1月29日から順次公開 神戸大ロケの『心の傷を癒すということ』劇場版

 去年NHKで放送された阪神・淡路大震災直後から被災地で活躍した神戸大卒の精神科医を描いたドラマ『心の傷を癒すということ』の劇場版がこのほど完成し、1月29日から順次全国で公開される。ロケが行われた神戸大六甲台本館もスクリーンに登場する。2月12日からはシネ・リーブル梅田、OSシネマズミント神戸などでも公開。

 ドラマ『心の傷を癒すということ』。阪神・淡路大震災直後から被災者の心のケアに奔走した神戸大OBの精神科医・安克昌(あん・かつまさ)さんをモデルにした作品で、ロケに神戸大六甲台本館が使用された作品だ。
 このほど再編集を行ない劇場版が制作された。

 神戸大でロケが行われたのは2019年10月。六甲台本館の1階102教室で撮影された。主人公・安和隆(柄本佑さん)の医学部生時代の授業のシーンで、 医学部精神神経科の中井久夫教授をモデルにした、永野良夫教授(近藤正臣さん)の講義や、教授に相談をし和隆が精神科医になることを決意するなど重要な場面。1分半のシーンだが、70分間にわたり撮影が行なわれた。


(写真:六甲台本館の1階102教室で行われたロケ。2019年10月20日)

 1月15日にはОSシネマズミント神戸で完成披露試写会が行なわれ、NHKエンタープライズ近畿の京田光広プロデューサー(企画担当)と、安達もじりディレクター(ドラマ版総合演出)が舞台挨拶をした。
 神戸で多く撮影が行われたことに関して、安達さんは「行く先々で、涙が出るくらいきれいな気持ちで協力いただいた。避難所のシーンではエキストラに300人ほどご出演いただいた。神戸の人と一緒につくらせていただいた」。また、京田さんは「自身神戸出身で、震災当時も3日3晩取材にあたっていたが、実は避難所には行ったことがない。参加いただいた300人(のエキストラ)の方々も、神戸で何らかの体験をしたわけで。でもあの時何もできなかったと思い続けていたのが、25年経ってこのような形で協力できたことですごく気が楽になったという方がいらっしゃって」と振り返った。


(写真:舞台挨拶をした安達ディレクター=左=と京田プロデューサー)

 折しもこの日は、日本でコロナウイルス初の感染確認がされてちょうど1年。ドラマ版放送時からコロナ禍が広がり始め、いまは「触れ合いたい、寄り添いたいと思ってもできない」世の中となってしまった。京田さんは「まさかこのタイミング(での完成披露試写会)とは…。当初はオンライン開催も考えたが、神戸の方々にはスクリーンを通して思いを届けたかった。やはり、こういう時だからこそ、多くの方々にメッセージを届けるべきだ、と安さんから言われているように思えて…」と感慨深げ。また、安達さんも「何を大事に、何を守っていくかをこれからも模索するのだろうが、いまできることを精一杯やっていきたい」と話した。


(写真:ビデオメッセージを寄せた主人公・安和隆役の柄本佑さん。)

 また、主人公・安和隆役を演じた柄本佑さん、和隆の妻・終子役を演じた尾野真千子さんからのビデオメッセージも寄せられた。柄本さんからは「神戸は自分の肌に合う、手の届く範囲に何でもある、とても暮らしやすい街」、「(ドラマ版に加え)またひとつ安さんのご家族にプレゼントできるものが増えたなと感じている」。また、尾野さんは「ひとりでも多くの方に見たこと、感じたことを伝えたくなるような、これからも受け継いでいきたくなるような作品。また、伝えていく人たちがいる、いてくれる、心強くなるメッセージが含まれていると思う」と話した。

 1月29日から順次全国公開。関西圏ではОSシネマズミント神戸やシネ・リーブル大阪などで2月12日から上映される。

《 『心の傷を癒すということ』劇場版》
●1月29日から順次全国ロードショー
<関西圏での上映開始日>
▽2月12日?
 (大阪)シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、MOVIX堺、109シネマズ箕面
 (兵庫)シネ・リーブル神戸、OSシネマズミント神戸、シネ・ピピア、塚口サンサン劇場、イオンシネマ明石、イオンシネマ三田ウッディタウン、イオンシネマ加古川
 (京都)京都シネマ
▽2月26日?
 (兵庫)豊岡劇場

●出演者=
柄本佑、尾野真千子、濱田岳、森山直太朗、趙?和、浅香航大、上川周作/濱田マリ、平岩紙/石橋凌、キムラ緑子、近藤正臣 ほか。
●あらすじ=
ジャズピアノはプロ級の腕前、レコードと読書をこよなく愛する“はにかみ屋”の若手精神科医・安和隆(柄本佑)。 自分の居場所を探し続ける青年時代を送ってきたが、明るい妻・終子(尾野真千子)と出会い、同じ在日としての悩みを共にできたことでようやく心穏やかな日々を送る。第一子が誕生した直後、阪神・淡路大震災が起きる。精神科医としてできることは何か…模索の日々が始まる。和隆は被災者に寄り添い話を聞き続ける中で、精神科医にできることは、被災者を治療することではなく、「治癒力を回復させる手助けをすること」だと気づいていく。その後、精神科医として見た被災地の様子を一冊の本にまとめ、学芸賞を受賞。明るい兆しが見えはじめた39歳のある日、がんが発覚する。
●精神科医・安克昌(あん・かつまさ)さん プロフィール=
1960年大阪市生まれ。神戸大医学部卒。神戸大附属病院精神科勤務を経て、神戸市西市民病院精神神経科医長を務める。阪神・淡路大震災直後、全国から集まった精神科ボランティアをコーディネートし、避難所などでカウンセリングや診療活動を行う。震災1年後に臨床報告としてまとめた著書『心の傷を癒すということ~神戸…365日~』(作品社)で第18回サントリー学芸賞を受賞。PTSD(心的外傷後ストレス障害)の若き研究者として治療活動に尽力したが、2000年12月、39歳でがんにより死去。共訳に『多重人格性障害 その診断と治療』(岩崎学術出版社)などがある。

●映画公式サイト=
https://gaga.ne.jp/kokoro/
●ドラマ公式サイト=
http://www.nhk.or.jp/drama/dodra/kokoro/

【おことわり】
この記事は、ニュースネット委員会のOBが取材しています。

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

月別アーカイブ

サークル・部活総覧

  1. 神戸大のサークル・部活のツイッター・アカウントを探せるぞっ!クリックすると、『神大PORT…
  2.  神戸大学の文化系のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随…
  3. 神戸大学のスポーツ系のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随…
  4. 神戸大学の医学部のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随時更…
ページ上部へ戻る