文科省の「21世紀COEプログラム」(いわゆるトップ30)は10月2日、今年度の審査結果を発表し、50大学113件が選ばれた。国立大が7割を占め、従来の大学序列の色彩を残した。神戸大からは「生命科学」分野で1件が選定された。【10月2日 UNN】
同プログラムは世界水準の研究教育拠点形成を目指して、分野別に大学院博士程レベルの研究機関を選定、予算を重点的に配分するもの。
今年度は5分野で選ばれ、それぞれ「生命科学」28件、「化学・材料科学」21件、「情報・電気・電子」20件、「人文科学」20件、「学際・複合・新領域」24件。予算額は182億円で、選ばれた研究には年間1~5億円の補助金が5年間支給される。ただし、2年経過後の中間評価の結果によっては打ち切られる可能性もある。
今年度審査は6月に公募が始まり、国公私立163大学から464件が申請されたが、選ばれた113件のうち、84件が国立大。なかでも、旧7帝大(北大、東北大、東大、名大、京大、阪大、九大)だけで40パーセント以上を占め、東大、京大からは最多の11件が選定された。私大では早大、慶大から5件が採択されるなどしたが、全体では25件にとどまった。
関西では阪大から5分野で7件が、神戸大から1分野で1件が選定されるなどし、私大では立命の3件が目立った。
同プログラムは来年度にも残りの「医学」、「数学・物理学・地球科学」、「機械・土木・建築その他工学」、「社会科学」、「学際・複合・新領域」の5分野で審査を行う。
以下は同プログラムで選定された大学と研究内容。
▽生命科学
北大 「バイオとナノを融合する新生命科学拠点」
帯広畜大 「動物性たんぱく質資源の生産向上と食の安全確保」
東北大 「バイオテクノロジー基盤未来医工学」
秋田大 「細胞の運命決定制御」
筑波大 「複合生物系応答機構の解析と農学的高度利用」
群馬大 「生体情報の受容伝達と機能発現」
東大 「生体シグナル伝達機構の領域横断的研究」
「『個』を理解するための基盤生命学の推進」
「戦略的基礎創薬科学」
東工大 「生命科学フロンティアシステム」
名大 「システム生命科学:分子シグナル系の統合」
「新世紀の食を担う植物バイオサイエンス」
京大 「先端生命科学の融合相互作用による拠点形成」
「生物多様性研究の統合のための拠点形成」
阪大 「生体システムのダイナミクス」
「細胞超分子装置の作動原理の解明と再構成」
神戸大 「たんぱく質のシグナル伝達機能」
奈良科技大 「フロンティアバイオサイエンスへの展開」
九大 「統合生命学」
熊本大 「細胞系譜制御研究教育ユニットの構築」
宮崎医大 「生理活性ペプチドと生体システムの制御」
姫路工大 「構造生物学を軸とした分子生命科学の展開」
北里大 「天然素材による抗感染症薬創製と基盤研究」
慶大 「システム生物学による生命機能の理解と制御」
東海大 「ヒト複合形質の遺伝要因とその制御分子探索」
日大 「微生物共生系に基づく新しい資源利用開発」
立命 「放射光生命科学研究」
近大 「食資源動物分子工学研究拠点」
▽化学・材料科学
東北大 「大分子複雑系未踏科学」
「物質創製・材料化国際研究教育拠点」
筑波大 「未来型機能を創出する学際物質科学の推進」
東大 「動的分子論に立脚したフロンティア基礎化学」
「化学を基礎とするヒューマンマテリアル創成」
東京農工大 「ナノ未来材料」
東京工大 「分子多様性の創出と機能開拓」
「産業化を目指したナノ材料開拓と人材育成」
長岡技科大 「ハイブリッド超機能材料創成と国際拠点形成」
信州大 「先進ファイバー工学研究教育拠点」
名大 「物質科学の拠点形成:分子機能の解明と創造
「自然に学ぶ材料プロセッシングの創成」
名古屋工大 「環境調和セラミックス科学の世界拠点」
京大 「京都大化学連携研究教育拠点」
「学域統合による新材料科学の研究教育拠点」
阪大 「自然共生化学の創成」
「構造・機能先進材料デザイン研究拠点の形成」
