突然のHP停止措置 ラクロス部が反発

学生部のサーバ上に開設しているラクロス部とボート部のホームページ(HP)が、十月上旬に運用停止の処分を受けていたことがわかった。HP上でのチケットやグッズの販売がガイドラインの禁止事項に抵触しているとされたため。ラクロス部の当該ページは学外のサーバ上にある同部同窓会が運営するサイトだったため、同部は猛反発。SCINも学生部が事前通告を一切せずに停止措置をとったことに困惑している。【11月6日 神戸大NEWS NET=UNN】

学生部 10月2日に突然”停止措置”

 学生部によると、今回の処分は、学生部の学生委員協議会が定める『神戸大学学生のホームページ運用に関するガイドライン』に基づき、十月二日にHP停止措置をとったという。ガイドラインでは「営利を目的とした行為」が禁止事項として挙げられており、「違反した団体には、大学が利用を制限したり、HPを抹消したりすることができる」としている。
 ところが、今回「違反」とされたチケットやグッズの販売をしていたページは、学外のサーバ上にある同部同窓会が運営するサイトだった。

学外サーバ上のサイトが「ガイドラインに抵触」

 ラクロス部によると、事前の通告は何もなく突然HPが落ちていたという。また、十月上旬にメールで学生部に来るよう指示があり、学生部に出向くと、口頭で「ティーシャツを販売している。ホームページを利用できなくした。規約に反しているので経緯を説明してほしい」という説明があったとしている。
 これまでに、学生部から同部に公式のコメントはなかったとしている。こうした場合の学生側の窓口である、「インターネット学生協議会」(SCIN)会にも事前の通知や説明は一切なかったという。
 ラクロス部のサイトは、現在http://www.kobe-u.com/laxに臨時移転している。

ラクロス部は猛反発 「規約の拡大解釈だ」

 今回の措置に、ラクロス部は猛反発。SCINも学生部の突然の判断に困惑している。
 ラクロス部の有森武主務(経済・四年)は「ラクロス部ではOB・OG会の事業として、会費を集めたり、チケットやグッズを販売をしているが、インターネットに限らず、これらはどのサークルでも日常行われている活動」とした上で、「今回の処置は、学外のサーバーでの同窓会の活動であって、学生部や情報処理センターの規約は抵触しないと認識している。もしも学外サーバーにまで、規約を拡大解釈するならば、課外活動に対しての管理の範囲を超えている。」とコメントしている。

SCINは困惑 「一方的な制裁処置は問題では」

 HP開設団体で作る「インターネット学生協議会」(SCIN)の末広健一幹事(経済・四年)は、「(学生部から)申し入れや議論がなく、一方的に制裁処置をとるのは問題がある。 学生、大学、同窓生を含め、議論の場としてSCINが存在するにも関わらず、今回のようなことになってしまい、非常に残念に思う」とコメントしている。

学生課 世界中から見られるウェブ「緊急措置だった」

 学生部学生課の課外活動担当専門職員の力久浩治さんは、「通告なしでHPを停止したのは、世界中どこからでも見られるといったウェブの性質上、早急に対処すべきと判断したから」としている。「学生部のサーバーを課外活動団体が使用するということは、学内の施設の一室を借りるのと同じこと。ただ、『大学のものを借りている』という感覚がないためこういったことが起こったのではないか」とも指摘。
 ラクロス部は神戸大体育会のなかでも最も活躍のめざましいクラブのひとつ。十二月の全日本選手権への出場が決まっていて、ホームページでPRする大切な時期だけに、影響は大きい。また同部は、ホームページの立ち上げも早く、神戸大のクラブ・サークルのインターネット活動のリーダー的存在で、チケットやグッズ販売を活動の柱としている団体は他にもあるだけに、今回の“事件”は見すごせない事態だ。

「ネット活動のありかた議論深めるべき」という声も

 ウェブ停止からひと月。早く、学生部と学生側が議論を深めるべきだと言う声が学内にある。今年の九月まで学生部のサーバー管理教官を担当し、学生のネット環境の相談役にもなっている理学部の洲崎敏伸助教授は、「一教官としてのコメント」と断わりながらSCINインターネット学生協議会が迅速に機能すべきだという。「技術が近年急速に発展して様々な解釈が生まれがち。問題が生じそうなら、いち早く問題を見出して、解決策を検討していく組織が必要で、それがSCINのはず」としたうえで、「私の目から見るとまるで眠っていたように思えます」と厳しい。SCINが学生部との話し合いの場をつくるなど「機能的な活動を展開することを期待しています」という。

SCINと学生部の話し合いの場を

 ラクロス部の有森主務は、一定の範囲内でのチケットやグッズを販売を認めたうえで、「会計報告の義務づけなどのネットを使った情報公開をした方がよっぽど建設的」と主張する。
 また、高瀬進・ラクロス部事務局長(OB&OG会代表・経営院生)は「アメリカでは、大学のスポーツが、NCAAの監督下、チケットやグッズ、放映権等などから、大学の一五%にもなる大収益源になっていて、その財源をもとに、スポーツ科学や医学、行動科学など、研究資金へも還元され、研究と実践の好循環をもたらしている。ちゃんとした制度をつくって、より良い教育・研究環境をつくるための試金石にしたい」と話す。
 学生課の力久専門職員も、活動資金を集めるという行為については議論の余地があるとして、「営利目的かどうかは大学側でも判断しかねること。二団体だけでなく、今後の課外活動におけるネットワークの利用全体の問題として考えていかねばならない」という。
 SCINと学生部のインターネット小委員会が、ネット上の資金活動のありかたや、警告・ウェブ停止のプロセスのルールづくりを急ぐべき時だろう。

 《訂正》「ラクロス部とボードセイリング部のホームページが運用停止の処分」とお伝えしましたが「ラクロス部とボート部」の誤りでした訂正しておわびします。(11月7日午前9時10分 編集部)

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