「生きてこそ」胸に刻む1.17 上野政志さん講演会

 1月16日、神戸学生青年センター2階ホールで上野政志さん(78)による講演会「生きてこそ~1.17を忘れない」(神戸大学生震災救援隊=主催、被災地に学ぶ会=共催)が行われた。震災で上野志乃さん(当時神戸大発達科学部2年)を亡くした父親の上野政志さんが、震災当時に感じた思いなどを語った。<川﨑成真、加藤万由里、奥田百合子>

(写真:講演中の上野さん。2026年1月16日18時57分、神戸学生青年センターで撮影。)

 「生きてこそ~1.17を忘れない」は、上野政志さんが阪神・淡路大震災で亡くした娘・志乃さんの生涯を通して命の大切さについて話す講演会。平成21年に起こった佐用町の水害でのボランティアを通じて震災救援隊OBの藤室玲治さんと上野さんが出会ったことをきっかけに始まった。

 講演の冒頭では、今西祐行さんの童話『太郎コオロギ』を紹介。この童話の主人公は「しの」という名前であることや、父の仕事の都合で田舎に引っ越したことなど志乃さんとの共通点が多い。上野さんは志乃さんにぴったりの物語だと目を細めながら話した。

 また、東日本大震災の津波で大きな人的被害を出した大川小学校と、「てんでんこ」(各自てんでんばらばらに)を徹底して被害を抑えた釜石市の小中学校を比較し、命を守る行動の大切さを説いた。

(写真:講演を聴く参加者たち。2026年1月16日18時12分撮影)

 上野さんは志乃さんの生涯についても話した。志乃さんは、幼いころから物作りや表現が好きだったという。また、読書力も素晴らしく、中学生のころには本の斜め読みもできるようになったと上野さんは振り返った。数時間かけて景色の写生画を描くことがあったとも話した。

 そんな志乃さんは、震災が起こった1995年1月17日の前日の夜、友人2人と「10年後の3人の住居」という大学の課題に取り組んでいた。翌日の午前5時ごろまで取り組んでいたが、その直後の5時46分に被災した。上野さんはアパートの瓦礫を押しのけて志乃さんの足を発見。志乃さんの足は「氷よりも冷たかった」と悲惨な状況を語った。

(写真:志乃さんの写生画を紹介する上野さん。2026年1月16日18時42分撮影)

 後半は、参加者がグループに分かれ、講演会について感想や意見を交換した。神戸大の学生震災救援隊代表・シャムスさんは、上野さんに「苦しんだ人にしか見えない景色があると思うが、それを伝える時の工夫は?」と尋ねた。元小学校教諭である上野さんは「子どもに体験をさせる」重要性について語り、弦楽器バンジョーの作成を例に出し、「子どもに達成感や完成感を味合わせるのが教育だ」と話した。

(写真:グループトークで質問に答える上野さん。2026年1月16日20時4分撮影)

 志乃さんと同い年だという被災地に学ぶ会代表の藤室玲治さんは「30年を超えても(続けて)いくというのはなかなか難しい。ご遺族の皆さんもお年を取られるし、いろんな各地の行事が、30年よりもっと前に終わっている。でも、30年を超えても伝えていくことが大事で、みなさんのことを忘れない、忘れさせないという気持ち(を持っている)」と心境を語った。

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