神戸大の震災犠牲者聞き語り調査会とNHK神戸放送局が主催するトークイベント「震災×未来=? 阪神淡路大震災から14年―ぼくらは何ができるのか?」が6月28日、百年記念館で開催された。ゲストとして俳優の森山未來さんが登場し、学生らと、阪神・淡路大震災にどのように向き合っていくべきかを議論した。【6月30日 神戸大NEWS NET=UNN】
聞き語り調査会は阪神・淡路大震災の3年後に発足。震災の遺族に話を聞き、犠牲者一人ひとりの記録を残す活動を続けてきた。発足当時は年間100人を超える遺族が取材に協力してくれたものの、年を追うごとにその数は激減。昨年、直接話を聞くことができたのはわずかに1人。近年は、自分らが残した記録をどのようにして外部に発信していくか、ということが課題となっている。?
今回のイベントは、3月25日に放送されたNHKの震災特集特別番組「未来は今」に聞き語り調査会が出演したことがきっかけで実現した。語り役だった俳優の森山未來さんが「同世代の意見を聞いてみたい」と熱望したため、NHK側からイベントを提案したのだという。?
森山さんは神戸市出身で、10歳のときに阪神・淡路大震災で被災。自身の周りでは犠牲となった人がおらず、「震災に向かい合うことに負い目を感じていた」。苦悩しながらもさまざまな人と出会い、話をする森山さんの様子を追ったドキュメント番組「未来は今」。イベントの初めで番組が上映されると、参加者らは静かに見入っていた。?
続くトークセッションでは「震災×未来=?」をテーマに、聞き語り調査会の代表者と、イベントに協力した神戸芸工大の学生ら、NPO関係者に森山さんを加えた9人で議論を交わした。
トークの最初に調査会代表の三田博貴さん(工学研究科・1年)は「年々震災の調査が難しくなっていく中で、自分たちの活動をどうやって世に発信していけばいいのか悩んでいる」と告白。それに対し「悩みながらもつながって、若者のエネルギーを提示しようとするこういった集まりが大事」と森山さん。デザインで防災を考える神戸芸工大の活動にも触れ、「震災を身近に感じてもらうためのデザインで、いろんな人に知ってもらおうという意識が素敵だなと思う」と話した。
一般の参加者からも「『伝えていく場』だけでなく『伝わっていく場』が必要」「1人1人ができることは何かな、と若者がすごい考えていることがわかった」などさまざまな意見が飛びだし、議論はますます活発になっていった。
最後に「震災×未来=?」の「?」の部分を聞かれ、森山さんは「何かの答えを出す必要はない。『俺たちは生きてるんだ』と示すことが伝えることにつながる」と締めくくった。?
イベント前は「調査会の活動に対する自分の考えがまとまっていない」と不安を口にしていた三田さんはイベント後、「自分らの活動が意味があるんだ、(活動を)やってること自体が重要なんだとわかった。明確な答えは出てないけど、こういった場が増えること、(震災について)考えるきっかけが大切なんだと思う。ほんとにやってよかった」と笑顔で話した。
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