課外での体験実習などを通して社会の実際を学ぶことを目的とする神戸大学ボランティア講座が2月19日、開講した。15回目となる今年のテーマは「被災した人々の生活再建と被災地の復興」。この日、農学研究科C101教室で行われた基調講演では、関西学院大の室崎義輝教授が東日本大震災のあった昨年を「ボランティア文化元年」だと述べた。2月24日からは3分野に分かれて体験学習が、3月21日には意見交換会が行われる。【2月29日 神戸大NEWS NET=UNN】
復興にはボランティアが重要な役割を果たす。室崎教授は東日本大震災ではボランティアの絶対数の不足、社協の機能不全などさまざまな課題が残ったと指摘。しかし不十分ながらも日本にボランティア文化の萌芽が見られたことを指し、「ボランティア文化元年」と表現した。ボランティア元年と言われる阪神・淡路大震災の起こった1995年と比べ、行政・地域・中間団体・ボランティアの連携、被災者からの要望を「待つ」支援から「引き出す」支援へ、全国的なネットワークの形成など日本のボランティアに進歩があったという。
講演の最後には、若者に「この国難に目を背けず立ち向かう、世直しボランティアであってほしい」とエールを送った。
質疑応答では、「休学してでもボランティアにいくべき」という講演中の室崎教授の発言に対し、「教育者として無責任ではないか」との質問がフロアから飛んだ。これをうけ室崎教授が「個人的な意見だが、私は教育者としてそう思っている。そのために環境を整備しなければならない」と答える一幕もあった。
午後からはパネルディスカッションが行われた。「災害ボランティアから見る生活再建と復興の課題」をテーマに、住民グループ「まち・コミュニケーション」顧問の田中保三さん、神戸大学学生震災救援隊の鈴木孝典さん(発達・4年)ら3人が意見を交わした。
来場した長谷川益大さん(工・1年)は「被災地の問題は未来のこの街でも起こりうる問題。しっかり考えていきたい」と話した。
ボランティア講座は、阪神・淡路大震災のときに多くの神戸大生が地域のボランティア活動に参加したことがきっかけで、1997年度より学務部とボランティア支援室が主に神戸大生を対象に開催している。2月24日からは「阪神・淡路大震災の被災者・高齢者への支援」など3つのテーマで体験学習が開かれ、3月21日には意見交換会が行われる。
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