卒業式と入学式は「かけがえのない行事」 文科省が全国の大学に通知

 文部科学省は全国の大学に対し、卒業式及び入学式について「学生にとってかけがえのない行事です」として、実施状況について、「別途、調査を実施する」と通知した。そのほか、新年度の授業の形式や学費などの徴収額については、「学生に寄り添い、学生が納得できるような対応を」と伝えた。学生や保護者の思いに追い風を送るような通知だが、残念なことに、文科省から各大学にどのようなサポートや予算措置をとるかは1行も書かれていない。

 文部科学省は3月4日付で、高等教育局長名のA4判6ページにわたる「令和3年度の大学等における授業の実施と新型コロナウイルス感染症への対策等に係る留意事項について」(https://www.mext.go.jp/content/20210305-mxt_kouhou01-000004520-02.pdf)を各大学に伝えた。

 通知のポイントは、2つあり、1つは、学費徴収の額や、授業を対面にするかリモートでするかの判断などについて、「学生目線で、判断の理由や根拠等について、学生一人一人に伝わるような形で発信する」ように求めている。
 もう1つは、卒業式と入学式は感染対策を行なった上でするように求めていて、入学式のできなかった2020年度入学生(新2年生)へのケアもするよう求めている。

「学生に寄り添い、学生目線で教育を」

 具体的には、「必要性や合理性等について十分な説明を行ったり、代替措置を講じたりするなど、学生に寄り添い、学生が納得できるような対応をお願いします」としたうえで、以下の点に留意して学生目線で教育を行うように、とある。

▽授業の実施については,すみやかに方針を決定し、住居の確保など学生生活への影響を十分に考慮した上で,新入生を含む学生一人一人に正確に伝わるように配慮しながら、その内容を遺漏なく周知すること。
▽自ら徴収する学納金の必要性や合理性等についても学生等に対して丁寧に説明し、その理解を得るよう努めていただきたいこと。
▽次年度の新入生や,今年度の授業において面接授業等大学構内での学修機会が十分に得られなかった現在の1年生(新2年生)に対して必要な配慮を検討すること。
▽精神的な不安を抱える学生の メンタルヘルスを十分にケアできるよう、相談体制の整備等を徹底するなど、学生の悩みや不安に寄り添った対応を講じていただきたいこと。
▽学生の就職活動にも大きな変化が生じており、学生へのより丁寧な情報提供や就職相談など、きめ細かな支援が求められること。

と通知している。

 とりわけ、「面接授業の実施について適切に取り組むこと」とあり、“安易にリモート授業に傾斜するな”と読み取れる。
 一方で、「面接授業での実施を原則とする授業科目においても、基礎疾患を有するなど重症化のリスクが高い学生、通学のために要する移動距離が長い学生,重症化リスクが高い高齢者と同居している学生など、面接授業の実施について不安を有する者に対しては、 自宅での遠隔授業の受講を認めている例があることも踏まえ、学生の状況に可能な限り配慮した学校運営に努めること」とあり、総合すると、“対面授業とリモート授業の並行(ハイブリッド)を行うのがベター”と読み取れる。

卒業式と入学式 「実施状況を調査する」

 この時期の通知として目を引くのが、卒業式及び入学式についての項目。

 文科省は、まず「学生にとってかけがえのない行事です」と式の大切さを訴えている。
 その上で、「これらの実施時期における地域の感染状況等を見極めつつ、その実施について判断いただくことが必要です」と当然のことが記されているだけだが、通知冒頭には「今春の卒業式及び入学式の実施状況等については、別途、調査を実施する予定」と釘を刺している。

各大学へのサポートや予算措置は1行も書かれず

 この通知には、ご丁寧に具体的に“良い大学の例”まで示されている。
▽各大学等の取組の中には、感染症への対策と学生の学修機会の確保を両立するための工夫として、大学での学修に慣れていない学部1年生等の授業を優先的に面接授業によって実施している例も見られる。
▽式典等を代替した行事が後日実施されたことにより、大学等への帰属意識が高まった等の声があったとする大学等の例も見られた。
▽入学式等を実施できなかった令和2年度の入学生(新2年生)についても対象とした式典の実施を合わせて予定する大学があり、学生に寄り添った対応として適切なものと考えます。

 さながら学生や保護者からの声を集め、その思いに追い風を送るような「文科省3月通知」だが、残念なことに、これらの文言について文科省から各大学にどのようなサポートや予算措置をとるかは1行も書かれていない。

課外活動や寮生活は「感染多発」と槍玉に

 さらに文末では、課外活動や寮生活が槍玉に挙げられている。
 「大学等については、授業そのものよりは、いわゆる飲み会や寮生活、課外活動等における感染事案が多く発生しているところです。各大学におかれては、感染対策を講じ た上での面接授業の実施など適切な授業の実施等による学修機会の確保を図りつつ、課外・学外活動や卒業旅行等に係る感染対策や注意喚起を徹底するなど、学生の学修機会の確保と感染対策の両立に改めて御留意いただくよう、重ねて申し添えます」。

 授業や入学式・卒業式には「学生に寄り添え」と書かれているが、課外活動や寮生活についてはそのような文言は一切書かれていない。

(画像下:文科省の「令和3年度の大学等における授業の実施と新型コロナウイルス感染症への対策等に係る留意事項について」スクリーンショット。冒頭にゴシック体で【重要】として要点が囲みで書かれている)


 

—–
COMMENT:
AUTHOR: 神大生
URL:
DATE: 03/12/2021 13:25:12
Unknown
文科省の3月通知がまとめられていてとても読みやすかったです!
ここでするのも変な話ですが、神大の課外活動におねる合同練習禁止措置の具体的根拠についての調査をお願いしたいです。1月通知を根拠としているはずなのですが、そこには緊急事態宣言該当地域と記載されており、解除後までこの禁止措置が維持されている具体的根拠を知りたいです。

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

月別アーカイブ

サークル・部活総覧

  1. 神戸大のサークル・部活のツイッター・アカウントを探せるぞっ!クリックすると、『神大PORT…
  2.  神戸大学の文化系のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随…
  3. 神戸大学のスポーツ系のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随…
  4. 神戸大学の医学部のサークル・部活(順不同)をジャンル別にリストアップしました。情報は随時更…
ページ上部へ戻る