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被災の経験どう活かす 震災30年シンポに300人
1月11日、神戸大百年記念館六甲ホールで阪神・淡路大震災30年シンポジウムが開催された。オンラインでも配信が行われ、対面会場と合わせて300人以上が参加した。震災当時から今に至るまでの神戸大の取り組みが紹介されるとともに、これからの社会に目を向けた。<笠本菜々美、熊谷孝太>
(写真:開催挨拶をする藤澤学長。2025年1月11日10時頃、百年記念館六甲ホールで)
神戸大学阪神・淡路大震災30年シンポジウムが、1月11日に百年記念館六甲ホールで行われた。
第1部は、神戸大の学生団体による合唱と手話歌に始まり、奥村理事の基調講演、神戸大卒業生を招いての鼎談、神戸大のボランティア活動の紹介などが行われた。
神戸大卒業生の住田功一さん(元NHKアナウンサー、大阪芸大教授、1983年経営卒)、安田真奈さん(映画監督、脚本家、1993年法卒)、奥村理事との鼎談では、三者が震災当時のことを振り返った。当時取材者として震災に向き合った住田さんは、震災で39人の神戸大生が亡くなったことについて「元気で人を助ける側に回るはずの学生がなぜ亡くなったのか。その命が失われるとはどういうことなのか。私たちは阪神・淡路大震災を理解したつもりになっていて、自分が知ったつもりの裏に埋もれているものがあるのではないか」と語った。
(写真:鼎談の様子。左から奥村理事、住田さん、安田さん)
また、安田さんは、近年は便利で簡単なコミュニケーション手段が増えたものの、日頃から対面のつながりがなければ、震災が起こったときに地域などで助け合うのは難しいのではないかと主張した。そしてこれからの震災との向き合い方について、「いかにカジュアルに防災や震災に接してもらえるか。『貯金もしているし、防災もしているよ』という風に、(防災をしている人が)かっこいい存在になれば」と話した。
さらに、神戸大が阪神・淡路大震災以降行ってきたボランティア活動について、学生震災救援隊、総合ボランティアセンター、ボランティアバスプロジェクト、Kobe Med Connectの4団体が活動紹介を行うとともに、活動への思いを語った。
(写真:ボランティア活動について話す学生ら。)
第2部では、都市工学や法学、教育学、歴史学などを専門とする6人の研究者らの研究報告のあと、6人の研究をもとに、神戸大都市安全研究センターの近藤民代教授が進行するパネルディスカッションが行われた。多様な方面から復興と防災について考えることでこれからの社会のあり方に目を向けた。
(写真:研究報告に耳を傾ける参加者ら)
近藤教授はパネルディスカッションの総括として「防災を各方面の分野で主流化していき、自発的なネットワークに基づいて、主体的な動機から手をつなぎ、ともに減災復興に貢献できる社会に進んでいくのが課題」と語った。「災害がなくなることは残念ながら決してない。災いは日常化する。どのような学問領域でも災害研究・安全研究に貢献できない学問はない。(その点で)同志と呼べる大学の研究者とともに、これからの未来に向けて安全研究に取り組んでいければ」と期待を述べた。
(写真:パネルディスカッションの様子)
第1部に参加したボランティア団体に所属している学生は、「まちづくりや地域づくりなど、色々な分野が防災に関わることがわかった。自分の専門分野が他の分野とつながるとわかって刺激的だった」と話した。また、神戸大OBの男性は「住田さんの『元気な学生がどうして亡くなるのか』という話に胸を打たれた。ただ、当時の話を振り返るだけではなく、具体的にはどう防災をするのかが大事」と考えを深めた様子を見せた。
了