次々に到着するタクシーやバスを降りた受験生が、受験票を大学職員に見せると、あわてて坂を下っていく。入試の朝の神戸大キャンパス(六甲台地区)は、迷子の受験生が右往左往するカオスの光景が毎年繰り返される。神戸大の複雑な地形と、目印のない広いキャンパスの仕業だ。受験生の皆さん、悪いことは言わない。必ず下見をしたうえで、下見と同じ方法で試験場に向かおう。<取材班>

(写真:共通テストの朝も、やっぱり迷子の受験生が続出。大学職員に会場を確認する受験生 2026年1月17日午前8時22分、六甲台正門前で)
試験開始前の朝8時過ぎには六甲台正門前付近のヘアピンカーブは、増発された神戸市バスと、タクシー、自家用車が続々と到着して大渋滞。そこから次々にマスク姿の受験生たちが降りてくる。
コートを着た女子受験生は、持ってきたプリントを大学職員に見せると顔色が変わった。「坂を降りてカーブのところで、下に降りる道があります。矢印が出ています」という案内に、あわてて坂道を小走りに降りていった。
その坂の下の分かれ道では「神戸大学学務部」と背中に書かれたグレーのスタジアムジャンパー姿の大学職員が待ち受けていて、「工学部試験場はどっちですか」と焦った声の受験生に、「そちらの道を下に降りてください」と促す。狭い急坂を、何人もの受験生が工学部方向に駆け降りていく。
逆に、「それは、この上のキャンパスですね」と指さされた詰襟姿の高校生は、坂の上を目指して黙々と早歩きで登っていく。
●「前日下見をしたのに…」 それでも迷った理由
4年前に県外から法学部を受験した女子は、前日、父親と神戸入り。バスでキャンパスを訪れ、念入りに六甲台第1キャンパスの試験会場を下見した。
当日朝、「市バスは混み合うだろうから」という父親の勧めで、三宮のビジネスホテル前からタクシーに乗った。これが失敗だった。タクシーがついたのは、隣(一段下)の鶴甲第1キャンパス。
「昨日と違う場所だ。ここじゃないと思う」という主張に、タクシー運転手は、「神戸大学はここです」の一点張り。
結局、降りた場所にいた大学職員に道を聞いて、馬場横の道をとぼとぼ2人で700メートルほど、標高差50メートルの六甲台第1キャンパスまで「山登り」をする羽目になった。
1時間早く大学に着くようにホテルを出ていたので、幸い遅刻は免れた。
なぜ、タクシー運転手が間違えたのか?
灘区内で営業するタクシー運転手なら、「神戸大のどこですか」と必ず行き先の建物を確認するが、三宮あたりのタクシーは、キャンパスのそこまで確認しないことがある。
しかも、かつては「六甲台」といえば正門を、「文・理・農学部」といえばハイツ地区を目指したが、最近、大学が「六甲台第1キャンパス」「六甲台第1キャンパス」などとキャンパス名を変更したものだから、慣れた運転手でも間違うことがある。広い敷地のうえに、市民に知られた目印は六甲台正門ぐらいしかないから、迷いやすい。
タクシーに乗る場合は、大学名やキャンパス名ではなく、必ず地図を見せて、「ここに行ってください」ということが鉄則。
混んでいても、できれば市バスを使うほうが安全だ。
●「正門に行けばなんとかなる」は大きな間違い
神戸大の六甲台地区の試験会場は、「六甲台第1キャンパス」と「六甲台第2キャンパス」、それに「鶴甲第1キャンパス」に分散している。
地図でみると隣接しているように見えるが、その接続部は標高差があって坂道とカーブばかり。「市バスの『神大正門前』に行けばなんとかなる」と思って大学に向かうのも禁物だ。
●市バスの「16系統」、「36系統」 乗り間違えないで
「六甲台第1キャンパス」と「六甲台第2キャンパス」に向かう市バス16系統と、「鶴甲第1キャンパス」に向かう市バス16系統を乗り間違えないようにするのもポイント。
JR六甲道駅前の16系統、36系統の乗り場は隣接しているので、案内係に確認して乗れば大丈夫だが、阪急電車六甲駅前の乗り場は、踏切の山側と浜側で離れているので要注意。
対応に追われる係員に聞くと、「同じ学部でも去年と会場が違っている場合がある。先輩に聞いてここに行けばいい、と思い込んでいる受験生もいますね」と話す。
経済学部、経営学部のように、年によって、六甲台第1キャンパスと鶴甲第1キャンパスで試験会場を入れ替える学部もある。受験学部の学舎と試験会場のキャンパスが違うのも間違いやすいトラップだ。

