神戸大都市安全研究センターは9月1日、平成19年7月16日午前10時13分頃に発生した新潟県中越沖地震の調査結果を広く紹介するため、工学研究科創造工学スタジオで報告会を行った。学生など21人が来場し、報告内容をメモ帳に書き留める姿などが見られた。【9月1日 神戸大NEWS NET=UNN】
阪神・淡路大震災がきっかけとして設立された同センターは新潟県中越沖地震の被災状況の把握などを目的に調査団を3次にわたり派遣した。今回、調査結果の報告を同センターの田中泰雄教授、北後明彦教授、鳥井宣之助教、吉田信之准教授の4人が行った。 司会を務めた沖村孝同センター長は「住民の命を守ることが災害対策の最終目標。調査結果を学内だけでなく、学外にも発信することで皆さんとともに(災害による)被害を少なくしていきたい」と話している。
<<調査団による報告>>
▽中越沖地震に関する土砂・液状化被害調査ならびに地域産業の被害調査
リスクマネジメントを研究分野とする田中教授らはUSGS(米国地質調査所)などと協力して7月19日から22日まで第1次調査団として現地で調査を行った。調査により、震源から南に位置する柏崎市周辺は、地震動と砂地盤を主体とする地盤構造のために広範囲で地盤流動などの災害が各地で起きていたことがわかった。一方、通信や道路などの主要ライフライン施設での復旧の速さは、平成16年に発生した新潟県中越地震と比べ非常に速かったことがわかった。
今後、調査結果を精査し、被害状況について米国グループと共同で公表する予定。
▽建築物・住宅の被害及び復旧・復興の動き、集客施設での地震時対応
安全都市づくりを研究している北後教授らは8月2日から4日にかけて、復興段階での減災化、地域産業の災害リスクマネジメントに関する研究のため、第2次調査団として現地活動した。北後教授は田中教授と同様に新潟県中越地震と比べ復旧状況や住宅再建が迅速化したことを報告し、「前の地震(新潟県中越地震)が教訓となっている。評価できる」と話している。
デパートなど集客施設での地震発生当時の対応も調査。その結果、マニュアルを使用することよりも臨機応変な対応が行われていたことなどがわかった。
▽斜面災害・道路災害調査
鳥井助教、吉田准教授らは8月8日から10日にかけて、斜面災害、道路災害調査を調べるため、第3次調査団として現地調査を行った。
鳥井助教は海岸沿いの急崖や山地部の急斜面での斜面崩壊が多発していたことを、調査中に撮影した写真などを交えて報告した。また、北向き斜面での崩壊が多発していたことも調査でわかった。
吉田准教授は盛土部で地盤変状が起きていることや地震により道路に被害が起きていることを報告し、「(盛土部を工事して)地盤を直すためには、(行政は)近隣住民との話し合いが必要」と話した。
【訂正】記事の一部を変更いたしました。(9月3日・午前1時55分編集部入力)?
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