10月29日、神戸大学内で、第16回神戸大学ホームカミングデイが開催された。グーグル合同会社の島本久美子さん(1991年・経済卒)が「変革する時代のリーダーに期待される柔軟性と心理的安全性」と題して講演を行った。午後からは、キャンパスツアーなど各学部企画も開催され、集まった卒業生たちは秋晴れの母校での休日を楽しんでいた。<尾畑陽貴>
(写真:挨拶をする藤澤学長 2022年10月29日 午前、神戸大学六甲台講堂で)
神戸大のホームカミングデイは、独立行政法人化された2年後の2006年から始まった全学行事。卒業生をキャンパスに招き、大学とOB・OGのつながりを強めて大学への支援を仰ぐ目的で行われている。2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大で中止となったため、今年度が16回目となる。
午前中に行われた記念式典では、藤澤正人学長が「初代学校長である水島銕也(てつや)先生の『愛情とは上に立つものがわがままをしないこと、わがままをしないということは全体の利益のために奔走することである。』という理念に共感を覚えた。教育のみならず様々な事業、研究においても上に立つものが徳を持ち、良き信頼関係を築いていかねばならない。」と語った。
(写真:挨拶する坂井信也学友会会長)
学友会の坂井信也会長は「時代の変化は目まぐるしく、流れに取り残されてしまう恐れがある。学友会が神戸大ファミリーを大きく、強くすることで、神戸大の存在感、発言力を高め、ブランドの向上をめざしたい」と話した。
(写真:講演をする島本久美子さん)
今年のホームカミングデイには、グーグル合同会社ブランドソリューションズディレクターの島本久美子さんが登壇し、「変革する時代のリーダーに期待される柔軟性と心理的安全性」と題して講演を行った。
島本さんは、「現代は技術がどのように社会に影響をもたらすのか、全くイメージできない時代だ。Z世代は急速な社会の変化の中で大量の情報にさらされている」と述べ、情報やデータをAIなどを駆使して上手に捉え、活用していくことの重要性を強調した。
また、イノベーションを起こして新しい時代に適応し続けるには、マインドセットを変えなければならないのだと説明。具体的に、「完璧を最初から求めない」「不可能と決めつけない」「ユーザーに焦点を絞る」「共有はアイデアを生む」「データを基に考える」というGoogleの5つのビジョンとカルチャーを紹介した。これらを踏まえて、大胆に考えて、どんどん試して、データで確認して、軌道修正するという姿勢こそがこれからの時代の流れに遅れないためには大切だと語った。
最後に、神戸大へのメッセージとして、神戸という都市が持つ「柔軟性」を活かしていかなければならないと述べ、「時代に必要とされているカリキュラムや世界で注目されている学者の講演などを採り入れる大学側の柔軟性と、多様な考え方の人の意見を引き出して健全な議論が行われる環境づくり、それを受け入れられる学生たちの柔軟性が必要だ」と締めくくった。
(写真:講演を聞く卒業生たち)
午後からは、各学部企画が開催された。法・経済・経営学部・国際協力研究科・経済経営研究所の合同企画では、旭化成会長で経団連副会長も務める小堀秀毅さんの講演が行われた。
小堀さんは「企業活動の源泉は人材だ。社員個人がやりがいが業務への関心、自己成長につながり、企業や社会への貢献へとつながる。こういう状況を会社としても作っていきたい」と話し、成果を出すための心構えについて「『こうしたいな』という構想を常に持ち続け、決断し、行動する。その一つ一つの積み重ねが成果へとつながる。何に関心を持つか、そこからがスタートだ」と、来場者に語りかけた。
(写真:講演をする小堀さん 2022年10月29日 午後、神戸大学六甲台講堂で)
▽第16回ホームカミングデイのパンフレット=
https://www.kobe-u.ac.jp/documents/campuslife/alumni/hcd/hcd2022_panfu.pdf
▽神戸大サイト=
https://www.kobe-u.ac.jp/campuslife/alumni/hcd/2022/index.html
(写真下:秋晴れのもとで記念式典が行われた 2022年10月29日10時15分、神戸大学六甲台講堂前)
了
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