神戸大演劇部自由劇場の第162回公演「カラフルメリィでオハヨ~いつもの軽い致命傷の朝~」(作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ、演出:ケラリー・クイーン)が、7月1日から5日まで、国際文化学部キャンパス大講堂(シアター300)で行われた。【7月5日 神戸大NEWS NET=UNN】?
認知症の進む老人の頭の中で繰り広げられる非現実の世界と、老人を取り囲む現実の世界が入り乱れる。今回の脚本は、現実と妄想が交互に現れ、観客を不思議な感覚に陥らせる。 老人の頭の中では、孫にあたる少年が存在する。その少年は「みのすけ」と呼ばれているが、「みのすけ」はその老人自身の名前。老人は家族や身の周りの物事はおろか、現実と非現実さえ把握できないほど認知症が進んでいる。老人は「みのすけ」を孫として扱ったり、自分自身が「みのすけ」と成り変ったりして周りを混乱させる。老人は夢にみた女性カラフルメリィに憧れ、病院脱出を図る。老人自身の妄想の中の人物たち、老人を取り囲む家族や病院の人々をも巻き込んだコメディだ。
元神戸大生で今回の演出を務めたケラリー・クイーンさんは、「この作者の別の作品(2007年第154回公演『ナイス・エイジ』)で役者として出たとき、この人の作品が好きになって、『カラフルメリィでオハヨ』をやりたいと思った」と語る。演出家の心をつかんだのは、「会話の妙や個性の強いキャラ」。「現実の世界も分身の世界もおかしな人たちばっかだけど、精一杯生きている人々が好き。自分が出たいくらいだった」と演出家自身が話す。「役者に舞台上で一生懸命生きてほしい」と期待をかけた2日目の出来は、「期待ともっといけるという思いを込めて7、80点」と評価。「見に来てくれた人にも毎日ががんばってみようかな、と思ってもらえる舞台ができたら」と話した。
今回、主役を務めたのは、園田修敬さん(発達・3年)と岸恭正さん(発達・3年)。園田さんは現実の老人役、岸さんは老人の頭の中の少年役を務めた。 園田さんは、「会話をしっかり聞かせることを意識して、その上で自然な会話になるように練習した。 動きやしゃべりで、おじいちゃんならどう動くか、自分とギャップがある分(役作りが)難しかった。」実際には存在しない少年役を演じた岸さんは、「コメディだからセリフの面白さをお客さんにどう表現するかを気をつけて役作りした。(劇の)解釈のために通し練習のビデオを何度も見て研究した」と役作りの工夫を話した。 二人は、「たくさんのお客さんがいたけど、(初日と比べて)笑いがあまりおきなくてドキドキ。アンケートとかしっかり見て、笑いを取っていきたい」(園田さん)、「笑わせるところは笑わせて、泣かせるところは泣かせるようにする」(岸さん)とこれからに向けての気持ちを語った。
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