グリークラブが4年ぶり定演 6人のハーモニーで創部120年祝う

 創部120年を迎えたグ神戸大グリークラブが2月21日、西宮市で「創部120年記念 第74回定期演奏会」を開催した。コロナ禍で部員が減り、2022年以降は定期演奏会を開催できない年が続いていた。会場にはOBを中心に約110人が訪れ、4年ぶりの定期演奏会の開催にこぎつけた6人の現役部員に大きな拍手を送った。<川﨑成真>

(写真:歌唱するグリークラブの部員 2026年2月21日午後 西宮市立夙川公民館で)
 
 1906年(明治39年)に「音楽部」として活動を始めた神戸大グリークラブは、今年で創部120年を迎えた。
 新型コロナウイルスの感染拡大で部員が減り、2020年は7人、21年は5人となり、22年以降は単独での演奏会を行えない事態に陥っていた。
 昨年11月には新たに部員が入り、現在は6人で活動。5年ぶりの定期演奏会を決行した。
 第74回定演の会場となった西宮市の夙川公民館講堂にはOBを中心に約110人の観客が訪れ、6人の晴れ舞台に大きな拍手を送った。

(写真:会場にはO Bを中心に約110人が訪れた)
 
●4ステージで構成

 演奏会は4ステージ構成で行われた。第1ステージでは『Ride the Chariot』や『Ave verum corpus』の黒人霊歌などを歌唱し、力強いハーモニーで会場を魅了した。
 続く第2ステージでは、組曲『男声アンサンブルのための<十五のこころ>』を披露。この組曲は歌人・石川啄木の歌集「一握の砂」の短歌5首から作曲されたもの。観客らは歌声に乗せられた啄木の世界に静かに聴き入った。

(写真:O Bも加わり7人のステージも披露)

 第3ステージでは『男声合唱のための「夜もすがら」』や『男声合唱のための「わが抒情詩」』など、作曲家・千原英喜さんの楽曲を情感豊かに歌い上げた。
 そして、最後の第4ステージは、「商神120年記念ステージ」と称し、グリークラブの創部と同じ1906年に初演された『商神』を熱唱。今回は1番、2番に加え、最後の8番も披露。客席のOBもステージ上の部員とともに商神を歌いあげ、会場全体に歌声が響いて一体感に包まれた。

(写真:「商神120年記念ステージ」では1番、2番に加え、最後の8番も披露 来場者の歌声も会場に響いた)

●神戸高商「音楽部」が源流 戦前の記録をパンフレットに記載

 徹夜でパンフレットを入稿したという、米谷(まいたに)和真部長(工学部電気電子工学科・4年)は、当時の学友会報、筒台学報、神戸商大新聞などから記録を検索し、記録を掘り起こした。「国立国会図書館デジタルコレクション(NDL)の全文検索が強力でした」という。
 1906年(明治39年)に当時の神戸高等商業学校の学生団体「学友会語学部」の中に音楽部が成立したのがグリークラブの源流で、その年の6月の新入生歓迎会で音楽部によって「商神」が初演されたという。
 学友会報には、「忠田兵造作詞、米田虎之助作曲、演奏音楽部」とあるが、作曲者の米田虎之助は、御影師範学校の音楽教諭「米野鹿之助の誤植である可能性が高い」と、米谷さんはみている。
 音楽部からはグリークラブだけでなく、オーケストラ、マンドリン、ハーモニカなどの活動が派生していったという。

●OBらは「ほっとしている」「今後も支える」

 演奏会に訪れたOBの永井哲郎さん(1972年・営卒)は、「コロナ以降,(部員が)すごく少なくなっているのに頑張っているから、僕らも支援を続けることができればと思っている」と話す。
 永井さんはグリークラブのOBが1954年(昭和29年)に設立した「六甲男声合唱団」にも所属。人数が減ってからは、団としても後輩たちの支援にも力を入れているという。定期演奏会の再開には、「ほっとしているが、団員数6人ではまだまだ。この定演をきっかけに、部員がもっと増えることを期待したい」と話した。

