神戸大の卒業生で、学内の手話サークル「ぺんぺん草」の創立者でもある上嶋太さんが10日午後に百年記念館を訪問した。上嶋さんは「ボランティアの支えになれば」と100万円を神戸大に寄付。安藤幹雄学長補佐、現ぺんぺん草メンバーらが上嶋さんを出迎えた。 【2月14日 神戸大NEWS NET=UNN】
上嶋さんは大阪市教育委員会の職員を2年前に退職し、現在は長野県のろう学校の教師を勤めている。「私はまだ働けるから、学生たちのボランティア活動のために使ってほしい」と退職金を寄付した。聴覚障害を持つ上嶋さんは、健常者と同じように学習できる環境を作るため、精力的に活動していた学生時代について話した。
上嶋さんは、1985年に神戸大に入学。当初はハンディキャップのため講義を聞きとることができず「自分はなぜ大学に入ったのか」「なぜ勉強する方法がないのか」と悩んだという。大学側に講義の文字おこしや手話通訳などをするよう交渉を重ねながら、学内でチラシを配って仲間を集め、ぺんぺん草の活動を始めたそうだ。
上嶋さんの地道な活動は在学中に実を結び、2年生のときに講義の文字おこしの学生代行システムが、4年生のときに講義の手話通訳のシステムが導入された。このような活動を続ける中で一番のネックになったのが「お金」だった。「お金があれば、できることが増える」。この学生時代の経験が今回の寄付につながった。
現ぺんぺん草の代表の青木裕哉さん(経済・2年)は「ハンディキャップを持ちながら、積極的に権利を勝ち取っていった姿勢に感動した。これから上嶋さんのそのような姿勢に倣っていきたい」と話した。
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