寄付で受け取った教科書を安価で販売し、生まれた利益を学びたくても学べない異国の学生に奨学金として渡す。全員がハッピーになれるこの仕組みを運用するのは学生企業団体STUDY FOR TWOだ。この春に活動を開始した神戸支部の代表、白石仁子さん(国文・2年)に話を聞いた。【11月2日 神戸大NEWSNET=UNN】
STUDY FOR TWOは全国34の大学に支部を持つ、国際的な教育支援を目的とする団体。使わなくなった教科書を寄付として回収し、それを定価より安い値段で販売する。ここで生まれた利益をラオスの奨学金として活用している。大学の教科書は比較的高価なために、教科書販売の時期には学生の負担となることも多い。不要になった教科書を有効に活用できる寄付側と、教科書代を安く抑えることができるうえに国際貢献にもなる購入側の双方にメリットのある仕組みが売りだ。さらに寄付した人にSTUDY FOR TWOの活動に協賛する企業の割引券などを渡すことで、より全員の得になるシステムとなっている。
白石さんがSTUDY FOR TWOの活動を始めたのは今年度になってから。春休みに東北へボランティアに行った経験から「なにかしなきゃな」という気持ちを抱くようになり、そこで偶然見つけたのがSTUDY FOR TWOのHPだったという。
神戸支部は9人のメンバーで活動しており、団体のtwitterやメンバー個人のFacebookなどで広報活動をしながら教科書を回収している。現在は300冊ほど集まっており、回収は着々と進んでいる。
しかし回収は順調な半面、苦労も絶えない。約300冊の寄付された教科書を下宿先に置かざるを得ないうえに、10月中旬の教科書販売では時期が遅かったために売れ行きは良くなかったという。宣伝のために食堂に三角広告を出そうとした時には、生協書籍部と競合関係にあるために断られた。また図書館に教科書の回収ボックス設置の依頼をしたが許可が下りず、今も許可待ちの状態であるなど運営は順風満帆とは言えない。
それでも白石さんは「自分が変わることで周りの人に変化を与えられるような起点になりたい」と前向きに話す。以前、STUDY FOR TWOのことをよく知らずに教科書を買ってくれた男子学生が、仕組みの説明を読んで「俺たち、ヒーローやわ!」と言ってくれたことがあったそうだ。そのことを受けて白石さんは「何気なく買ってくれた人にも、このような活動へ興味を持つきっかけになれば」と嬉しそうに話した。
なお、神戸支部は六甲祭にラオスの麺料理の模擬店を出店する。その時に教科書を寄付すれば50円引きで販売する予定だ。
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