 グリークラブOBの最上級生、1959年(昭和34年)経営学部卒の寺井洋一さんも姫路から会場に駆けつけた。学生時代のパンフレットを手に、「(出演者を見ると)当時は各学年20人ほどいるね。全部で80人はいましたよ」と懐かしむ。
 近年、部員が減っていく様子を横目で見ながら、「なんとか(クラブを)続けてほしいと願ってきた。(今年度は)1年生が入ってくれたのが本当にうれしい」と眼を細める。「神大グリーは永遠です。支えられることがあればやります」と、言葉に力が入る。

(写真:現役時代、1950年代のパンフレットを手に語る寺井洋一さん)

 顧問の阪上公博・工学部教授(環境音響学)も、グリークラブのOB。1987年に工学部建築学科を卒業し、大学院を経て教員になった。コロナ前は、指揮の客演もしていたが、現在はコーチに徹している。
 コロナ禍で部員が減ってからは、一般の合唱団のクリスマスコンサートに賛助出演する橋渡しをするなどして、部員のモチベーション維持に努めてきた。
 「今年度はミニステージでいいのではと助言していたけれど、部員が定演をやりたいというので、今回はステージ周りのサポートに回ったと話す。
 現在の部員たちは、交響楽団や写真部などとの兼部も多く、定例の練習日がなかなか組めないという。「毎週、曜日を変えて、集まれる時に都度調整して練習してきました」「なんとか4ステージできましたね」と安堵の表情で語ってくれた。

●今春の新歓に勝負をかける

(写真:部長の米谷和真さん)

 2021年12月の「グリークラブ 部員数減で今年が最後になる可能性も」というニュースネットの記事を読んで、思い切って2年生の新歓祭から入部したという部長の米谷さんは、「想像以上にお客さんが来てくれた。特にOBの方々は、記帳していると何ページにもなるくらい来てくださった。現役生をすごく応援してくださっているのが伝わってきた」と笑顔。米谷さんは今回、グリークラブの母体となる団体が1906年に設立されたことを表す資料を探し出し、パンフレットの年表に加えた。「たくさん(資料が)見つかりすぎて全部メモして管理するのが大変だった」とその苦労を語りながら、満足そうな表情を見せた。
 
 今年度のグリークラブは、兵庫県合唱連盟や同大学部会にも再加盟。7月に混声合唱団アポロンとエルデ、男声合唱団グリークラブ、交響楽団と神戸大情報処理合同演奏会に出演。11月には兵庫県合唱連盟大学部会のレパートリー交歓会、12月は混声合唱団ノイエ・カンマー・コールのクリスマスコンサートに賛助出演と、復活の1年となった。
 米谷部長は、4月から大学院に進学し、グリークラブの活動は今後も続けるという。「神グリを今後さらに伸ばせるのか、せめて継続できるのか、また新歓の時期が巡ってきました」と、パンフレットの編集後記を、決意を込めて締め括っている。

 神戸大グリークラブへの入部希望などの問い合わせは、メールまたはX、インスタグラムのDMで。
  ▽グリークラブインスタグラム= https://www.instagram.com/kobe_glee/
  ▽グリークラブX= https://x.com/kobe_glee
  ▽グリークラブメールアドレス= kuglee1095kuglee1905@gmail.com

【動画】「『商神』を1番、2番に加え、最後の8番も披露」= https://youtu.be/NKtJgKxF2ro?si=a7IsdzEJ4GHj1u_s

(画像下:神戸大学グリークラブ創部120年記念 第74回定期演奏会のリーフレット)

【訂正】記事中に「顧問の坂上公博・工学部教授」とありましたが、「顧問の阪上公博・工学部教授」の誤りでした。取材の確認不足でした。お詫びして訂正します。(2026年2月22日 22:35 編集部)

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