国連職員への道を語る 根本かおるさん講演会

 第2回EC(=エクステンションセンター)特別講演会が6月9日、放課後開催された。講師の根本かおるさん(WFP=国連世界食糧計画、日本事務所広報官)はWFPの活動について話した後、マスコミ業界を経て現在の国連職員に至った自身のユニークなキャリアアップについて話した。【6月9日 神戸大NEWS NET=UNN】

国連食糧計画の日本事務所広報官

Photo EC特別講演会の第2回「国連職員への道程~国際協力の現場で~」の講師である根本かおるさんはWFP(=国連食糧計画)日本事務所広報官。WFPの認知度を上げることを中心業務として行っている。

 根本さんは、はじめに、世界最大の人道援助機関であるWHPの活動を世界が直面する飢餓の問題や、WHPの食糧援助の例をあげて説明。講演ではハンガーマップと呼ばれる飢餓で苦しむ人の割合別に色をつけた世界地図や根本さんが実際に訪問したカンボジアでの写真をスライドに映し、日本にいるだけでは想像しがたい飢餓の現状をわかりやすく示した。
 1年間でニューヨーク市民とほぼ同数である900万人の命が飢餓が原因で失われており、現在8億人が飢餓に苦しんでいるという。飢餓の原因は紛争や自然災害など様々。WFPはこのような人々に配給や学校給食プログラムなどの形で食糧援助を行う機関だ。
 また、WFPは生命維持や成長、教育を目的とした食糧援助、また労働の対価としての食糧援助だけではなく、エイズ対策としての食糧援助も行っている。

民放アナ、政治記者から転身

 次に、根本さんは自身のキャリアアップについて話した。根本さんは大学卒後、民放アナウンサーとして活躍。その後、政治報道の記者をへて、現在の国連職員となるというユニークなキャリアの持ち主。
 マスコミの世界から国際協力の現場へと転身したときの思いや志をまじえ、国連で働くためにはどういう方法があるかなどを話した。根本さんは自身は国連へはUNHCR(=国連難民高等弁務官)のJPO(=Junior Professional Officer)とよばれる制度を利用して入った。
 根本さんによると国連は完成品をもとめる傾向が強いため若い人が少ないという。若い人が国連、特にWFPで働くにはインターンシップや、ボランティアなどの道があるという。
 また、国連では日本人は根回しや、調整力に秀でているという点で重宝がられると話した。加えて、国連では女性職員の比率をあげようとする動きがあるため、女性ということも強みになると国連職員ならではの視点から話した。

100人の学生 質問に長蛇の列

 講演会に訪れた学生はおよそ100人。メモをとったり、うなずいたりしながら真剣に聞いていた。
 講演会終了後の質問時間には、国際的な組織で働くことを希望する学生からの「今、夢をかなえるためにできることは何ですか」という質問に対し、根本さんは「色々な人の話を聞き、物事を考えること」とアドバイスした。
 講演会は、講演終了後も根本さんに質問をしようとする学生の長蛇の列ができるほどの大盛況。訪れた学生は「なりたいものが多く、一つにしぼれなくて悩んでいたが、根本さんのようにさまざまな世界で活躍してる人の話を聞いて視野が広がった」と話した。

 なお、WFPに関する質問や詳細はWHPホームページhttp://www.wfp.or.jp/参照。


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