立看板ルールに賛否両論 大学に裁量権か
- 2024/2/29
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整備された立看板の規則のもと、3月1日(金)より、一時撤去された立看板の再設置が可能になる。従来よりも設置におけるルールの徹底が予想され、立看板の撤去についても大学側に裁量権が委ねられる面もある。一方、ルールの明確化より、多くの団体が立看板を設置しやすくなることも期待される。学生団体からはルールの整備を歓迎する声が上がる一方、事務負担の増加を懸念する団体もあった。<川﨑成真>
(写真:鶴甲第1キャンパス陸橋横の立看板設置スペース。工事のため全ての立看板が撤去されている。2024年2月15日撮影)
2024年2月16日までに、鶴甲第1キャンパス陸橋横に設置されていた立看板が、整備工事のため、各団体もしくは学生支援課によって撤去された。整備された規定に基づき、2月19日から立看板設置の申請受付が開始し、3月1日(金)より規定の置場において、立看板の設置が再び可能になる。
従来のルールはほぼ周知されず
以前から立看板設置に関する留意事項は明文化されていたが、あまり周知されていなかった。従来から規定されていた「原則として1団体1枚」、「必ず団体名・連絡先を記載する」といったルールを守っていない立看板が多く設置されていた。
従来の留意事項は「学生生活案内」という冊子に遅くとも平成24年度以降は記載されており、この冊子以外の媒体には留意事項は掲載されていなかったという。だが、「学生生活案内」は令和4年度以降、現物冊子として配布されてはおらず、オンラインでしか閲覧することができなかった。
「学生生活案内」の周知について、学生支援課は「(学生生活案内は)新入生ガイダンスの説明の際に説明資料の一部として用いられている。また、各学部の学生便覧においても学生生活案内を参照するよう促す文言は示されており、全ての学生が参照する媒体として扱っている」としている。しかし、以前から設置スペースを利用していた団体からも「詳しくは知らなかった」「認知していなかった」との声が上がっており、留意事項や冊子そのものの認知度は低かったと言える。
/「学生生活案内」内の立看板設置の留意事項
https://web-pamphlet.jp/kobe-u/2023e14/#page=27
(画像:「令和5年度 学生生活案内」の表紙 スクリーンショット)
設置期間3ヶ月 延長は申請必要
2月7日に学生委員協議会が「立看板に関する内規」を制定した。立看板設置の設置期間を3ヶ月とするなど、従来のルールに加え、新たな規定が設けられた。設置場所に空きがあり、かつ順番待ちの団体がいない場合は継続して設置することができるが、改めて「設置申請書」を学生支援課に提出する必要がある。
また、ルールを守らない団体に対しては、立看板の撤去やペナルティを課す規定もあり、従来よりも設置に関する遵守事項が増加した。しかし、立看板設置のための手続きが明確化され、より多くの団体が設置スペースを利用しやすくなることも期待される。
撤去基準 大学に裁量
整備されたルールでは立看板の撤去についても定められ、規定に違反した立看板を設置した場合や設置期間が終了している場合は、大学が立看板を撤去する。
さらに「本学が立看板を撤去する必要があると判断した場合」にも撤去すると規定され、これについては具体的な基準が示されていなかった。この規定について、学生支援課は「大型の台風が予想されている上に看板の劣化状態が進んでおり、撤去を求めても学生の対応が間に合わない場合」というように、内規を守って運用はされているものの、大学構内の安全管理上必要と判断して撤去を行う場面を念頭に置いたものだとした。
しかし、「今後運用を重ねる中で想定外の事態が起こった場合に、大学が個別事例に対して判断する裁量があることを定める部分でもある」とも話し、立看板撤去に関して大学側に裁量権があることを示唆した。
ルール整備に歓迎の声
整備された立看板のルールについて、設置スペースを利用する団体はどう感じているのか。
以前から立看板を設置していた団体は「(立看板は)今まで放置されており、担当者や扱い方が分かっていなかった感じがあったので、整備されたことによって担当者・使用方法などが明確になり、今後継続して設置するための1歩としていい影響があると思う」と話し、ルール整備に対して肯定的な意見を寄せた。
事務負担増には懸念も
設置のために必要な申請書について懸念の声をあげる団体もあった。
今まで通年で設置スペースを利用していたという団体は「団員が不足している弊団にとって、今後の事務負担が増えることは大変に感じる。ただし、今回のルールにおいても私たちの看板は設置要件を満たしていると認識しており、置き場の設置者たる大学当局の定めたルールを今後も順守して利用していきたい」と語る一方、「従来から適正に整備・利用してきた団体を対象とする通年利用枠の設置や、申請期間の延長・手続きの簡略化などを通して、大学側が事務作業の軽減に配慮してくれると助かる」と大学への要望も話した。
立看板の設置を継続する団体だけでなく、新たに設置する団体にも影響をもたらす今回のルール。制度の円滑な周知・運用はできるのか。撤去に関する規定が学生の表現の自由を妨げることはないか。注意深く見守る必要がありそうだ。
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