神戸大大学院国際文化学研究科の王柯教授は現在、関西の大学に通う中国人留学生らとともに兵庫県、神戸市や同大が保管する阪神・淡路大震災の資料を中国語に翻訳する作業を行っている。震災の記録を今年5月に起きた四川大地震で被災した地域に伝え、復興に生かすことが狙いだ。【7月26日 UNN】
阪神・淡路大震災、能登半島地震、岩手・宮城内陸地震など大規模な地震が多発する日本は「地震大国」と呼ばれている。中国もその「大国」のうちの一つだ。世界の直下型地震の約3分の1を占め、活断層が多く国内に通っている。今回の地震は、その一つである竜門山断層が長さ250から300キロにかけて動いて発生したものと研究者の中では考えられている。
地震発生から約2か月半。成都市や都江堰市(とこうえんし)の市街地には観光客が訪れるようになり、賑わいが戻ってきた。しかし、倒壊した建築物の処理や仮設住宅の充実、被災者の心のケアなど課題がまだまだ山積みだ。
母国が助けを望んでいる。「日本、神戸にいることで何かできることはないか」。王教授は、日本へ来る中国人研究者、学生の多さに目をつけた。特に神戸大では文系で日本語専攻の中国人留学生が多いことから、阪神・淡路大震災の資料を翻訳することで、被災地復興に生かすことができる。加えて「日本の重要性を世界にアピールできる」と考えた。
王教授は日本華人教授会議と連携し、学生の参加を呼びかけたところ神戸大だけでなく大谷大、京大など学生約40人が集結。震災を経験し、支援の趣旨を理解した兵庫県、神戸市や神戸大から資料や著作権の提供を受けた。準備は整った。「翻訳部隊」は5月中旬から作業を始め、完成した翻訳プリントは現在400枚以上にのぼっている。神戸大工学部キャンパスで7月26日に行われた四川大地震の調査報告会で王教授は翻訳作業の成果を発表。「中国語にすると長くなってしまって。徹夜でやる学生もいた」と苦労話を披露した。
王教授らは7月27日から8月2日まで来神している「四川省復興調査団」に資料を整理して贈呈する予定。引き続き震災の記録を中国再建に生かすため、王教授らは夏季休業中に神戸大医学部にある資料の翻訳作業を行う。
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