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- 震災30年語り継ぎ・シンポジウム 震災救援隊やボラバスが登壇
1月27日、人と防災未来センター(神戸市中央区)で、震災30年語り継ぎ・シンポジウム「阪神・淡路大震災をどう受け継いできたか」が開催された。震災救援隊や神戸大学東北ボランティアバスプロジェクト(通称ボラバス)のメンバーが登壇し、代々受け継がれてきた活動内容を紹介した。<尾畑陽貴>
1月27日、神戸大の学生たちを中心とした震災30年の語り継ぎ・シンポジウム「阪神・淡路大震災をどう受け継いできたか」が人と防災未来センター(神戸市中央区)で催された。14時から16時半までの2時間半の開催で、対面参加のほかZoomウェビナーでのオンライン参加が可能だった。
司会進行役は神戸大学の地域連携推進本部の特命准教授・山地久美子氏が務める。シンポジウムの前半は学生団体による活動紹介で、震災救援隊に属する灘地域活動センター(N.A.C.)、灘チャレンジ実行委員会といった団体や、神戸大学東北ボランティアバスプロジェクト(通称ボラバス)のメンバーが登壇し、活動内容を報告した。
震災救援隊は29年前の阪神・淡路大震災を機に神戸大の学生たちにより結成された、主体的なボランティア活動を行う団体。灘区のお祭り「灘チャレンジ」の運営や震災の被災地でのボランティアといった取り組みを代々引き継ぎながら活動している。活動報告では、元日に発生した能登半島地震を受けて、現地の被災者の要請を受けて家屋の掃除といった支援活動をおこなっている様子が紹介された。
山地教授から、団体が存続してきた理由について尋ねられた救援隊の前代表・植田丈嗣さん(法・4)は、「最初から震災や地域に興味があったという人はそれほど多くはないが、(救援隊の)語り合って共感しあう文化やコミュニティが好きという人が、文化に惹かれてそれが今まで続いてきている」と話した。
(写真:災害救援隊の前代表・植田丈嗣さん。2024年1月27日14時15分ごろ撮影。)
ボラバスは、2011年に発生した東日本大震災を受け、神戸大の学生たちが復興支援のため、大学と共同して岩手県にバスを派遣した活動に端を発するボランティア団体だ。現在は岩手と神戸の被災地域を中心に、被災者に話を聞き、震災の記憶を語り伝える活動もおこなっている。
代表の中村莉央さん(国人・4)は、公式インスタグラムの写真を紹介しながら「震災伝承を私たちが語り継ぐっていうことと、他の人に発信するっていうことに力をいれているかなと思っていまして、今年夏に東北で行った活動では共同芸能の一環として演舞をしたり、語り部のプログラムに参加したりしたのですが、それを自分たちの中で留めておくだけではなく発信したいという思いから、学生一人一人が考えて企画展示をおこなっています」と語った。
(写真:ボラバスの現代表・中村莉央さん)
後半は「震災の伝承」をテーマにしたフリートーク。「次の代に伝えたいこと」などをテーマに学生たちはディスカッションをおこなった。
(写真:ディスカッションをする学生たち)
人と防災未来センターの平林英二企画ディレクターは、「災害伝承語り継ぎ」をどのように継承していくかというテーマは震災と共にある課題だとしつつ、いよいよ震災から30年ということで引退する語り部が増えている一方で、若い世代の語り部がなかなか現れない現状を語った。今回のような催しは、災害の語り継ぎについて考え続ける時間を取ろうとして始めたという。
平松さんは、「以前から神戸大の学生さんたちとのかかわりはあったが、今日のようにひとまとりでこれまでのあゆみを総括できる機会が無かったということと、それを学生さんたちが自分の言葉で説明できるということも良かった。その活動自体も、本気でやっているような感覚というのを垣間見させていただいた」と話した。
さらに平松さんは語り継ぎというテーマから、神戸大学の学生たちのボランティア活動を分析し、「語り継ぎってなんだ、と考えたらAさんからBさんに、BさんからCさんに。という風に繋がらないと語り部はできても語り継ぎにはならない。その現場が世の中にどれくらいあるのかといったら、神戸大の皆さんはそれができている。どんどん代表が入れ替わっていくなかで活動が代々受け継がれているという現実を見せて頂けて、本当に素晴らしいなって思いました」と話した。
(写真:人と防災未来センターの平林英二企画ディレクター)
了
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