神戸大ニュースネット委員会は、課外活動団体(部活・サークル)に対し、インターネットによるアンケート調査を行った。今年度は昨年度よりも活動内容や新歓に改善の傾向が見られた。また、さらなる活動制限の緩和を求める意見も寄せられた。〈本多真幸〉
(画像:神戸大サイト 課外活動の制限について(10月1日更新) スクリーンショット)
●神戸大サイト「課外活動の制限について(10月1日更新)」=https://www.kobe-u.ac.jp/NEWS/sub_student/2021_05_11_01.html#index05
神戸大は2020年(昨年)から、新型コロナ感染拡大防止のため、課外活動団体(部活やサークル)の活動を制限している。神戸大ニュースネット委員会は10月下旬に、神戸大の文化総部と体育会に所属する課外活動団体にGoogleフォームでアンケートを行い、そのうち36団体から回答を得た。
実施したアンケートの「2020年度(昨年度)は2019年度(コロナ禍前)と比べて活動に制約を受けたか」という質問に対して、「大きく制約を受けた」と回答した団体は94.4%(34団体)に達した。また、残りの5.6%(2団体)も「やや制約を受けた」と回答。結果として、回答したほぼ全ての団体が、コロナ禍以前と比べて、活動に大きな制約がかけられたと感じている。
(図1:「2020年度(昨年度)は2019年度(コロナ禍前)と比べて活動に制約を受けたか」という質問について、ほぼ全ての団体が活動が大きく制限されたと感じていると回答した)
活動に様々な工夫を凝らす一方、限界も
コロナ禍で制約を受ける中、多くの団体が普段の活動や新歓活動に工夫を凝らしている。文化系団体では「全てのミーティングをオンラインに変更しました」、「zoomを活用するようにした。対面開催のイベントも同時にライブ配信するようにした」といった主旨の回答が多かった。活動内容を対面のみからオンライン形式、または対面とオンラインのハイブリッド形式へと移行した団体が多く、制限下でも活動できるように工夫を凝らした団体が多数見られた。
また、運動部からも「(大学)外部の施設での練習を増やした」、「練習メニューを少し減らし,施設使用可能時間内に終了できるようにした」、「技術的な練習時間を確保するため、アップの内容を短時間で負荷をそれなりに確保し、温まるものへ変更」といった工夫をしているという回答が寄せられた。ある団体は、「様々な制約もありますが、自分達に出来る最大限の努力を重ね、春のリーグ戦に向け部員一同練習に励んでいきます」と意気込んだ。
しかし、必ずしもコロナ禍前のように活動できているわけではない。文化総部所属の団体から、「これまで声をかけていただいた地域のイベントはほとんど中止になったり、連絡ができなかったりして、ミーティング以外の活動が大幅に減った」、「今までは主催イベントを他大生と協力して開催していたが、他大生の活動制限により、人員確保に苦労しています」といった声が寄せられた。
体育会においても、「泊りがけの合宿が大きく制限され、実施がほとんどできなかった」、「時間が制限されて練習量が不足している」という声が寄せられた。練習時間や対外試合が制限されたことにより、選手の実戦経験が足りていない状況に陥っている団体があるようだ。
活動制限が緩和される一方、さらなる緩和を望む声も
「2021年度(今年度)は2020年度(昨年度)に比べて、活動に制約を受けたか」という問いに対して、「大きく制約を受けた」と回答したのが13.9%(5団体)、「やや制約を受けた」と回答したのが83.3%(30団体)だった。昨年度と今年度を比較すると、多くの団体が課外活動制限は緩んだと感じている傾向がある。
(図2:「2021年度〈今年度〉は2020年度〈昨年度〉に比べて、活動に制約を受けたか」という問いについては、「大きく制約を受けた」と回答したのが13.9%(5団体)、「やや制約を受けた」と回答したのが83.3%(30団体)だった。)
実際、6月21日に「原則禁止」だった課外活動制限が緩和され、県内での対面活動を含めた課外活動が宿泊を伴わない形式であれば許可されるようになった。また、10月には文化総部内の通知で、学生支援課との相談の結果次第では、他大学の学生の参加も認められるようになり、課外活動制限は以前よりも緩和されたといえる。
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しかし、その一方で、さらなる制限の緩和を望む声が寄せられた。文化系団体からは、「部室が使いたい」、「活動時間制限をもっと緩めて欲しい」、「学内の活動可能場所を増やして欲しい」、「部室からの荷物運搬が負担になった」といった回答が寄せられた。また、体育会系団体からも、「トレーニングルーム使用禁止の影響で、各部員が毎月高額のジム代を負担しているという現状があります。感染対策を徹底した上での使用を許可していただきたいです」、「練習時間をもっと増やしてほしい。体育館の使用について、団体間に格差があるので、公正に使用させてほしい」といった回答が寄せられた。
このように、活動制限は緩和されたものの、いまだに部室などの一部学内施設の利用や、他大学生の活動への制約はかけられており、制限のさらなる緩和を要望する声が相次いでいる。また、依然として多くの団体が制約を受けていることに変わりはない。
新入部員は2020年度(昨年度)より増えた団体も
「2020年度(昨年度)は2019年度(コロナ禍前)と比べて、新入生勧誘に影響が出たか」という質問に対しては、「大きく新入部員が減った」または「やや新入部員が減った」と回答した団体がそれぞれ33.3%(12団体)だった。3分の2の団体で新入部員が減少したようだ。新歓活動においても、コロナ禍の影響は大きかったと分かる。
(図3:「2020年度(昨年度)は2019年度(コロナ禍前)と比べて、新入生勧誘に影響が出たか」という質問について、「大きく新入部員が減った」または「やや新入部員が減った」と回答した団体がそれぞれ33.3%〈12団体〉だった。)
一方で「2021年度(今年度)は2020年度(昨年度)に比べて、新入生勧誘に影響が出たか」という質問に対しては、「引き続き大きく新入部員が減ったままだ」と回答した団体が22.2%(8団体)と、前年に比べて減少した。一方、「やや影響は減り、前年より新入部員は増えた」、「ほとんど影響を受けていない」または「かえって新入部員が増えた」と回答したのが、残りの77.8%(28団体)に及んだ。今年度は昨年度と比べて、手応えを感じた新歓活動ができたといえそうだ。
(図4:昨年度と比べると、今年度の新入部員が増加した団体が多い)
「オンライン新歓だけでは厳しい」という声も
新歓活動においても、対面形式の新歓を行わず、ZoomやSNSを利用してオンライン形式の新歓を行うといった工夫がなされているようだ。しかし、コロナ禍以前と同じような新歓が行えているわけではない。アンケートでも「レクリエーション的意味合いを含む新歓の割合が減り、活動内容の宣伝などを行う機会が増えた」という回答がみられた。また、ある音楽系団体は「新歓に重要な役割を果たしていた学内イベントやビラ配り、体験会ができないため、初心者に興味を持ってもらうのが難しく、オンライン新歓だけでは非常に難しい。」と回答した。
現在は、昨年度よりも活動制限が緩和されたとはいえ、新歓活動の成果がコロナ禍前の水準に戻っていない団体が、まだ相当数いることに留意しておく必要があるだろう。
了
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