神戸大学グリークラブの第58回定期演奏会が12月2日、神戸文化ホール・大ホールで行われた。ロビーには開場前から長蛇の列が。およそ900人の観客がグリークラブの合唱に魅了された。【12月2日 神戸大NEWS NET=UNN】
神戸大学グリークラブは昨年、創部100周年を迎えた。だが、それはまだまだ続くグリークラブの歴史の一つの通過点に過ぎない。新しい100年への出港は船乗りの歌である「Sea Shanty」から始まった。船乗り特有のことばを使った発声やテンポの良さに観客は心地よい刺激を受けた。?
第2ステージでは「そうらん節」などお馴染みの「日本民謡集」が披露された。定期演奏会用にアレンジを重ねたという。
休憩をはさんでの第3ステージは「チャイコフスキー歌曲集」。客員指揮者は兵庫県合唱連盟理事の増田健一さん。客員ピアノは、伴奏者またはピアニストとして海外10カ国で活躍する辛島則子さんという豪華な組み合わせ。エネルギー溢れるグリークラブの合唱で、独唱以上に愛の苦悩や喜びに満ちた歌曲のよさを浮かび上がらせた。
最終ステージは男性合唱組曲「雪と花火」。昨年の最終ステージで歌われた「柳河風俗詩」と同様に作曲は多田武彦、作詞は北原白秋の組み合わせだ。「柳河風俗詩」が故郷を思う心から生まれたのに対し、「雪と花火」は男女の心の綾を描いた詩がうたわれている。グリークラブは恋の葛藤を映し出す事象・景色の神秘的な世界観を見事に歌い、観客から惜しみない拍手が送られた。 アンコール曲には「歓送の歌」が選ばれた。「僕たちに別れはないという 心通えば」とう一節はまさに最後の演奏会となる4年生部員に相応しい。合唱中に涙を流す4年生もいた。
演奏会終了後、文化ホール入り口でロビーコールが行われた。その後、「わっしょい。わっしょい」という元気よい掛け声で4年生と部長が一人ずつ胴上げされ、夜空に舞った。?
部長の吉川勝智さん(経済・3年)は「今年は部長として始めたときも部員数が少なくて新入生を入れなければ演奏が成立しなかった。でも、新入生がたくさん入ってくれて今日を迎えることができてよかったことに満足しています。そして、たくさんお客さんが入ってくれたことにも満足してます」と話す。
正指揮者の早田健さん(農・4年)は「楽しかったんで何も覚えていないくらい充実していた」と振り返った。「いろいろあってけど楽しかったときしか思い出せない」。後輩へ「今まで以上に頑張ってもらいたい。たくさん人数を集めて大きな声で歌ってほしい」とエールを送った。
【写真右】演奏会終了後、胴上げされる4年生の部員。(いずれも12月2日・神戸文化ホールで 撮影=濱田直毅)
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。