神戸大ニュースネット委員会は昨年十二月、神戸大の学生二百二十八人を対象にアンケート「震災に関する意識調査」を実施した。三年前に行ったアンケートの結果に比べ、実際に震災の恐怖を実感している学生の割合が減り、話題に上る頻度や防災意識が薄れていることがわかった。しかし記憶の風化を危惧しているという回答も少なくなかった。【1月18日 神戸大学NEWS NET=UNN】
三年前、UNN関西学生報道連盟に所属する当委員会、関学新月通信社、神女院大K.C.Press編集部の三紙が共同で、当時の大学生約三百五十を対象に、今回と同様のアンケートを実施。その結果との比較をまじえて、今回の集計結果を分析した。アンケートの質問内容は、(一)当時、震災を実感したと思うか、(二)震災のことでボランティア活動に関わったことはあるか、(三)震災についてどれくらい家族や友人と話すか、(四)震災の跡はどれくらい復旧したと思うか、(五)震災はどの程度風化していると思うか、(六)防災についてどの程度考えているか、(七)何か防災対策をしているか、の七項目。
(一)は「思わない」二一%、「あまり思わない」二一%、「思う」三四%「少し思う」一九%、「どちらともいえない」五%。「当時は神戸周辺にいなかったので実感がわかない」(一年)という人がいる一方で、「当時は神戸に住んでいなかったけど怖かった」(三年)、「地震発生当時は神戸にいなかったが、九五年四月に入学しまだ混乱している状態の中で震災を感じた」(院二年)と被災経験のない人からの回答があった。
(三)震災についてどれくらい家族や友人と話すか、の問いには「ごくまれに話す」五四%、「時々話す」一五%、「よく話す」二%、「話さない」二九%。(一)で「(震災を実感したと)思わない」と答えた人で「話す」という人はほとんどいなかった。中には「神戸ではもっと震災について語られているかと思っていたので拍子抜けした」(二年)という記述もあった。
三年前のデータと比較して違いがあらわれれたのが(五)震災はどの程度風化していると思うか、の問い。三年前は「風化していない」四一%だったのに対し、「忘れられていない(風化していない)」「あまり忘れられていない」が合わせて一五%だった。回答者のうち四五%が下宿生。(一)の結果と照らし合わせると、震災を直接経験していない学生が多いせいだろうか。
今回、新たに学生の防災意識を質問項目に加えた。「震災後、意識するようになった」という意見も。具体的な防災対策として、家具の固定、非常用バッグの常備、などがあげられた。しかし一方、「全く考えていない」「あまり考えていない」が合わせて六四%。「もうあんな大きな災害は当分こないと思う」という人も多かった。
阪神大震災から六年が経った。当時の神戸の街や大学の様子を知る学生も少なくなった。「あまり関心がない」(経済・院二)と言う意見も多々あった。しかし(六)、(七)の結果をみる限り、学生の防災意識は低く、震災の教訓を生かされていない。しかし一方で「風化させないようにしたい」(理・院二)という学生がいることを、無視することはできない。
関西学生報道連盟のホームページ上にも、この震災特集の結果を掲載している。アドレスはhttp://www.unn-news.com/sinsai/sinsai2001/”。 震災特集の新聞紙面、ホームページについての問い合わせはnewsnet@std.kobe-u.ac.jpまで。
《編注》「お知らせ」を一般記事に差し替え、文章を修正しました。《2001年1月19日 午前2時20分入力》
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