九大 「分子情報科学の機能イノベーション」
青学大 「エネルギー効率化のための機能性材料の創成」
慶大 「機能創造ライフコンジュゲートケミストリー」
早大 「実践的ナノ化学教育研究拠点」
▽情報・電気・電子
北大 「知識メディアを基盤とする次世代ITの研究」
東北大 「新世代情報エレクトロニクスシステムの構築」
東大 「情報科学技術戦略コア」
「未来社会を担うエレクトロニクスの展開」
東工大 「フォトニクスナノデバイス集積工学」
横国大 「情報通信技術に基づく未来社会基盤創生」
名大 「先端プラズマ科学が拓くナノ情報デバイス」
「社会情報基盤のための音声映像の知的統合」
豊橋技科大 「インテリジェントヒューマンセンシング」
京大 「知識社会基盤構築のための情報学拠点形成」
「電気電子基盤技術の研究教育拠点形成」
阪大 「ネットワーク共生環境を築く情報技術の創出」
奈良科技大 「ユビキタス統合メディアコンピューティング」
広島大 「テラビット情報ナノエレクトロニクス」
九大 「システム情報科学での社会基盤システム形成」
慶大 「アクセス網高度化光・電子デバイス技術」
中大 「電子社会の信頼性向上と情報セキュリティ」
早大 「プロダクティブICTアカデミアプログラム」
名城大 「ナノファクトリー」
立命 「マイクロ・ナノサイエンス・集積化システム」
▽人文科学
北大 「心の文化・生態学的基盤に関する研究拠点」
東北大 「言語・認知総合科学戦略研究教育拠点」
東大 「共生のための国際哲学交流センター」
「生命の文化・価値をめぐる『死生学』の構築」
「基礎学力育成システムの再構築」
東外大 「言語運用を基盤とする言語情報学拠点」
お茶の水女大 「誕生から死までの人間発達科学」
名大 「総合テクスト科学の構築」
京大 「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」
「心の働きの総合的研究教育拠点」
阪大 「インターフェイスの人文学」
広島大 「21世紀型高等教育システム構築と質的保証」
九大 「東アジアと日本:交流と変容」
大市大 「都市文化創造のための人文科学的研究」
慶大 「心の解明に向けての統合的方法論構築」
国学院大 「神道と日本文化の国学的研究発信の拠点形成」
法大 「日本発信の国際日本学の構築」
早大 「演劇の総合的研究と演劇学の確立」
「アジア地域文化エンハンシング研究センター」
立命 「京都アート・エンタテインメント創成研究」
▽学際・複合・新領域
北大 「生態地球圏システム劇変の予測と回避」
筑波大 「健康・スポーツ科学研究の推進」
東大 「融合科学創成ステーション」
東外大 「史資料ハブ地域文化研究拠点」
東京農工大 「新エネルギー・物質代謝と生存科学の構築」
横国大 「生物・生態環境リスクマネジメント」
金沢大 「環日本海域の環境計測と長期・短期変動予測」
岐阜大 「野生動物の生態と病態からみた環境評価」
豊橋技科大 「未来社会の生態恒常性工学」
京大 「世界を先導する総合的地域研究拠点の形成」
「環境調和型エネルギーの研究教育拠点形成」
「災害学理の究明と防災学の構築」
阪大 「新産業創造指向インターナノサイエンス」
鳥取大 「乾燥地科学プログラム」
愛媛大 「沿岸環境科学研究拠点」
佐賀大 「海洋エネルギーの先導的利用科学技術の構築」
長崎大 「放射線医療科学国際コンソーシアム」
静岡県大 「先導的健康長寿学術研究推進拠点」
大府大 「水を反応場に用いる有機資源循環科学・工学」
慶大 「次世代メディア・知的社会基盤」
上智大 「地域立脚型グローバル・スタンディーズの構築」
玉川大 「全人的人間科学プログラム」
早大 「現代アジア学の創生」
愛知大 「国際中国学研究センター」
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