次期学長予定者として再任された野上学長が、11月16日、神戸大本部でニュースネット委員会とのおよそ一時間の単独会見に応じた。学長は、「学生や教職員、同窓生などみんなが神戸大ということに誇りを持てるよう、学長として努力したい」と意気込みを語った。【11月17日 神戸大NEWS NET=UNN】
まず今の気持ちをと尋ねると、少し眉にしわを寄せ考えた後、「神戸大の学長という仕事は大切な仕事。名誉だが責任の重さを強く感じる」と語った。
新制大学として、多くの学校が集まってスタートした神戸大。昭和30年代には県立大(医・農)の移管、そして去年は商船大との統合。学部間の足並みの乱れが神戸大の発展を妨げているのではないか、との指摘がこれまであった。
神戸大発足以来、26年間、六甲台(経済・経営・法学部)からの学長が続いた。1975年に初めて非六甲台系の医学部から須田学長が、81年に工学部から堯天(ぎょうてん)学長が選出された。そのあと新野、鈴木両学長と2代続けて六甲台。そして、震災直後に医学部の西塚学長が選ばれた。
2000年の前回選挙で野上教授は十二人目(学園紛争時などの学長事務取扱を除く)の学長に選ばれた。発達科学部(旧教育学部)からの学長は初。独立行政法人化という、歴史始まって以来の転換期に、難しいかじ取りをまかされた。
○「学部の個性を生かして国際拠点大学をめざしたい」
学部間に足並みの乱れはないのか?--
「(現在は)足並みの乱れはないが、学部の個性はある。大学がそれぞれの個性をつぶしあい、一つになってしまうとかえって危ない。多様性を認め、それぞれのミッションを達成できるように各学部協力し、国際拠点大学をめざしたい」
○「財政問題、不透明といわれるのは心外」
立候補所信表明演説の質疑応答で、財政面が不透明だと指摘されたが--
「不透明ではない。不透明といわれるのは心外で、独法化される以前は、お金が足りないと国がなんとかしてくれていた。しかし、今は決まった金額でやりくりしていかなくてはならない。3回にわけて国からお金が入ってくるが、国も大学も初めてのことなのでお金全体の見通しが立てられない。これは国立大と財務当局との戦い。実際にお金が入ってこないと安心できない。」「今も最後のお金が入ってくるか不安」(苦笑)
語学を担当している外国人教師が来年度から解雇されるという噂があるが--
「根も葉もない噂です。安心してください」
○「今後は学生との対話も」
独法化された今でも、学生には変化が見え辛いのではないか?--
「今までは新システムの立ち上げに全エネルギーを注いでいたため学生との対話の時間がもてなかった。今年度中はまだ最後の詰が残っているので気を抜けないがこれからは学生との対話、特に肩肘を張ったものではなく気軽な対話をしていきたい」
○「みんなが誇りを持てる神戸大に」
学生、教職員、同窓生に向けてメッセージは?--
「そうですねぇ」(深く考え込み)、「みんなで未来の可能性を導きたい。我々の可能性を育み、協力して実現し神戸大の名の下に展開したい。神戸大ということに誇りを持てる状況にしたい。神戸大とかかわったことが人生に意味あることであり、社会に貢献しているということを確かなものとして感じることができるように。それが実現できるよう学長として頑張りたい」
今回の学長選は学外からも候補者を出せるしくみになったり、初めて所信表明が行われたりなど前回とは異なる選挙となった。
新しい学長選の仕組みについて、「候補者が多くの可能性を持ち、選ぶ側も選択肢が広がりよかった」と評価する一方、最終選考会議でどのような話し合いが行われ、どのように学長再任を知ったかという質問に対し、「(次期学長予定者は野上学長と書かれた)書類を一枚見て、再任だと知っただけ。だから、会議で何が話し合われたのかまったくわかりません」と困惑ぎみ。
また、学内に野上学長再任に批判的な意見があることについては、「選挙はどちらかの立場に立たなければならないのでいろいろあるのは当然だが、学長が決定すれば協力し合う」と話した。
また、記者会見など公の場でメッセージを出す意向はないのかとの問いには、「今はまだ予定者なので本当に決まったわけではない。今期の任期中にやることが多く、今のところ開催のめどはたっていない。しかし、任期開始の2月16日までには学内にはビジョンなどを示したメッセージを出したい」と話した。
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