなど、活動も軌道に乗り、この65周年を迎えることができた。

(写真:壇上であいさつする翔鷹会会長の山内正嗣さん 2025年5月17日午後 神戸市灘区の出光佐三記念六甲台講堂で)

▽OB会の翔鷹会会長 山内正嗣さん(第28代、1990年・営卒)の話
応援団総部の記念式典が対面で、しかも現役団員とともに開催できたのは15年ぶり。コロナ禍や現役部員不在の時期を乗り越えた激動の15年だった。現在の活動はSNSを通じて知ることができ、応援からは勇気と元気をもらえる。これからも応援団、吹奏楽部ともに絆を再確認しながら未来に継承していきたい。

▽団員ゼロだった応援団に入団し再建した宮脇健也さん(第59代・60代団長、2021年・営卒)の話 
復活当時は0から1にすることに非常に苦労した。OBや吹奏楽部、体育会の方々の支えにより復活することができたことに感謝しています。
 
▽コロナ禍の期間に活動した古田徳幸さん(第62代団長、2023年・済卒)の話
 応援練習はもちろん、新歓活動もできず制限される日が続いた。団長として、後輩のモチベーションの維持に全力で取り組んだ日々だった。

(写真:記念写真に収まる応援団総部のOB、OG、現役部員ら 2025年5月17日午後0時42分 神戸市灘区の出光佐三記念六甲台講堂で)

●関連記事「応援団総部が35周年誌発行」(1997年8月6日)=https://x.gd/dDEkT

●関連記事「応援団 復活へ 大学に新たな風」(2018年7月10日)=https://kobe-u-newsnet.com/2018/07/10/ouendanhukkatsu/

●関連記事「応援団新団員7人の学ラン姿お披露目 ボート部定期戦」(2019年6月24日)=https://x.gd/ANgOH

●関連記事「やっと開催、硬式野球神京戦 応援もソーシャルディスタンス」(2020年8月28日)=https://x.gd/uVLXO

●関連記事「春の関西六大学準硬式野球リーグ 応援は発声禁止で」(2022年3月17日)=https://x.gd/IAGLZp

●関連記事「全面禁止になった課外活動の門戸をすこしずつ開かせた交渉のキーパーソン 宮脇健也さん」(2021年3月24日)=https://x.gd/RbXfp

●関連記事「7年ぶりに応援団チア復活 準硬式野球の開幕戦で初陣」(2022年3月20日)=
https://x.gd/gj85j

●関連記事「復活後の集大成 応援団引退公演『翔鷹祭』」(2022年12月16日)=https://x.gd/USRsZ

●関連記事「連載・慰霊碑の向こうに 故・高見秀樹さん(当時経済学部3年)の父・俊雄さんと母・初子さんの証言」=https://x.gd/MQZFd

●関連記事「連載・慰霊碑の向こうに 故・工藤純さん(当時法学部修士課程1年)の母・延子さんの証言」=https://x.gd/B8tY2

(写真下:応援歌「宇宙を股に」を参加者全員で歌って式典は幕を閉じた)

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