十一月九日に行われる学長選挙を前に行われた意向投票で、全体で二番目の支持を受けた工学部の教授が被選挙者枠に入らなかったことに、疑義をとなえる意見書が学内に掲示されたり、一部報道機関が「工学部はずしか」と伝え波紋を広げた。全教職員、約二千八百人を対象にした意向投票が最終候補者選考と完全にリンクしていないことも改めて浮きぼりになった。【11月8日 神戸大学NEWS NET=UNN】
意向投票では2位 しかし、最終候補から外れる
神戸大では学長選挙の前に全教職員、約二千八百人を対象に意向投票が行われる。そこで出た結果を参考に、各学部で選出された評議員による評議会で投票が行われ被選挙者を決める。そしてその中から、こんどは職員を除いた助手以上の教官約千二百人による投票が行われ、学長が決まる。
十月十二日に行われた意向投票では、元工学部長の北村教授が全体の約二割の票を得た(得票ポイント83.332)。これは経営研究科谷の谷教授(得票ポイント85.280)に次いで二番目の得票率だった。(毎日新聞は「予備選トップ」と報じている)しかし十月十九日に行われた評議会による選考会で、同教授は学長選挙の「最終候補者」となる被選挙枠に入らなかった。被選挙枠七人の中には、工学部から現在副学部長を勤める片岡教授(得票ポイント16.666)が選出された。
北村教授はニュースネット委員会の取材に「評議員ではないのでノーコメント、というよりコメントのしようがない」と話している。
有志が声明文を掲示、評議員には匿名のメールや封書が
「工学部だから学長になれないの?」「神戸大ゴタゴタ」「予備選トップを除外」「評議会は文系が“主流派”」……。学長選挙について「評議会の『主流派』による理系外しか」と十一月三日付けの毎日新聞朝刊は大々的に報じた。
波紋が学内にも広がった。学内の掲示板には「保健学科教官有志 声明文」と書かれた意見書が貼られ、評議員のもとには匿名のメールが届いたり「親展」と書かれた封筒が届いた。
声明文には、意向投票のありかたを昨年十一月から検討を重ねてきた評議会に対して、「自らが採択した意向投票の結果を無視している」として、その矛盾を問題提起している。また「意向投票を(フィルターをかけるために利用することは)悪用していることになるのでは」と話す教授もいる。
「評議会の六甲台偏重はない」 なのになぜ…
しかし、経済学部の教授は「意向投票はあくまで被選挙者を選考する参考で、その結果に(評議会が)拘束されることはない」と話す。また「評議員も各学部、各研究科から選ばれているので、例えば経済学部に偏るといったことはない」と話した。
これに対し、評議員でもある理系学部教授は「評議会では経営学部など(六甲台)が主流派とはいえない。今回の学長選挙における過程も公正であり、そこまで問題視することでもないのでは」としている。ただ、意向投票で二番目の得票数であった同教授が本選挙の被選挙人に選出されなかったことについては「首をひねってしまう」という。これまでの取材でこの点については明解な答えはなかった。
独立行政法人化への動きの中の波紋
学長選挙の評議会メンバーは、理系が十六人、六甲台の学部から十六人、そして他の文系学部から九人。(詳細は別表のとおり。http://www.kobe-u.ac.jp/ofc/staff.htm参照)。学内の最高議決機関だ。二番目の得票率の教授がなぜ学長選挙の「最終候補者」に入らなかったのだろうか。
一方、形骸化した意向投票は、どう意味があるのか。
新制大学として、多くの学部が集まってスタートした「タコ足大学」といわれた時代から五十年。やはり、学部間のわだかまりが脈々と流れているのか。
独立行政法人化の荒波に船出しようとしている神戸大に、多くの課題を提起したまま、学長選挙は九日午前、各学部で投票が行われる。
▽学長選挙の評議会メンバー
十一月九日に行われる学長選挙の評議会のメンバーは以下の通り( )内は所属学部。
・学長(医学部)
・副学長2名(経営・工)
・各学部の学部長
・各学部の教授2名
・法学研究科長
・法学研究科の教授2名
・経済学研究科長
・経済学研究科の教授2名
・経営学研究科長
・経営学研究科の教授2名
・経済経営研究所長
・経済経営研究所の教授1名
・自然科学研究科長(工)
・自然科学研究科の教授2名
・国際協力研究科長
・国際協力研究科の教授1名
・大学教育研究センター長(発達科学)
・医学部付属病院長
・付属図書館長(理)
・学生部長(経済)
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