(画像:この地図には市バスの停留所名が記されているので便利。六甲台地区には「六甲台第1キャンパス」「六甲台第2キャンパス」「鶴甲第1キャンパス」「鶴甲第2キャンパス」の4つが隣接しているが、互いに高低差があって、階段状なのがややこしい=地図は神戸大学公式サイトから)
●8つも学部が階段状に配置されていて複雑
迷っている受験生は、各所に立っている「キャンパスマップ」の看板の前でおろおろしているのだが、持っている受験書類には「○試験場」と書いたプリントしか持っておらず、いくら「キャンパスマップ」の看板を見てもそこには「○試験場」と書いていない。
慣れない受験生は、「『○試験場』は『○○学部学舎』にあたる。だから『キャンパスマップ』のここへ行けばいい」、という思考はできない。なにせ、神戸大の六甲台地区は広くて8つも学部がある。しかも階段状に配置されている。
大学側は案内係をキャンパス周辺の迷いやすいポイントに配置する配慮をしているけれど、受験生ときたら迷っているのに冷静さを装ったりするから、係員も声をかけにくい。
これはまさに、遅刻への魔のスパイラル。
試験会場の確認は、辻々に立っている「神戸大学学務部」と背中に書かれたグレーのスタジアムジャンパー姿の大学職員に、遠慮なく聞いてみよう。
●試験会場で迷わない6つのアドバイス
そこで、神戸大の受験生に6つのアドバイス。
1、下見が必須!(地元神戸の受験生も油断禁物)。
2、試験当日は、下見と同じ方法・交通機関で会場に向かおう。
3、試験の朝、大学周辺は大渋滞。時間には余裕を持って。1時間前には着くようにしよう。
4、できれば市バスか徒歩で会場に向かおう。市バスは、乗り間違えないこと。タクシーの場合は、必ず地図を見せて、「ここに行ってください」と指定する。到着したら、現場の大学職員に自分の試験場はここでいいか確認してから料金を払おう。
5、「試験会場地図」を手元に持って行動する。できれが、大学サイトの「キャンパスマップ」も印刷して持っておいて、自分の試験会場をマークしておこう。
6、試験会場に近づいたら、「神戸大学学務部」と背中に書かれたスタジアムジャンパー姿の係員に「ここでいいですか」と念のため確認する。遠慮や思い込みは禁物。
これで、余裕を持って試験場に到着。落ち着いて受験できるはず。
迷える神戸大受験生に、サクラ咲く春が訪れますように…。
(写真下:神戸大の前期試験会場 2025年2月25日午前9時すぎ 六甲台本館で)

【おことわり】この記事は、神戸大学六甲台地区の試験会場<経済・経営・法・文・理・農・工・システム工・国際人間科学部>について解説しています。深江地区<海洋政策科学部>、楠(大倉山)地区<医学部医学科>、名谷地区<医学部保健学科>については、各自の受験票を確認して、会場に向かってください。
【注記】この記事は、2022年2月18日アップロードの記事「『私の試験会場はどこ?』 入試の朝、迷子の受験生続出の神戸大」(https://x.gd/HEY9m)に、新しい情報を追加・更新したものです。<編集部>
了
![]()
コメント
この記事へのトラックバックはありません。











この記事へのコメントはありません。