阪神・淡路大震災から30年 5時46分、各地で「よりそう」

 阪神・淡路大震災の発生から30年がたった1月17日の早朝、震災で崩れたアパート跡地や東遊園地(中央区)、ともだ公園(灘区友田町)、琵琶町公園(灘区琵琶町)では、地域住民や遺族、知人を亡くした人が追悼のために集まり、発生時刻の5時46分には祈りを捧げた<ニュースネット取材班>。

(写真:灯籠に火を灯そうと集まる参加者ら 2025年1月17日6時15分、東遊園地で撮影)

▽東遊園地

 神戸市中央区の東遊園地では「阪神淡路大震災1.17のつどい」が行われた。実行委員会が毎年主催するもので、震災の犠牲者への追悼とともに、震災で培われた「きずな・支えあう心」「やさしさ・思いやり」の大切さを次世代へ語り継いでいくことを目的とする。

 1月16日夕方から参加者らが紙灯籠5000個、竹灯籠2500個を並べ、火を灯した。灯籠で作られた文字は「よりそう 1.17」。東日本大震災や能登半島地震など、各地の被災地に寄り添おう、みんなで力を合わせて一歩一歩進もうという希望が込められている。

 1月17日午前5時46分には、灯籠を前に参加者らが黙祷を捧げた。実行委員会や遺族らをはじめ、地域住民、学生などで会場は溢れた。

 追悼式典で遺族代表の長谷川元気さん(38)は、震災で失われた日常の有り難さに触れ、「大切な人はいて当たり前じゃない。一瞬にしていなくなってしまう。後悔のないよう1日1日を大切に生きよう」と述べた。

(写真:東遊園地で灯籠を前に黙祷する人々。2025年1月17日5時46分撮影)

【参加者のコメント】

佐原歩さん(関西学院大学教育学部2年、神戸市出身)=「防災学習をずっと受けてきて、1回は参加しておきたいと思っていたので今年来た。テレビで見るより規模も大きく、たくさんの人が来ていることに驚き、びっくりした」

松坂雄二さん(57歳、札幌出身)=「すごい人が多くて、いつもだともっと輪の中に入って灯籠も見られたが、初期の頃以来かな。震災なんか知るはずのない人たちも来て、高校生たちもちゃんと来ているんで、ちゃんと繋いでいる人たちがいるんだな。東日本もあったから余計に意識は高まったのかな」

岡田駿平さん(兵庫県立阪神昆陽高等学校3年)=「授業で震災について学び、哀悼の意を示すとともに次世代へ受け継ぐ意識で毎年来ている。地震はいつ来るか分からないので、備えが必要だと思った」

(熊谷孝太/本多真幸)

▽神戸大学六甲台第1キャンパス慰霊碑

 神戸大本館前には、阪神・淡路大震災の慰霊碑がある。天気は曇り、弱い風が吹いて肌寒かった。
あたりは真っ暗だったが、時計の文字盤や庭の明かりで辺りは明るかった。

(写真:慰霊碑の様子。 1月17日5時46分撮影)

(尾畑陽貴)

▽「ニュー六甲ビラ」跡地

 5時半すぎには、上野政志さん(77)と10人ほどが神戸市灘区琵琶町3丁目の一角に集まっていた。小雨が降り、気温は1度。ここは、上野さんの娘である上野志乃さん(当時発達科学部2年)が住んでいたアパート「ニュー六甲ビラ」の跡地だ。

 震災が起こった1995年1月17日の前日の夜、志乃さんは友人2人と大学の課題に取り組んでいた。翌日の午前5時ごろまで取り組んでいたが、その直後の5時46分に被災した。

 跡地には、志乃さんの写真と献花台が設置された。5時46分目前、政志さんは献花台に花を供え、祈りを捧げた。5時46分になると小雨は止み、訪れた人たちが黙とうした。その後、被災地に学ぶ会代表の藤室玲治さん(震災救援隊OB)をはじめ、献花が行われた。

(写真:「ニュー六甲ビラ」跡地で手を合わせる上野さん。2025年1月17日5時43分撮影)

 政志さんは「逆縁を経験したものにとって、29年も30年も変わらず、私たちにとって節目というものはない。77歳になり、少しずつ体が動きにくくなった。私はサムエル・ウルマンの『情熱と好奇心をもって何事にも挑戦する。それが青春』という言葉が好き。私はがんばる、『顔が腫れる』と書いてがんばるです」と語った。

 ニュースネット委員会のOB・鈴木太郎さん(理学研究科・2017年卒)は「今年もこれて良かったというのが正直な気持ち。30年も変わらないが、他の人が注目してくれるのは良い機会なのでは」と話した。

 同団体OBの伊﨑春樹さん(経済学部・2010年卒)は、「私が(学生時代)取材に関わらせていただいたのが2007年から2011年。それからも毎年ここにきて、当時を思い出したり懐かしんだり。弔うという気持ちと、災害によって生まれた縁を大事にしたい」と語った。

(写真:「ニュー六甲ビラ」跡地での集合写真。2025年1月17日6時17分撮影)

(長瀬福実/奥田百合子)

▽ともだ公園

 ともだ公園(灘区友田町)には、公園近くのアパートで亡くなった高見秀樹さん(当時経済学部3年)を悼み、応援団のOBやOG、現役団員、そして高見さんの親戚など合わせて約15人が集まった。公園の一角で手を合わせ、5時46分には黙祷を行った。その後、当時の話や各々の近況、今後の応援団の活動などについて談笑する様子が見られた。

 応援団OBの山内正嗣さんは「(髙見さんと)直接関わったわけではないが、これから頑張ってほしいというときに(亡くなって)残念だった。彼は『団旗になって神戸大を見守りたい』という思いを持った後輩だった。これからも見守ってもらえたらと思う」と話した。

 高見さんの1つ下の後輩で、毎年ともだ公園で黙とうを行う国司和丸さんは、「30年だから特別ということはなく、自分にとっては普通のこと。30年の時が経つのは早いなという気持ち」と話した。今日(17日)の夜にOB・OGなどが集まって食事するという。

 現応援団長の笠置涼さん(農・3)は「初めてともだ公園の集まりに来た。現在使われている団旗が高見さんのご家族からいただいたもので、先輩たちから高見さんのお話をきいていた。今日は、現在の応援団の状況や思い出話などをお話した」と話した。
 高見さんの親戚の鹿島紘樹さんは娘とともに参加し、「娘が今年成人式で、これを機に命の大切さを伝えたいと思い参加した」と話した。

(写真:ともだ公園で黙とうする応援団OBOGや現役部員。2025年1月17日5時46分)

(蔦旺太朗/笠本菜々美)

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