気になる就活問題(2) 学業と就活の両立

2010年春に卒業予定の大学3年生は本格的に就職活動を始める季節。これから社会への第一歩を踏み出す神戸大生にとって頭を抱える問題を、多くの企業とつながりがある神戸大キャリアセンターでセンター長を務める内田正博教授に聞く。第2回は「学業と就活の両立」。【11月13日 神戸大NEWS NET=UNN】

 多くの大学3年生は夏から秋ごろから講義を欠席し、企業説明会に参加するなど就職活動を本格化させる。正式内定日は10月以降だが、多くの企業で内定発表をゴールデンウィークの前に行っている。この状況に、社団法人国立大学協会、公立大学協会及び日本私立大学団体連合会は7月9日、日本経済団体連合会、企業団体などに対し、採用選考活動の早期化の是正を強く求める要請書を提出した。
 教育機関として学生に十分な教育を行いたい大学、優秀な人材を求める企業の間に立つ学生が取るべき道とは。

-今の就職活動の構造をどのように思いますか。
 大学3年の3月で内定を決めた学生がいた。こういうのを見ているとまずいんじゃないかと思います。早期化した就職活動のため、長期間にわたって学生が欠席しがちになり、卒論やゼミ、講義に影響が出ます。

-憂慮していることはありますか。
 企業によっては、内定を出した学生に多くの研修等を課すことがありますが、これは止めてほしいと思います。まだ卒業研究が残っていますし、残り少ない学生生活を満喫することのほうが大切です。

-講義を欠席しないとセミナーにいけないと思うのですが。
 学内だけでも約150回の行事を行っています。勿論、全部出る必要はありません。学外のイベントだけではなく、こうした学内行事の情報を充分把握してほしいと思っています。

-しかし、現実、学生は学外セミナーに参加しています。
 もちろん学内行事だけではなく、学外イベントにも積極的に足を運んでください。ただ、あくまで学業がおろそかにならないように、スケジュール調整などしっかり自己管理することが大切です。

-就職活動の際、大学の経験で生かせるものとは。
 ゼミなど演習形式の授業で培ったプレゼンテーション能力やコミュニケーション能力、そして問題発見能力や論理的思考力などを企業や社会は必要としています。企業からも「演習(ゼミ)で鍛えてほしい」という要望を聞いたことがあります。豊かな教養を身につけ視野を広げることが重要です。社会との接点を意識しながら、ゼミでしっかりと学んでほしいです。

-学生は常に大学と就職活動で悩まされます。キャリアセンターとしての課題は何でしょうか。
 長期的なキャリア形成力を身につけるために、先にも言ったように、自ら学ぶ力や幅広い教養、言い換えれば自立と社会的関心の重要性を知ってもらえるようメッセージを発信し続けることです。
 その他、卒業生や同窓会との連携強化が必要だと思っています。例えば、卒業生たちが神戸大学で学んだことをどう生かしているかを現役生に伝える場を提供する。そうした試みを、2006年度から全学キャリア科目(総合科目?「職業と学び―キャリアデザインを考える」)という講義で行っており、社会の各分野で活躍する卒業生たちリレー講義のかたちで実際の仕事の現場の体験や様子を伝えています。この授業は、受講生にも卒業生講師にも大好評です。


 金融危機による「就活戦線」の動揺。学業と就活の両立。先を十分に見通すことはできないが、身近に利用できるものを積極的に生かし、自分が何をしたいのかを明確に持つことが重要なようだ。

(就職問題の連載はこれで終わりです。ありがとうございました)

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