わかり合うきっかけに 「アゴラ」オープン

神戸大発達科学部キャンパス内に4月7日、障がい者が中心となって運営するカフェ「 アゴラ」がオープンした。店には教職員や学生らが訪れ、憩いのひと時を過ごしていた 。【4月10日 神戸大NEWS NET=UNN】

 「アゴラ」とはギリシャ語で広場という意味。一般公募で寄せられたフランス人留学 生の案が採用された。場所は発達科学部キャンパスA棟の6階。眼下には神戸の街並みが 見渡せる。


 責任者の吉田収(よしだおさむ)さんは後天性の脳性まひを持つ。「アゴラ」を始め る前にも灘区で喫茶店を小規模作業所として営んでいたが、障害者自立支援法の施行に より少人数での存続が困難に。小規模作業所として運営するために必要な作業者の数は は10人以上。人が集まらず、NPO法人との合併も視野に存続への道を探していた昨年 6月、元々交流があった発達科学部の津田英二准教授からカフェの話を持ちかけられた 。「場所が変わっただけで仕事自体はあまり変わらない。神戸大学で(カフェを)やら せてもらうことに意味がある」と吉田さん。学生らとふれ合うことで、弱い立場の人の 気持ちをもっと知って欲しいとの思いがある。運営を支援する3人のコーディネーター とともにお客さんを笑顔で迎える。


 神戸大大学院人間発達環境学研究科は昨年12月から「みのり」という教育プログラム を開始した。「みのり」とは、知的障がいのある人たちの実習と学生の教育を組み合わ せたキャリア開発プログラムの通称で吉田さんが名づけた。カフェの運営を介し、学生 の教育と障がいを持つ人へ現場実習の場を提供。自立支援や職域開拓を目指す。またカ フェでの実習以外にも、キャンパス内にある農園での農作物の栽培やパソコンを使った チラシの作成も行う。14日以降、障がいを持つ13人の実習生を迎えて本格的にプログラ ムが始動する。「料理やお客さんとのふれ合い、掃除をすることは一人暮らしに必要な こと。それが出来るのはカフェ」と吉田さんはカフェでの仕事が自立支援に役立つこと 強調した。障害者自立支援法が施行されたとはいえ、障がいを持つ人の自立が進んでい るとはいえない。社会との接点を持てず、引きこもりがちになりやすい人が多いのが現 実だ。「世の中にはいろんな障がいを持つ人がいる。神戸だけでなく全国に広がってく れたら」(吉田さん)。プログラムにかける思いは誰よりも強い。
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 4日に関係者向けにプレオープンし、7日から本営業に移った。当面、メニューは飲み 物だけで価格はすべて250円(学生は180円)。ひき立てのブレンドコーヒーが自慢だ。 訪れた学生からは「おいしかった」、「がんばってください」などと温かい言葉を掛け られるという。営業時間は午前11時から午後5時まで(午後2時から3時までは中休み) で土日祝日は休み(9日時点)。5月から営業時間を延ばすとともに食事メニューの充実 を図る予定。また、発達科学部キャンパスの生協が閉店する午後3時半以降が忙しく、 「一般の学生にも手伝ってもらえたら」(吉田さん)と積極的な参加を呼びかけている 。



▽「アゴラ」
場所:発達科学部キャンパスA棟6階620
時間:午前11時~午後5時(午後2時から午後3時は中休み・5月以降変更有)
主なメニュー:ブレンドコーヒー、紅茶、ミックスジュースなど。すべて250円(学生 は180円)。5月以降食事メニュー(すべて350円)を追加する予定。

問い合わせは発達科学部・津田英二准教授(zda@kobe-u.ac.jp)まで。

<<お詫びと訂正>>
本文中で「吉田収さんは先天性の脳性小児まひ」と記載しておりましたが、正しくは「後天性」でした。お詫びして訂正いたします。(2008年5月22日23時03分=編集部)?

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