3月10日、京都大学の吉田グラウンドで、神戸大と京都大硬式野球部の伝統の一戦「神京戦」が開催された。神戸大は序盤に大量失点でリードを許したが、交代した投手・池田の好投とチャンスを生かした長打タイムリーが相まって、10-7で逆転勝ち。一昨年から続く神京戦連敗をストップした。<尾畑陽貴>
1971年から続く伝統の神京戦も、今年で49回目、来年でついに50回目を迎える。昨年までは秋季リーグの開幕前の8月末に行われていたが、今年は3月上旬に実施。この日程には、合格が決まった新入生に試合を見に来てもらい、今年度の新入部員を獲得しようという京都大硬式野球部の狙いがあった。
昨年の秋季リーグで2部に陥落してしまった神戸大。今年のスローガンは「革命 ~Ⅱ部からの逆襲~」だが、チームとしての取り組みに変化はあったのだろうか。試合前のインタビューで、中井監督は「メニューが変わったり、こちらから何か働きかけたということはないが、選手たちが悔しさを認識し、以前は半日で終わらせることもあった練習をほぼ毎日、一日練習にしている。また、以前はA、Bの2チームに分けて交代で練習することをやっていたが、それは止めて毎回全体練習をして課題を発見している」と語った。
監督によると、今年のキーマンは主将の喜田(経済・3)だという。喜田は4番として攻撃の、捕手として守備の要となりながら、チームの練習メニューを統括するなど主将としてのリーダーシップを発揮している。
3月に入ったばかりの京都は例年よりも冷え込んでおり、両陣営のベンチでは暖をとるために焚火が炊かれた。
(写真:神戸大ベンチ側の焚火2024年3月10日10時45分 京都市左京区の京大吉田グラウンドで)
開会式では神戸大と京都大の応援団がエールを交換した。
(写真:エールを贈る神戸大応援団)
試合は午後1時から開始。神戸大の先発・早﨑(経済・1)は初回から京都大の先制を許す。1点を追いかける神戸大は3回表、先頭打者が2塁打で出塁し、1番日下(経済・3)がレフト前タイムリーを放って同点に追いつく。さらに3番太田(海洋・3)もサード強襲のタイムリーを放つ(神大2-1京大)。
神戸大が逆転したのも束の間、その裏で京都大が猛烈に反撃する。早﨑は長打やタイムリーを連続で打ちこまれ、この回一挙に5点を失う(2-6)。早﨑はこの回で降板し、代わりに池田(工・3)がマウンドに立った。
池田は終始安定したピッチングで、ランナーこそ出すもののここぞという場面での打者を確実に打ち取る。4回以降のイニングでは京都大打線を無得点に抑えた。
5回表の神戸大の攻撃。2死二三塁から1番日下(経済・3)がセンター方向へ2塁打を放ち、ランナー2人が還る。6番増田(国人・3)の当たりはサードゴロとなったが三塁手の悪送球によりさらに1点を追加(5-6)。
(写真:5回表2死二三塁、タイムリーツーベースを放つ日下)
7回にも2死二三塁から増田がレフト方向にタイムリーを放つ。得点圏のランナー2人が還り、神戸大は7-6で逆転した。8回表にも3番太田のタイムリースリーベース、増田のレフトフェンス直撃二塁打で、神戸大はさらに3点を追加。10-6として京都大を突き放す。
(写真:7回表2死二三塁、レフト前タイムリーを放つ増田)
9回裏、神戸大の投手は池田から松永(工・2)に交代。無死から連続安打を許し1点を返されるが、3人の打者を抑え10-7で神戸大の勝利。今試合の最優秀選手には、4回から8回までを無失点で投げぬいた神戸大の池田選手が選ばれた。
(写真:閉会式で表彰を受ける池田)
今回の勝利により神戸大は神京戦の対戦成績を28勝20敗1分とし、一昨年から続いていた連敗にストップをかけた。
試合後のインタビューで、喜田主将は、「相手に流れが行きそうなときに池田が粘ってくれたことが今日の勝因だと思う。しかし、春のリーグで優勝して1部に昇格するにはまだまだチームとしての実力に不安があるのであと3週間ほどにはなるが妥協せず練習を重ねていきたい」と話した。
(インタビューに答える喜田主将)
また、勝因を尋ねられた中井監督は、守備面では主将と同じ理由で池田を挙げ、攻撃面では今試合4打点の増田の打撃を挙げた。さらに中井監督は「『どう勝っていくか』をウチはまだ模索していて、今回の試合の勝ち方ははあまり想定していないものだった。試合の課題として目立ってコレといったものはないが、強いて挙げるならば、序盤のフォアボールからの大量失点か。リーグ戦では相手のエースに抑えられて失点を挽回することが難しくなってくると思う。それに加えて、ショートをはじめとした内野の布陣を見直して、しっかり守ることを最優先にチームを固めていきたい」とコメントした。
(写真:インタビューに答える中井監督)
了
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